第20話 紛らわしいのオンパレード
1年2組の連中も次々と登校してきて、入れ代わり立ち代わりで部活や同好会が入ってきてたから騒々しい状態が途切れる事なく続いていたが、その騒々しさも予鈴と共に終わって担任の
なぜなら・・・天北先生は上はメンズのカッターシャツと同じくメンズのセーターを颯爽と着こなし、そのハスキーボイスで男性教師かと思わせておきながら、レディースのフレアジーンズから見える足首は相当細く、ユッタリ感のあるメンズウェアでありながら昨日以上に胸の大きさが強調されている!しかも信じられないくらいにウェストが引き締まっていて腰の位置が明らかに他の女子と違う!!どう見たってスーパーモデル登場としか思えず、男子だけでなく女子までもが感嘆すると同時に歓声を上げたのは言うまでもない。
「おらあ、何を騒ぎ出してるんだあ?とにかく全員着席しろー」
天北先生は面倒くさそうに言うと、両手一杯に抱え込むようにして持っていたプリントの山を教壇の上に『ドサッ』と置いた。
「おーい、
そう言ったかと思ったら教壇の目の前にいる女子生徒に「悪いけど、これを分けてくれ」と言ってプリントの山を分けるのを手伝わせて、自分も残ったプリントを分け始めた。
そうこうしているうちにチャイムが鳴ったから、全員が席についているのを確認した後にショートホームルーム、いや、続けて1時間目のロングホームルームに突入して最初の授業(?)が始まった。
「それじゃあ、先生から自己紹介させてもらうぞー」
そう言うと天北先生は例のハスキーボイスで自己紹介を始めた。
「苗字は天北、名前は
それだけ言うとニヤリとしたから、たちまち教室中に笑いが起こったのは言うまでもなかった。さすがの俺も天北先生の御仕置きを受けたいと思わないけど、御仕置きがないならゴロニャーンしたいです、ハイ。
「担当教科は社会科全般だ。1年生の授業は1組から8組まで全部あーたしが担当する。
そう言って天北先生は再びニヤリとしたからクラス中が爆笑に包まれた。まあ、たしかに先生が手作りのクッキーやケーキを持って「食べますか?」などと言ったらゴロニャーンする連中が続出するだろうけど、さすがにそれは都合が良過ぎるという訳かあ。
「そうそう、お前らが詮索するより先に暴露しておくけど、あーたしは
「「「「「「「「「「クオーター!?」」」」」」」」」」
天北先生が「クオーター」と言った瞬間、教室中に歓声が沸き上がったのは言うまでもない!だから腰の位置があんなにも高いのかあ!!
「おらあ、お前たち!あーたしはクオーターじゃあないぞ、quarterだ。本当は発音に気をつけろー!と説教してやりたいところだけど、あーたしは英語教師じゃあないからクオーターでも文句は言わないから勝手にしろ。母方の爺さん、つまり母親の父親が
うわー、正真正銘のクオーターかあ。こんな人が教師をやっているなんて信じられない。しかも担当教科は社会科だろ?何かの間違いじゃあないのかあ。それにさっきのquarterやknightだって、相当流暢な発音だったぞ
「・・・あー、本当は外国語の教師になっても良かったのだが、あーたしは爺さんがLondon生まれだという事と
「せんせいー」
ここでいきなり手を上げた子がいた。この声は・・・
「おー、いきなり質問かあ?どうした?」
天北先生がニヤリとしながら千歳さんの方を向いたし、クラス全員も千歳さんの方を向いたけど、その千歳さんがニコッとしながら立ち上がった。
「あのー、先生はイギリスに留学してたと仰いましたけど、いつ頃、どこに留学してたんですかあ?」
それだけ言うとその千歳さんは着席したけど、他の生徒も「オレも知りたーい」「先生、教えて下さーい」などと言い出す生徒が続出したから、天北先生は頬をポリポリ掻きながら
「言わないとダメか?」
「「「「「「「「「「もちろんでーす」」」」」」」」」」
「・・・できれば言いたくなかったけどなあ・・・
「「「「「「「「「「へっ?」」」」」」」」」」
「University of Cambridge!ケ・ン・ブ・リッ・ジ・大学だ!」
「「「「「「「「「「マジですかあ」」」」」」」」」」
「本当だ。嘘だと思うなら校長先生や教頭先生に聞いてもいい。大学は
天北先生はアッサリと言ったけど、俺たちから見たら美貌もさる事ながら、超の上に超が3つも4つもつく程の名門大学に留学していたほどの先生だから、千歳さんも真っ青の正真正銘の『才色兼備』の先生と言っても過言ではないぞ!だから2組の生徒たちの反応の尋常ではない程に大きい。俺だって本音は騒ぎたいぞ。千歳さんだって「わおー」とか言って相当はしゃいでるからなあ。
「それじゃあ、先生の自己紹介は以上だ。出席番号1番から順に自己紹介しろー。まあ、さすがに英語で自己紹介をやれとは言わないから安心して日本語でやれー」
それだけ言うと教室内にドッと笑いが起こり、その余韻が冷めない中、出席番号1番の男子生徒が立ち上がった。
「それじゃあトップバッターとして、あー、天北先生に言われる前に言っておきますけど、トップバッターは和製英語ですから片仮名で言わせて頂きます。自分の名前は
いきなり笑いを取るところから始まった各人の自己紹介はこの後の1時間目のロングホームルーム中、ずっと続いていた。中には笑いを取るのに頑張ったつもりで滑りまくりとか、無理矢理英語を自己紹介の中に混ぜておきながら、他の連中や天北先生に「おーい、それは和製英語だぞー、英語では・・・」と突っ込まれる奴が続出して結構面白かった。
ただ、
さらには、苗字に『
作者注①
ヴィクトリア女王(1819年5月24日 ~1901年1月22日。在位1837年6月20日 ~1901年1月22日。今のイギリス女王エリザベス2世の高祖母)のこと
作者注②
イギリスのこと
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