おまけ・若社長とバレンタインデー!

「スバルさん、カラオケ行きませんか」

 私、能登原のとはらこずえ――ああいや、もう藤井こずえだった。相変わらずなかなかこの名字に慣れないな――は、婚約者の藤井スバルさんをカラオケに誘ってみた。

 ちなみにここは私たちふたりで同居しているスバルさんのおうちである。

「こずえさんってヒトカラ派ではありませんでしたか?」

 そんな疑問を呈しつつ、スバルさんは目を輝かせている。犬だったらブンブンしっぽを振ってそうだ。

 ヒトカラ、つまりは一人カラオケの略称である。私は他人に聴かせられるほど歌に自信があるわけではないので、たいていひとりでカラオケ屋に行く。

 あと独りは色々と気楽なのだ。みんなで順番に歌うとどうしても歌える曲数や時間が限られてくるけど、一人カラオケなら自分の好きなタイミングで好きなように歌える。飲み物を頼むタイミングも自分で選べるので、歌ってる途中で店員さんが入ってきて気まずくなる心配もない。カラオケはストレス解消にもいい。

「スバルさんのデスボイスが聴きたくなってきて……良かったらふたりで、どうですか?」

 スバルさんはその細身の身体のどこからそんな声が出せるのか、デスボイスやシャウトを使った歌唱が得意である。つまりはロックとかメタルとかそのあたりだ。

 あの声は聴いてると癖になる……。

 小首をかしげて訊ねた私に、スバルさんは口元を押さえて顔をそらす。「……っかわ、かわ……」とつぶやいてるのが聞こえる。川?

「……いいですね、行きましょう。ふたりきりで、カラオケ」

 顔面をリセットして、キリッとした表情でスバルさんは了承してくれた。

「しかし一応、ゲーム機にカラオケ機能が搭載されたものもありますし、部屋は防音になってますが、そちらではダメなのでしょうか?」

 スバルさんはあまり私を外に出したがらない。彼自身があまり外に出るのが好きではないのもあるし、私を人に見せたくない、独占したいのだという。……独占とか、自分で言ってて恥ずかしいな、なんか。

「ちょっとカラオケ屋さんのほうがいいかな~って」

「わかりました。他でもない、こずえさんの望みなら」

 このキラキラ王子様オーラをまとったイケメンを外に放つと心配になるのは私も同じなのだが、今回は仕方ないのだ。

 どうしても、カラオケ屋さんに用がある。

 私たちは水曜日に余っていた有給休暇を取って、カラオケ屋さんに行くことになった。水曜日はレディースデーおよびカップルデー。私たちは少し安い料金で入れる。……まあ、お金持ちのスバルさんは割引とかあんまり気にしないだろうけど。

 と、スバルさんに言ったら、「わたくしも大学時代は流石に気にしましたよ、割引」と苦笑していた。

「どれだけ生活費を削減できるかにかかっていましたからね、学生生活」らしい。そういえばこの人、「大学の学費以外は全部自分で稼げ」という教育方針のおうちの生まれだった。その中から起業資金まで貯めちゃうのすごいよなあ……。鋼の精神だ。

 でもまあ、私の本当の目的はそんなみみっちい割引だけではないのだが、それは今は胸の中にしまっておく。

 とにかく、私とスバルさんは、今度の水曜日、カラオケに行く約束をしたのである。


 ***


「いい天気ですね、こずえさん」

「まあ、屋内に入るので天気はあまり関係ないですけどね」

 そんな話をしながらカラオケ屋の駐車場に車を停める。

 ちなみに、「天気がいい」とは言ったが、今日の天気はくもりである。

 我々日陰を好む者は快晴だと溶けるか灰になってしまうのである。吸血鬼か。

 雨が降るほどではないけれど、日差しが出すぎないくらいがちょうどいい。

 私たちはそんな天気を指して「いい天気」というのである。

 カラオケ屋に事前に予約を入れていた私たちはすんなり部屋に案内された。

 水曜日とはいえ平日だしそこまで人は多くないだろう、とたかをくくっていたが、思ったよりにぎわっていた。主に高齢者や主婦の団体が多い。若ければ大学生のカップルとか、一人カラオケとか。たしかに彼女たちには平日とか休日とか関係ないもんな。予約してなかったら危なかったかもしれない。

 とりあえず案内された部屋に入って、まずは飲み物を注文する。飲み放題フリータイムコースで入ったので、いくら飲み物を飲んでも大丈夫だし、夜の時間までずっと歌っていられる。のどさえ保てれば。

「何歌おうかな……」

 飲み物を待っている間、タッチパネル式のリモコンをピコピコ押しながら歌いたい曲を探す。カラオケの機種によって入っている曲が違うのでマイナーな曲だとなかなか見つからないときもある。

