第5話 この部屋の問題
「あの〜、次の部屋に進むにはこの部屋の問題を解かないといけないんですよね」
「そうだね」
「この部屋の問題って何なんでしょう?」
この部屋にも、次の部屋へと進める扉が有るはずだ。遅かれ早かれ解かなければならないのなら、今のうちに聞いておいても問題は無いだろう。
「ゲームマスターに聞く。この部屋の問題はなんだ?」
『分かりました。では、この部屋の問題を出題します』
俺とかなちゃんはその感情のこもっていない音声に集中する。
『この部屋の問題はプレーヤーを三人にする事です』
「えっ……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! プレーヤーって何人いるんだ? それにこの部屋から出れない状況でどうやって探すんだよ?」
身動き出来ない状況で新たなプレーヤーを探せって、完全に無理ゲーじゃねぇ。
『その質問にお答えする事はできません。健闘をお祈り致します』
ゲームマスターの機械的な音声はそこで途切れた。
「やれやれだな」
俺はひとつため息をつく。
「次のプレーヤーの出現を待つしか無いってことですか」
「まあ、そう言うことになるかな」
自発的に動くことが出来ないって事も気に入らないが、それ以上にゲームマスターのシナリオ通りに事が進むっていうのも気に入らない。
そんな俺の気持ちを読んでる訳では無いのだろうが、イラッとする気持ちを反らすかのように、抑揚の無い機械的な音声が部屋に流れた。
『お食事の用意が出来ました』
目の前にある黒色のテーブルの一部が下に下がっていき、次に上がってきた時にはカレーライスと味噌ラーメンを乗せてきた。
部屋中にカレーとラーメン匂いが広がり、否が応でも食欲をそそられる。
「とりあえず、考えてもどうにもならないようなので食べましょう」
「そうだな」
俺はスプーンを手に取って、スパイシーな香りのするカレーライスにそのスプーンを入れようとしたその時だ。
どぉーーーん!
「えっ」
どぉーーーん! どぉーーーん!!
「な、何ですか?」
俺の出て来た扉の隣あたりから、物凄い音が聞こえてくる。
「誰かが隣の部屋にいるみたいだな」
どぉーーーん! どぉーーーん!! どぉーーーん!!
一段と大きな音がする。どうやら部屋の壁を殴っているか、蹴っているような音だ。
俺とかなちゃんは音のする方へ移動した。
「この……やろう……なんで開かないだよ!」
どぉーーーん!
誰かが扉を開くことが出来なくて、扉を蹴っているようだ。
「おーい! どうした?」
「おっ! 誰かいるのか!」
「ああ」
「おい! この扉開かないぞ! どうなってんだよ!」
どぉーーーん!
乱暴な声でこちらに喚き散らし、相変わらず扉を蹴っているようだ。
「あのさ、その部屋の問題が出ただろ。それを解いたのか?」
「知るかよ! そんな問題! 俺に答えれると思ってんのか! コノヤロー!」
何か厄介そうな人物みたいだな。
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