第七章 己美
70.アキラ、笑みする。
少女の耳は尖がっており、一目見た瞬間、僕はRPGの知識でエルフだとわかる。
その顔はテラやイリス、アルテシアと肩を並べるほどの綺麗な顔立ちである。そして、その肌は白く透き通っているようだった。
「ナリギトゴゼェマッサ。」
と彼女は呟く。なんだか、う~~ん、はぁ? と緊張した場面で場違いな感想を考える。
すると、精霊さんが、
「現在、意思疎通能力で、言語を学習中です。しばらく、このままの状態が続きます。」
と言ってくる。まぁ、異世界に来たばかりのテラとの状況よりかは幾分かマシな状況なので、多分、状況的にありがとうと言っているのだろうと推測する。
大分、それっぽいイントネーションだし、精霊さんGJ! と心の中で強く思う。
「お褒めに預かり、光栄です。」
と精霊さんは、僕の心を読んでいるかのように反応する。
対して、隠れていた三人は、キョトンとした顔をしている。そりゃ、そういう反応になりますよね。
僕は少女に満面の笑みをして、なんとかコミュニケーションをとろうとする。その意味が通じたのか少女も笑顔になる。
「デシ、ヤシロナバワノムバドウバタサゼエクダマッシ。」
と少女は未知の言語を話す。
少し内容が理解できる、「ワ」は私という意味で、「サゼエクダマッシ」は先ほどの「ゴゼエマッサ」と同じような意味だと推測できる。
そうすると、他はどういう意味かはわからないが、多分、好意的な意味だろうと適当に思い、ニッコリスマイルをする。
少女もニッコリ笑う。非言語的コミュニケーションって偉大とこの時、実感する。
すると、少女が馬車の助手席に乗って前方を指さす。ああ、これって案内するって意味かなと、やっと先ほどの言語の意味がわかるのであった。
少女に案内されて馬車を進めていく。そのうち、街道らしき道から逸れ始め、鬱蒼とする森へと入っていく。そうして、道もケモノ道らしきものへと変わっていく。
『ガタガタ』
と馬車が揺れる。イリスが、
「この子の指示で大丈夫なのかしら。」
と呟く。その発言には、若干賛成するがこんな可愛らしい少女が人を騙すはずなんてないという根拠のない確信で、今のところ彼女を信じていたのであった。
しかし、イーグルビューで見てみると、人型らしきの足跡らしきものチラホラと見える。彼女の指さす方向も、間違ってはいないのではないかと思い始める。
そうしているうちに、人の手が加わった痕跡もチラホラ見え始める。
「マウスギ、グシマッスヤ。」
と少女が笑顔で話す。やはり、意味はわからないのでとりあえず、ニッコリスマイルをする。
さすがに、少女も先ほどから笑顔しかしない人に少々、引き気味になってはいた。
そのようなやり取りをしている内に鬱蒼と茂る森から、少し開けた場所に辿りつく。
進んでいくと、少し大きな洞窟が見えてくる。その洞窟は、不思議な雰囲気が漂っていた。
その時、ハンターセンスが大きく反応して、自身の身に危険が迫っていることを知らせるのであった。
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