ハレルヤ
芥庭 深乱
第1話
私は言ったのだ。
「友達って必要なの?」
私の前に立っている女の人は私に言った。
「必要だよ、とても必要」
私はこの女の人が言っている意味が理解できなかった。どうして必要なのだろうか。もし出来たとしても、傷つけあうだけで自分は何を得るというのだろうか。私はじっとその女の人を見てまた言うのだ。
「友達なんて捨てちまえばいいんだよ」
「そうはいかない。私にとって大切なものだから」
なんだそれは。自分が傷ついてまでいるものなのか。要らないだろう、そんなものは。私はその女の人をかき消した。自分に不要だと思ったから。
私の目の前に女の子が立っていた。その子はこの世の中を信用していないような、そんな目をしていた。私の胸より下ぐらいの身長の女の子は言った。
「友達って必要なの?」
私はこの子を誰か知っている。この子は…
「必要だよ、とても必要」
私はそう答えた。いつかこの子にもわかる時が来る。私はそれを知っている。
「友達なんて捨てちまえばいいんだよ」
「そうはいかない。私にとって大切なものだから」
私にとって大切だから。誰かに言われて手放すようなそんな存在ではない。この子はいつかわかる時が来る。
私は友達がいない。
昔の私は友達がいなかった。
未来の私には友達がいる。
今の私は友達がいる。
ハレルヤ 芥庭 深乱 @akutabamiran
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