第12話 一卵性の三つ子(?)
この後は来賓の紹介、祝電の披露、吹奏楽部の生演奏による合唱部の校歌斉唱と続き、最後の最後は先生方の紹介だ。ただし、担任と1年生に関係ある先生方、それと生徒会三役だけしかステージに上がってない。それらが3列に並び、一番前の列は9人、つまり教頭先生と1組から8組までの担任だ。俺たちから見てステージの一番右には校長先生がマイクを持って立ち、「では、教頭先生から自己紹介をお願いします」と言ったので、一番左でマイクを持っていた教頭先生が「教頭の
1年1組の担任は20代後半から30代前半と思われる男性教師で「1組から4組までの英語を担当する
1年8組の担任の自己紹介が終わったところで2列目の先生方が前に出てきた。この先生方は副担任や2年生、3年生の担任、あるいは担任外だけど一部のクラスの一部の教科を担当している先生で、その先生方の自己紹介が終わった時点で3列目の学校事務や養護教諭、購買部担当などの関係者、それと生徒会三役が前の列に出てきた。
でも、その3列目が出てきた時、講堂内に騒めきが起きた。それも生徒だけでなく保護者席からもだ。
俺も思わず「マジかよ」と言ってしまったし、隣に座っていた
しかも、俺はこの人をどこかで見たような気がすると一瞬思ったけど、それがどこでだったのかを思い出した!そう、さっき玄関を入ったところで1組と2組の受付担当をしていた、あの3年生だ。
千歳さんが俺の袖を軽く引っ張ったから俺は千歳さんの方を見たけど、千歳さんも興奮したような顔で
「あの二人のどっちが受付していたのか分かる?」
「いや、マジで俺も分からん。どっちかだというのは分かるけど」
「ですよねー」
「いやー、初見なら絶対に見分けがつかないぞ。あー、いや、ちょっと待って、髪の分け方が右と左で違うみたいだけど、さっき受付していたのはどっちだったかなあ」
「さすがに私もそこまでは覚えてないわよ。まさに鏡写しよね」
「男が会長だというのは在校生代表挨拶をしたから分かるけど、となると副会長は二人とも女子という事だよな」
「そうね、しかも誰かさんが鼻の下を伸ばすくらいに綺麗な人よね」
「勘弁してくれよお」
「ま、あれは不問にしておくわよ」
「不問の意味が分からないけどー」
俺と千歳さんがそんな会話を小声でしているうちにマイクは生徒会長の手に渡り、「生徒会長の3年2組、
生徒会長は左にいた女子にマイクを渡したけど、その3年生女子はマイクを受け取るとニコニコした表情を崩すことなく話し始めた。
「えーとー、副会長のー、3年2組
それだけ言うと軽く頭を下げてマイクをもう一人の女子生徒に渡したけど、あまりのノホホンぶりに俺も千歳さんも拍子抜けしたくらいだ。さっき受付をした子とは全然口調が違うぞ!?となると、もう一人の子が俺たちの受付をした方かあ!?
そんなもう一人の、いや、ステージ上の最後の人物はマイクを握るまでは先ほどの副会長と同じくニコニコ顔だったけど、マイクを握ると急に超が付く程の真剣な顔になり息を思いっきり吸ったかと思ったら
「あたしが副会長兼風紀委員長の3年2組
そう言うとその女子は、あー、いや、風紀委員長はマイクを下ろし、さっきまでのニコッとした表情に戻ったけど俺も千歳さんも唖然としてしまった。双子だから声がさっきの副会長とソックリなのは想像通りだけど、こっちも受付をしていた子とは雰囲気が全然違う・・・。
これじゃあ、どちらが受付をしていたのか判断がつかないぞ!まさかとは思うけど一卵性の三つ子などと言わないだろうな!?
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