第26話 期待を裏切らない人
部・同好会合同説明会が始まった。
1年生は全員参加ではあるが座り方は自由だ。椅子は午前のオリエンテーションの時は3学年分あったけど、今は後ろの半分が片付けられているから1年生しかいなくても満席に近い状態だ。2年生、3年生も見受けられるが全体から見れば少数だから、講堂の中は赤いネクタイ・リボンで埋め尽くされていると言っても過言ではない。
ちなみに俺と
発表プログラムは講堂に入ってすぐの場所に置いてあったから俺も千歳さんも自分で取ったけど、一番最初の会長挨拶に続いてオカルト研究会、スイーツ研究会、SKTK同好会、剣道部、柔道部、野球部・・・と続き、ミステリー研究会、サッカー部で終わりとなる。これらの発表順は抽選と一番下に書かれていた。
「それでは、ただいまより部活動・同好会合同説明会を開催しまーす」
司会担当の生徒会書記の2年7組女子、
生徒会長の
そのオカルト研究会の爆笑モノの紹介が終わったら、姫川先輩ともう一人の2年生女子、それと3年生女子がステージに上がっていった。さっきまでの異様な雰囲気とは打って変わって、今は女子3人が登場したから俺たち1年生の間にリラックスムードが漂っている。
一度下がっていた久根別先輩が再びステージに出てきて「次はスイーツ研究会です」と言った時に、久根別先輩の後ろから駆け足で一人の3年生女子がステージに姿を現したから、その姿を見た時、俺も一瞬だが目を疑ったぞ!その3年生女子は紛れもなく風紀委員長の
当然だが講堂内はどよめきが支配した。そりゃあそうだろうな、駒里緑先輩といえば今朝の絶叫挨拶(?)もそうだけど昨年のインターハイ剣道女子の優勝者として、早くも1年生の間で知らない人はいない。その先輩がスイーツ研究会のメンバーと共にステージ上にいるのだから、ほぼ全員が「嘘だろ?」「何かの間違いだろ?」と小声で言ってるのが俺の耳にも聞こえるくらいだ。千歳さんも目を丸くしてるぞ。
マイクを持った3年生の女子がニコッと微笑んだかと思うと
「えーと、副部長の3年7組
そう言ったから会場内に笑いが起きたけど、その先輩が駒里緑先輩にマイクを渡したから、会場内に緊張が走った!あの先輩のことだから、また絶叫するんじゃあないのかあ!?
その駒里緑先輩がニコニコ顔でマイクを受け取ったけど、マイクを口元に持っていった瞬間にニコニコ顔から超が付く程の真面目な顔になって
「あたしがスイーツ研究会の部長をやってる3年2組の駒里緑だあ!先に断っておくけど、あたしの所属は紛れもなくスイーツ研究会であって、あたしも姉貴も剣道部には『助っ人』として大会に参加しているに過ぎないから勘違いしないでくれ!話を元に戻すけど・・・」
やれやれ、こういうところで期待を裏切らない(?)のが駒里緑先輩だけど、それにしても駒里緑先輩がスイーツ研究会の部長・・・おい、ちょっと待て!今朝、先輩が言ってた事は本当だったんだあ!!
マズいぞ・・・先輩の事だから、強引にでも俺をスイーツ研究会に引っ張っていく可能性はゼロではないぞ!誰か1人でも加入すればいいと言ってたけど、もし誰もいなかったら・・・こればかりは神に祈るのみ(?)
「・・・次はSKTK同好会です」
駒里緑先輩や姫川先輩がステージから降りたのと入れ替わりでステージに登場したのが、サンドイッチウーマン(失礼)4人組だ。緑色と水色のリボンが二人ずつで、そのうちの一人が副会長の駒里楓先輩だ。当然だがマイクを持っているのが駒里楓先輩だから・・・
「えーとー、部長の駒里楓でーす。SKTKのSはー、『世界のー』のSでー、Kはー、『子供たちのー』のKでー、Tはー、『助けるー』のTでー、2回目のKはー、『活動するー』のKでー、その頭文字を取ってー、SKTK同好会でーす。どうぞよろしくお願いしまーす」
駒里楓先輩を始めとした4人は頭を下げたけど、駒里楓先輩もある意味、期待を裏切らない(?)人だなあと改めて思わされた。これを喋るだけで1分以上も使う人を俺は初めて見たぞ!時間配分を間違ってないかあ!?
駒里楓先輩はニコッとしたまま左にいた、もう一人の3年生にマイクを渡したけどマイクを渡された3年生は少々緊張気味の顔で
「副部長の3年8組
これでSKTK同好会の紹介は終わり4人はステージを降りて行ったけど、駒里楓先輩は最後までニコッとしていたというかノホホンとしていたというか、双子なのに姉妹でこの差は一体なんだあ!?これこそ
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