25.アキラ、へたる。

 「その娘は、白髪で赤い目をしていますよね。」


その問いに、僕は言い逃れはできないと、確信しうなづく。村長もやはりそうかという顔してテラのことについて話し出す。


「まず、その子の生まれ故郷から話しましょう。白神村は、我が村より少し境目に近い辺境の場所にありました。


しかし、その白き髪と赤い目のせいで、他の村からは忌み嫌われておりました。それでも、その村の者たちはたくましく生きていたのです。


定期的に交易のため、その村の行商人がこの村にも来ておりました。あなたのように、マウサギなどを狩ってきて、売ってたりしていたのですが、ある時、その行商人がパタりと来なくなったのです。


不審に思い、村に行ってみようとしましたが行けるものがおりませんでした。なにしろ、境目の近く故、体調が悪くなるものも出てくる始末。


仕方ないので、山に登り遠くの方から見るしかなかったのです。すると、村がある方が国が見当たらないのです。


それから、数日、ある少女がこの村に辿りついたのです。その子はまるで、生気が抜き取られたかのように茫然と村の前にいました。その娘こそがテラであります。」


その言葉に僕は驚きを隠せなかった。続けて村長が語る。


「テラに何があったと聞けども、口を開かず仕舞い、というより恐怖で開けれなかったというのが、正しいでありましょうな。


それで、可哀想なのでうちで見ることにしたのです。しかし、村では、もともと忌み嫌われておったその容姿や、村が忽然と消えたことで、この子がいることで、うちの村も危ないのではないか。と唱えるものも出てくる始末。


陰で、テラにひどいことを言う者もおりました。そのうち、テラもどこかへ消え去ってしまったのです。いや、しかし、あのテラが生きてくれていたとは、本当によかった。」


村長は、まるで過去の不甲斐ない自分を、戒めるように話してくれた。


 その話を聞いて、僕は無神経にもテラに村のことを聞いたことに対して、後悔するの。


「しかし、待つ人がいるからには、この村にお泊りになるのは、あまりオススメできませんな。今日のところはお帰りになった方が、よろしいですな。」


と村長が答える。僕は少し考え、


「はい、そうします。ですが、この村とはより良い関係を結びたいので、時折こうやって品物を運びに参ります、よろしいでしょうか。」


と言ってみる。


「ええ、構いませんよ。いつでも大歓迎です。」


村長は、僕の申し出に了承してくれる。そして、軽い軽食を渡してくれて、娘さんと一緒に見送りをしてくれた。


その時、娘さんから熱い視線を感じたが、女付き合いがなった僕は、目を合わせることができなかった。村を後にして僕は帰るべき場所に帰るのであった。

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