第5話 Epilogue

崩れ落ちた屋上から落ちない様にゆっくり下を確認する僕と澤田さん


「終わったね。」

「・・・うん」

「いてて。」

安心すると先程フェンスにぶつけた時の痛みが一気に身体に来て倒れてしまった。


「大丈夫!?園田くん!!」

「ハハハ・・・なんとか。」


覗き込む澤田さんの顔を見ていると

いつの間にか僕等は、何と戦って何の為に戦っていたのか忘れていた。


恥ずかしくなったので屋上から見える景色に目を移した。

気づけばいつの間にか陽が落ち始め、空は綺麗な夕焼けになっていた。


景色を見る僕を見て澤田さんも景色を見始める。

「うわー!凄く綺麗だね!」

澤田さんの表情は、夕陽に照らされている為か。

今まで見た中でも一番と言って良いほどに輝いて見えた。

「うん。疲れも吹き飛ぶね」

「うん!」

「でも澤田さんと見れて良かった。」

自然と出たその言葉に、やってしまったと澤田さんの方を振り向くと

不思議そうにこちらを見つめている。


「え?」

「あ・・・いや。その・・・。」


一瞬何が起きたのか。何を言ったのか自分でも理解できなかった。

あれ?今僕、可笑しな事言った?

少しの沈黙の時間が経ち、どうせならと

僕は勇気を振り絞り澤田さんへの想いを口にした。


「澤田さん。」

澤田さんの顔を見ると、告げようとした言葉が詰まった。

「・・・はい」

しかし彼女の表情は、何処か期待しているようにも思えた。


「好きです!ずっと前から・・・!」

気が付くと無我夢中に、

そのまま勢いで立ち上がり手を澤田さんに差しだした。


「僕と・・・付き合ってください!!!!」


澤田さんは、少し迷い僕の手を握ってくれた。

顔を上げると笑顔でこちらを見つめてくれている。

それは照れ隠しにも思えた。


「【友達】からでもいいかな?」

「あ・・・。はい。」

崩れ去る僕の身体は、これまでの疲労感が圧し掛かる様に

重たく感じた。


澤田さんは、そんな僕を見て慌てながら、辺りを見渡し始め空を見上げた。

「あっ。」

「えっ?」

「流れ星だ。」


幾つもの流れ星が、空を駆け巡る。

その光は、まだ明るい空でも、十分わかる位に。


「でも、園田君と見れたこの景色は、一生忘れないと思う。」

そっと澤田さんの表情を見ると、凄く満足そうな表情をしており

僕の気持ちも、いつの間にか満足でいっぱいになっていた。


そして何故か、その表情を見て僕の中で、

決心が固められていた。


その後、皆の記憶から今日の一部の出来事は、忘れ去られ。

学校の復旧作業の為。

少しだけ早い夏休みが始まった。

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僕の言葉、君に捧ぐ。 ウキイヨ @ukiyo112

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