第42話 俺は今でも・・・
「・・・この公式は基本中の基本だからぜーったいに忘れないでねー」
4時間目終了のチャイムが鳴って、
今日は1時間目の
当たり前だが小学生みたいな可愛い先生に男子も女子も熱狂して、早くも女子からは「南先生と呼んでもいいですかあ?」などと喝采を浴びていたけど、小学生みたいな先生にも関わらず全国に名を知られた
「それじゃあ、この後は楽しい楽しいお昼休みだからねー」
おいおい、こんな喋り方をされたら逆にテンションが下がりそうだけど、たしかにここから50分間の昼休みになって、食堂へ行くもよし、購買でパンを買うもよし、教室で自宅から持って来たお弁当を食べるもよし、とにかく自由時間というか息抜きの時間だ。野花南先生がそう言いつつ教科書とファイルを教壇の上で「トントン」と整えてから教室を出ていくと同時にクラスの連中は授業モードから昼休みモードに早変わりし、急に教室内が賑やかになった。
「キョーゴくーん」
俺は
「はーい」
「もしよければ一緒に食べない?モチ、千歳ちゃんも一緒に」
「俺は構わないけど、千歳さんはどうなのー?」
そう言って俺は後ろを振り向いたけど、千歳さんはニコッとしたかと思うと「いいわよー」と言って立ち上がったから異論はないようだ。でも、その時にシンタ君が「おーい、キョーゴ」と声を掛けてきたから話の流れで俺・千歳さん・シンタ君、静さんの四人で行く事になった。
俺の横には千歳さんがサッと並んだから、シンタ君と静さんが俺たちの前を歩く形になった。その二人は互いに何かを話してるようだけど、さすがに俺たちには会話の内容までは聞こえてこない。
「・・・兄さん、あの二人、結構雰囲気良さそうに見えるけど」
千歳さんが歩きながら耳打ちするように小声で言ってきたけど、顔は半分真面目、半分笑っている。
「そうかなあ、俺にはそんな風には見えないけど・・・」
「兄さんは女の子の心の内を読むのが下手なだけですよーだ」
「・・・・・」
たしかに俺は千歳さんの指摘通り、女の子の心の内を読むなどというのが全然できない、いや、読む以前に相手が何を考えて俺のところへ声を掛けてきたのか、何を考えて俺の方へ来たのかも全然分からない。
俺は今でも千歳さんが俺の横でニコニコしている意味が正直言って分からないのだから・・・
そのまま一日が平穏に(?)に過ぎて次の日になった。
昨日と同じく父さんと母さんは既に出勤しているから、家の中にいるのは俺と千歳さんだけだ。
俺も千歳さんもテレビを見ながら寛いでいるが、見ているのは朝の情報番組だ。
丁度占いのコーナーをやっているのだが、俺と千歳さんの星座である双子座はなかなか出てこない。
『・・・ごめんなさーい、今日最も運勢の悪いのは双子座のあなたでーす』
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