61.アキラ、見張る。

 腹ごしらえもすみ、心地よい眠気がやってくる。少し眠る。


その間、イリスが見張りと焚火に小枝をくべる。いい感じに目が覚めて、空を見るがまだ暗い。


イリスがうとうとし始め、眠たそうにしている。そんなイリスに声をかける。


「イリス、交代するよ。もう横になりな。」


と言うと、イリスが近くに寄ってきて耳元で、


「がんばった、ご褒美ちょうだい。」


色めいた声で囁く。やはり、彼女もふたりを見ていて、何かほしくなったのだろう。


「じゃあ、身体を貸すからもたれ掛かっていいよ。」


そう提案すると、イリスは嬉しそうにして胡坐を組んでいる僕の前に腰を下ろす。


まるで、イリスが僕の胸にもたれ掛かるような体勢になる。こりゃ、一本取られた。


てっきり背中合わせだと思っていたので、予想外の行動にドキドキする。イリスを見るとどうやら眠気が限界だったようで、ニヤけながら眠ってしまっている。


ほかのふたりは、身体を寄せ合いながら仲良く寝ている。


 しばらくの後、暇になり星を見上げる。


「ああ、昔の人はこういう暇な時間に、星を見て物語を考えていたのかな。」


精霊さんに語りかける。


「そうですね。その考え方はあながち間違いではないでしょう。」


と言いながら、相手になってくれる。


久しぶりの独りの時間だなと考えながら、今回の旅を思い返す。


塩が魔除けなんて、元の世界でもどこかで聞いたことのあることだな。そう考えながら異邦人がどこから来たのかと、思いを巡らせながら過ごすのであった。


そのうち、空が明るくなり、太陽らしきものが登ってくる。


静かだった大地に光が差し込み、動植物たちが活動をし始める。清々しいほどきれいな朝焼けだった。


 その光により、テラが起き始める。


「おはようございます。ふぁあー。」


と大きな欠伸をして目をこすっている。まだ身体は半分寝ているような感じだ。


イリスを見て、テラはにこりと笑い、近寄ってくる。


そして、僕の右肩にもたれ掛かり、二度寝をし始める。


(う~~~ん。動けなくなってきたぞ。)


と思いながら、3人が起きるのを待つアキラであった。


 陽が昇り3人がやっと起き始める。


最初にイリスが起きてくれて、その次にテラが起きた。


焚き続けていた火に、昨日のウサギ肉を炙っていく。


そして、近くの食べれる木の実も食べる。その実は瑞々しく甘さが口の中に広がっていく。最後に白湯を飲み、支度を整える。


「よし、じゃあ行くか。」


そう言って、また旅を続けるのであった。あと、6日これを続けていけば着くのかと思いながら、後ろの荷車に揺られながら眠りにつくのであった。

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