24.アキラ、問われる。
店を出て村長の家に向かう途中、村長の娘さんに質問を投げかける。
「キャベツって何リラですか?」
この異世界の相場を、キャベツに置き換えて、調べようとする。
「キャベツですか?そうですね・・・ここだと1リラ、王都周辺だと2リラくらいと聞いたことが、あります。」
ほぉ~つまり、普通のウサギは、キャベツ20個分の価値があるのか。ちなみに、先ほどのトレードの内訳は、マウサギが一匹20リラで売れ、葉ウサギは1リラであった。
家の近くにいる普通のウサギの毛皮が、こんなに高く売れるなんて・・・ウサギ狩りまくろうと思うのであった。
「ちなみに、私の好きなマッシュルームは、ひとつ3リラです。」
え、きのこ一つに3リラも出すの!?それも当たり前だ。これぐらいの生活水準なら、まだ菌類などのきのこは工場栽培されてないので高級品なのであることを、驚きの後に思い出す。
そんなTHE・異世界常識を教えてもらっているうちに、村長の家の前に到着する。
THE・村長宅といった具合の家だ。
「お父さん、連れてきたよ~。」
と村長の娘さんが、ドアを開け中に入る。それに続いて、お邪魔する。
テラの家と比べるとけっこう大きい家で、テラの家10個分の部屋の数と広さだ。多分。
客間っぽい部屋に連れられて、そこで待ってもらうように促される。待つこと数分後に、
「やあやあ、おまたせしました。」
と村長が、ドアを開けて入ってくる。そして、神妙な面持ちで僕のことについて質問する。
「あなた、東から来た言いましたよね。どちらまで行かれたのですか?」
と聞いてくる。
「山の方まで少々。」
と答えると村長は、目を見張り立ち上がった。
「そんな、馬鹿なことを言うな!!山の方まで行ったなんて、そんなのありえない。」
「あ、はぁ・・・。いや、しかし実際山の方まで行きましたし、ウサギも山の近くの森から取りましたし・・。」
と答えると、一旦、娘の方を見てるや、一緒に部屋を退出する。
それから、十数分ほど待たされる。
俺、なにかまずいことやっちゃいました?
ま、まさか、活動範囲外ってもしかして、呪われし場所とかで、ヤッベーイ場所とか入っちゃ駄目だった場所とか・・・。アワワワワど、どうしよう。
とガクブルしながら、村長が戻るのを待っていると、おもむろに、ドアが開き、村長が入ってくる。そして、何を言いだすかと思ったら、
「どうか、今日はこの村にお泊りになってください。」
と言い出したのだ。僕はその誘いを即行で、
「あ、お構いなく、大丈夫です。家はありますので。」
と言う。村長がニッコニッコした顔から、茫然した顔に変わる。
「み、見たところ、旅のような格好でございますし、無理はなさらずに。」
と粘る。
「いや、東の方に家を借りておりますし、その者にも今日は、絶対帰ると申しております故。」
村長の顔が驚愕の顔に変わる。
「まさか、あの娘・・・いや、そんなまさか生きていたとは・・・。」
そして、おもむろにその娘の名前を口にする。
「もしや、その娘、テラとか言うんじゃありませんか?」
その時、僕は何やら余計なことを、言ったことに気付くのであった。
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