「こずえさんお先に歌っていいですよ」

「あら、いいんですか?」

「こずえさんの歌声をずっと聴いていたいくらいです」

「私の喉がもたないでしょう、それ」

 私は苦笑する。

「それに、前も言いましたけど、私もスバルさんの歌聴きたいんですよ?」

 ニコッと笑うと、スバルさんはまた口元を押さえた。

「……わたくしをニヤニヤさせるの、やめてください……」

 どうやら口がニヤニヤしてしまうのが止められないらしい。ホントに私のこと好きなんだな~、と他人事のように思う。

 だって、こんな絶世のイケメンに溺愛されてるなんて、夢か何かだと思うだろう。普通。

 やっぱり目が覚めたら病院のベッドの上だったとか、そういうオチなんじゃないのかなあ……。

 私はこの、私に都合の良すぎる世界を疑い始める。

「こずえさん?」

 スバルさんの声で、ハッと我に返る。

「すいません、なんでもないです」

「こずえさんは考え事が多いですね」スバルさんは微苦笑びくしょうする。

「……わたくしがいるときは、わたくしのことだけを見て、わたくしのことだけを考えていてくださいね?」

「っ……」

 くそっ……イケメンずるい……。自覚のあるイケメンだからなおさらたちが悪い。

「くやしい……」

「ふふ」

 私の発言の意図を理解できているのかいないのか、スバルさんは黙って笑うばかりである。

「お待たせいたしました~」

 そこへ、ドアを開けて女性の店員さんが入ってくる。

「玄米茶ふたつお持ちしまし、た……」

 店員さんの声は尻すぼみに小さく消えていった。

「ありがとうございます」

 スバルさんがニッコリ微笑んでお礼を言うと、店員の顔が赤く染まるのが見えた。

「あ、あの、少々お時間いただいてもよろしいでしょうかっ」

「? はい」

 店員さんがメモ用紙をポケットから取り出して何かを書く。

「こ、これ、連絡先です! よかったら……」

 店員さんの連絡先を書いたらしい紙片しへんをスバルさんに手渡す。

「すみません、わたくしには既に恋人がいるもので」

 スバルさんは私を手で指し示す。どうやら店員さんはスバルさんに夢中で私が見えなかったようで。

「アッ……し、失礼しました! ごゆっくりどうぞっ!」

 店員さんは顔を真赤にして慌てて部屋を出ていった。

「相変わらずモテますねえ……」

 ジト目でスバルさんを見ると、

「こずえさん以外にモテても仕方ないでしょう」

 と言いながら、店員さんに渡された紙片をビリビリに細かく破りちぎる。

「あ、せっかくもらったのにもったいない」

「持ってても使わないでしょう」

 部屋の隅にあるゴミ箱に紙のかけらを捨てると、

「……こずえさん、嫉妬してくださいました?」

 と、スバルさんはちょっと笑った。

 ホントこれ、夢とか幻覚とかじゃないのか。

「……まさか、仕込みとかじゃないですよね……?」

「そんなわけないでしょう」

 怪しいものだ。けど、きっぱり否定しているときのスバルさんは、多分嘘はついていない。

「はいはい、嫉妬しましたよ。けますね~」

 わざとぶっきらぼうに答える。

「ちゃんと、真面目に答えてください」

 スバルさんは私のあごに手を添えて、持ち上げる。顔を持ち上げられているし、固定されているから、スバルさんから顔も目もそらせない。

 ……これは、いわゆる顎クイってやつか。何これ少女漫画? いつの間にか少女漫画の世界に迷い込んだ?

「……っ、……すごく、モヤモヤしました……。多分、嫉妬してます……」

 渋々素直な気持ちを伝えると、スバルさんは満足したようだ。でも、手を離してくれない。そのまま顔が近づいて――

「失礼しま~す。ご予約のチョコレートケーキお持ちしました~」

 さっきとはまた別の、男の店員さんが入ってきて、私は思わず反射でスバルさんを突き飛ばしていた。あっぶねー! キスしてるとこ見られるとこだった!

