第19話 あれえ?この看板にちゃんと書いてありますよお
「「おはようございまーす」」
そう言って俺と
その風紀委員長ですけど、俺と千歳さんを見るとニコッとして
「あー、おはようございまーす。SKTK同好会への加入をお待ちしておりまーす」
そう言って俺と千歳さんに軽く頭を下げたけど、あれー、さっきまでの絶叫していた時とは全然雰囲気が違うぞ・・・という事は、こっちは副会長の
俺は恐る恐るだけど
「あ、あのー、駒里楓先輩」
「はあい、何か御用でしょうかあ?」
「SKTKとは・・・何の事ですか?」
「あれえ?この看板にちゃんと書いてありますよお」
「「はへ?」」
そうノホホンと駒里楓先輩に言われた俺と千歳さんは、改めて駒里楓先輩の看板を見たけど、たしかに書いてあった!
世界の(S)
子供たちを(K)
助ける(T)
活動をする(K)
同好会
略してSKTK同好会をよろしくお願いします
た、たしかにSKTKが何の事なのかは書いてあるけど、どう見ても、あの『〇宮〇ルヒの憂鬱』に出てくる、〇〇〇団と同じくらいに強引な設定としか思えないぞ!一体、何をしている同好会なんだあ?俺も千歳さんも目をパチクチさせながら顔を見合わせる事しか出来ないぞ!?
「「あのー、先輩・・・」」
「はあい、どうぞー」
「「具体的には、何をする同好会なんですかあ?」」
俺と千歳さんは再び恐る恐る先輩に尋ねたけど、先輩はニコニコ顔を崩す事なく
「あー、君たちは1年生の中で初めて意味を聞いてくれましたねー。ウチは嬉しいですー」
「「はあ?」」
「あのですねー、この同好会メンバー4人はみーんなこうやって学校中を歩き回ってるんだけどお、ウチがこれだけ頑張ってるのに誰一人として声すらかけてくれなかったのにー、30分以上頑張って、初めて君が声を掛けてくれたので嬉しいですー」
駒里楓先輩はニコニコ顔で話し掛けてくるから、再び俺も千歳さんも思わず顔を見合わせてしまった。だいたい、この先輩にはニコニコする以外にやる事がないのかあ?マジでこれが本当にインターハイの剣道女子個人優勝者なのかあ!?
で、でも、さすがにガン無視という訳にもいかない。だから俺は
「あ、ありがとうございます」
それだけ言って深々と頭を下げたし、千歳さんもニコッと微笑んでから軽く頭を下げた。
駒里楓先輩はニコニコ顔を崩す事なく
「あー、この際ですからー、ウチは君をスカウトする事に決定しましたー」
「「はあ?」」
「あらー、よーく考えたら、二人一緒にウチに声を掛けてくれたって事でー、そちらの女子もー、たしか昨日、新入生代表挨拶をした人も一緒にスカウトしますのでー、今日の放課後、お迎えに上がりまーす」
「ちょ、ちょっと待ってください!いきなりそんな事を言われても困ります!だいたい、強引に1年生を加入させるなんて、風紀委員会が黙っていないですよ!」
「大丈夫だよー。だってー、ウチはみどりんのお姉ちゃんだからー、ぜーったいに文句ひとつ言わないよー」
「勘弁してくださいよお。それこそ強引ですよ。副会長だから多少強引にやってもいいと捉えられても仕方ないですよ!?」
「それじゃあ、みどりんに後であなた方二人を加入させていいか聞いておくねー。問題ないって言われたらお迎えにあがりますからー」
おいおい、勘弁してくれよお。
「ちょ、ちょっと待って下さーい!既に俺は訳の分からないSKTK同好会などという同好会メンバーになる事が既成事実化してるんですかあ?」
「そうですよ、私だって何が何だかサッパリ分からないし、だいたい訳の分からない日本語をローマ字にしただけの同好会に何の意味があるんですか?」
俺も千歳さんも駒里楓先輩の前で思わず絶叫したけど、その時、それまでノホホンとしていた先輩の顔が急に真面目に、それも超がつく程の真面目な凛々しい顔になって
「あなたたち、言っていい事と悪い事はTPOを考えて言うべきです!」
「「!!!!! (・・;) 」」
「たしかに少々強引に二人を加入させようとした事は認めますが、このSKTKは慈善活動団体であり、営利目的や趣味・娯楽の為の活動をしている団体ではないという事だけはハッキリ言っておきます。今、こうして君たちと議論している間にも、世界ではその日の食べる物にも困っている人が億単位でいます。ロクな教育も受けさせてもらえず、毎日毎日休みなく働かされている子供たちが世界には一体どれだけいるのか御存知ですか?コップ1杯の水を得る為に数キロもの先にある水場から何十キロもの重さの水を抱えて歩いている子供が大勢いるという状況を君たちは分かっていますか?それを知っていて発言したのならある意味、都合の悪い事に目を瞑って立ち去る不届き者と同じです。そのような事があるという事すら知らないのなら、あまりにも平和ボケした
捲し立てるように超がつく程の真面目な顔で俺と千歳さんに説教した駒里楓先輩だったから、俺も千歳さんもタジタジになっていたけど、ここでさっきまでのノホホンとした顔に戻った。
「それじゃーあー、気が向いたらウチに声を掛けてねー。いつでも歓迎するわよー」
駒里楓先輩は笑顔で右手を振って教室から出て行ったから、俺だけでなく千歳さんも、それに教室にいた連中も唖然とした表情で駒里楓先輩を見送る事しか出来なかった・・・。
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