第4話 生きていく為に必要なもの
「とりあえずはここを脱出することが先決か」
「はい。それもそうですが、食料やトイレ、寝る場所やお風呂とかも、どうするか」
そうか。彼女の言うとおり、俺たちがこのわけの分からないゲームをすぐにクリア出来るとは限らない訳だから、生存する方法も考えておかないといけないって事か。
俺はぐるりと周りを見渡す。
とは言うものの、こんな処に都合良く食事やらトイレやらを用意してあるとは思えない。
「ねえ、これを見て下さい」
彼女が何かを発見した様で、俺に近づいてくる。
「ん?」
自分のスマートフォンの画面を俺に見せる。画面には俺と同じくゲームの地図が表示されている。
「えーと、俺のスマホにでている地図と同じだよね」
「そこじゃなくて、このマークです」
彼女が指し示しているのは地図にいくつか点在しているマークだ。
スプーンとフォークのマーク。ベッドのマーク。温泉のマーク。男女のマーク。銃のマークなどなど……。
「このマークって、もしかして……」
「はい。たぶん、スプーンとフォークのマークが食事。ベッドのマークは睡眠が取れる場所。温泉マークがお風呂って感じじゃないですか」
俺のスマホの地図にも同じようにマークがある。ここに行けば、必要な物資または場所が提供されるってことか。
今、俺たちが居るルームはスプーンとフォークマークがあるから食事の出来るルームで、俺が元いた場所はベッドのマークがあるから寝室。地図で確定しているのはその二つ、あとの場所はマークのみが表示され、その場所へと辿り着くための表示は無い。
「この部屋が
「そうですね」
この状態で何を食べろというんだ? 周りには何も食べる物など無い。
「それじゃあ。ちょっと注文してみますか?」
「はい!?」
「わたしはラーメンが食べたいので……何味にしよう? う〜ん。味噌にしようかな。来人さんは何にします?」
彼女は何を言ってるんだ? ここはラーメン屋じゃないんだ。『味噌ラーメンお願いします』って言って、カウンターの向こうから『へい! ラーメン一丁』と聞こえてきて、暫くすると『へい! お待ち!』とか言って出てくる環境じゃないんだぞ。
「何をぶつぶつ言ってるんですか? 今、食べたいなぁ。って思いついた物を言って下さい」
「カレーライス」
「よし。じゃあ、味噌ラーメンとカレーライスお願いします!」
「いや、そんなの頼んだって……」
『味噌ラーメンとカレーライスですね。約五分程お待ち下さい』
先程、ゲームの問題を出した音声と同じ声が聞こえてくる。
「注文受けるんかい!」
この変なゲームの音声に突っ込みを入れてもしょうが無いのだが、あまりにもこちらに都合良く物事が進むので、緊張感が薄れてしまいそうだ。
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