第3話 ー「女の子による監視?」ー

今日もちまちまと勉強をしている。

隣では、レイアがお菓子を食べている。

いつもの風景。


ピンポーン


「誰か来たわよ」

「ああ、出てくる」

玄関に行く。

「誰ですか」と聞くと、

「スノウだ。開けてくれ」

「鍵持ってるんだろ?自分で開けても」

と言ったものの返答は分かっていた。

「君に開けて欲しいんだ」

「はいはい」

ガチャとドアを開ける。

目の前には短髪の女の子がいた。

「では入るぞ」

と言ってスノウはさっさと奥へ。

「オイオイ、ま、いつもの事か」

と呟き、僕も奥へと戻る。


スノウは、レイアと話し込んでいる。

「ではレイア、来週の定例会議には出てこいよ」

「いやー、面倒くさいわねー。スノウ、貴女が代わりに話してくれない?」

「それは無理だ」

と言うとこちらを向いて、

「アイツの監視があるからな」

と呟いた。

はいはい、僕は監視されてるのですね。

まー、女の子と一緒なら結構楽しいし。

?、楽しかったっけ?

とか鬱に入っていたら、話は終わっていた様で、

「では帰ります。レイア、健二君、また来週会おう」

と、帰ろうとしていたのでレイアが、

「まだ良いでしょ、遊ぼうよー」

「い、いや、私は…」

「いいじゃない、少しぐらい遊んでもバチは当たらないわよ。だから、ね」

と誘うと、スノウはしぶしぶ

「まあ、そう言うのなら」

と承諾した。

「ようし、では遊ぼう!」


「ふん、私の勝ちね」

「ここまでとは。次行くぞ次っ!」

「やれやれ」


僕達はトランプの大貧民をやっている。

ど定番のゲームだが、

しかし、レイア。相変わらずやたら強いな。

レイアがほぼ一番になっているから二位三位の順位争いは結構大変だ。

そこも含め面白いのだが。

ただ、スノウは、のめり込むタイプなのか口調が普段と変わって雄々しくなっているぞ。

「くーまた負けた。もう一丁やるぞ!」とか普段言わないだろ。

まあ、こっちも辞めるまでトコトンやるつもりだが。


レイアが20勝した所でお開きとなった。

その他では、僕が3勝スノウは1勝だった。

レイアどんだけ強いんだお前。

結局スノウは、「今度は沢山勝ってやる」と遠吠えを言いながら帰っていった。


さて、レイアの会議の日。

「健二、わたしが居なくてもちゃんとやるのよ」

「お前は僕の母さんか。まあ、しっかりやるよ」

「スノウによろしくね」

「ああ」

レイアは、名残惜しそうに出かけていった。


スノウはレイアと入れ替わる様にやって来た。

「では、何をしますか?」と、聞いてきたので、

「じゃあ、出掛けるか」

「はい」

外出する事にした。


「何か用事があったのですか?」

とスノウが聞いてくるので、

「勉強も一区切りやったし、気晴らしでね」

と答えたものの、取り敢えずいつもの様に気にしている事を聞いてみる。

「何で離れているの?」

「監視ですから」

と、素っ気ない返事。

そう、スノウは僕の後ろのビルの影や電柱の影などに隠れて僕について来ているのだ。

僕が歩けば後ろからスタスタ、シャっと。

僕が後ろを振り返ればシャっと影に隠れる。

言葉は悪いけどまるでストーカーの様だ。

まあ、もう慣れたけどね。初めはびっくりし

たけど。


取り敢えず本屋で立ち読みをする。

漫画を読みながら、スノウの様子もチェック。

うんうん。本を読むふりをしながらこちらを見てますね。

睨むというかガン見してますね、こりゃ。

ひとしきり読み終わったら次はカフェへ。

軽くランチを食べる。

うーん、本屋で買った雑誌で顔を隠しているけれど、確実にこちらを見ながら食べているな。

ほらほら、パスタが口の中じゃなくて頬に当たってるから!

注意をしたい衝動に駆られるが、ここは我慢だ。

スノウも任務でやっている事だし。

!そうだあそこへ行ってみるか。

僕は店から出ると、電車を乗り継いでとある場所へ。

スノウもこちらに気を取られているのか、もたもたしながらも、ついて来ているのを確認。

そして目的地へ。

そこは。


「水族館なんて久しぶりだな」

しばらく来ていなかったから、内装とか変わってしまったのではと思ったが、そんな事は無くて。思い出のままだった。

少し感傷に浸ってしまった。

スノウは…。

スノウは影の方でパンフレットで顔を隠しながらこちらを監視中だった。

まあ、少しは楽しんでくれよ。

と、思いながら僕も色々見て回るのだった。


家に帰った。

家では隠れる所も無いので、スノウは隣にちょこんと座っている。

「水族館は楽しんだか」

と聞くと、

「貴方の監視で忙しかった」

と答えたが、

グッズが入ったバッグが置いてありますよね!

沢山入ってますよね!

と取り敢えず僕は心の中でツッコミを返した。

顔には出さずに。


それから、隠れて無いので他愛無い話をしていると、レイアが帰って来た。

「健二はどうだった?」

「いつも通り、何事もありませんでした」

「そう、それは良かった」

と、グッズの入ったバッグを見つけ、

「これは?」

「はい、可愛いかったのでつい」

「まあ、いいけど。買い過ぎて部屋から溢れ出さない様にね」

「分かりました、レイア。ではそろそろ私は帰るので」

「うん、じゃあ」

と、スノウは最後にこちらに笑顔で会釈しながら帰っていった。


「何かスノウ、楽しそうだったけど、何かあったの?あと、あのグッズは?」

「まあ、今度お前も連れて行ってやるよ」

「なら、良いけど」

そしてやっぱり、

「疲れたから、ゲームでもやろ、健二」

取りあえず水族館の事とかは頭の隅に追いやって、今はゲームの事に集中するのだった。

ーー>続く

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