「? お客様、どうかしました?」

 店員さんはソファからひっくり返っているスバルさんを見て、不思議なものを見るような目で言った。

「いえ、なんでもないです。ケーキありがとうございます」

 私はなんとか平静を取り繕って店員さんに笑顔で答える。

「ごゆっくりどうぞ~」

 店員さんが出ていって、ドアが閉まった。

「あいたた……」

 ひっくり返っていたスバルさんが後頭部に手を当てながら起き上がる。少し髪が乱れている。

「ああっ、スバルさんごめんなさい!」

「いえ……」

 私の手を取って、スバルさんがソファに座り直す。

 どうしよう、私『イケメンを突き飛ばした罪』とかで捕まったりしないだろうか。

 いや、そんな罪状がないのはわかってるけど、他の女性がこの光景を見たら私刑リンチにされそうな気すらする。

「まさかこずえさんに押されたくらいで倒れるとは……ジムとか通って筋肉をつけるべきでしょうか……」

「え、私スバルさんは今のままがいいな……細身の男の人のほうがタイプだし……」

「そ、そうですか? でも、細マッチョくらいにはなったほうが……」

「いえいえ、筋肉なんていらないですよ、邪魔なだけですよ、体重増えるし」

「そうですかね……? まあ、こずえさんがそう言うなら……」

 すでに財力やら権力やら絶大な力とスペックを持っているスバルさんが筋力まで手に入れてしまったら、もう誰にも止められなくなってしまう。

 婚約者である私ですら制御しきれてないのに。

 ――と思ったが、口には出さないことにした。

「ところで、このチョコレートケーキは? いつの間に予約していたんですか?」

 スバルさんは首をかしげる。

 私がスバルさんに内緒で用意させたものだ。

「知ってると思いますけど、今日はバレンタインデーなんですよ」

「そうなんですか? ぞんじ上げませんでした」

 嘘つくな! 昨日、新しく入ってきたばかりの女子社員から「明日社長が休みって聞いて」ってチョコもらってたでしょうが!

 まあ家に帰ったあと、「爪とか髪の毛とか血液とか入ってたら怖いので」って食べずに捨ててたけど。

 ……本当にそんなやばいもんチョコに混入する女いるのかな? と思ったけど、多分スバルさんは経験済みなのだろう。

「それでケーキを用意してくださったんですね、ありがとうございます。このあと、手作りもくださるんですよね?」

「え? 手作りはちょっと用意してないんですけど……」

「え? 何故ですか?」

「え? なんでって……」

 手作りチョコ作っても中に何入ってるか分からないからどうせ捨てるんでしょう?

 そう言うと「とんでもない!」とスバルさんはキッパリ言った。

「こずえさんの作ったチョコなら身体の一部が入っていても問題ないですし、むしろご褒美では!?」

「あなたは何を言ってるんですか!?」

 スバルさんのこういうとこ! イケメンじゃなかったら普通に気持ち悪いぞ! 好きだけど!

「アホなこと言ってないで黙ってケーキ食べなさい! た、食べさせてあげますから……!」

「!」

 私の言葉を聞いて、スバルさんは少年のように目を輝かせる。

 チョコレートケーキをフォークで小さく切って、スバルさんが開いた口の隙間すきまに入れる、その一連の動きを繰り返す。

 お花見のときのひな鳥に餌付えづけするような感覚とはまた違った。

 スバルさんは溶けたチョコのようなとろけた笑顔を浮かべていた。私はこの顔を見るたびにヤバい、と思う。しかも私相手にしかこの顔をしない。ヤバすぎる。ヤバい以外の語彙ごいがない。

 チョコが口の端についたのを舌で舐め取ったときの顔も色っぽい。口からちらりと見えた赤い舌が頭から離れない。

「はあ……ありがたき幸せ……ごちそうさまでした」

 チョコレートケーキを食べ終わって、スバルさんはこの世の全てに感謝するように手を合わせた。

 なんだかその様子は、スバルさんに話しかけられる前、私がスバルさんをおがんでいた頃に似ている。

 そのあとは普通にカラオケを楽しんだ。

 やっぱりスバルさんは顔だけじゃなくて声もかっこいい。話しているときと歌っているときの声が違う気がする。それがまたいい。

 私が歌っている時、スバルさんはスマホを手に持っていて、「あ、私の歌に興味ないのかな」と思っていたらスマホで録音していただけだった。消させた。

「こずえさんの歌声を堪能たんのうできて最高に幸せです」

「言い方もうちょっとどうにかなりません? あとバックアップもちゃんと消しておいてくださいね」

「そんなご無体むたいな!」


 ***


 カラオケ屋を出て、スバルさんが「少し寄りたいところがあるのですがよろしいですか?」と車を走らせた。

「寄りたいところって?」

「ちょっとこずえさんと一緒に行きたいところがありまして」

 そう言って連れてこられた場所はとあるホテルだった。……ホテル?

「ああ、そう身構みがまえないでください。そういう意味じゃないんです」

 スバルさんから距離をとろうとする私をなだめるように、スバルさんが手で制する。

「わたくしが用があるのは、このホテルの一階でして」

 そして、車を降りた私の手を取って道案内する。

 ホテルの一階にある一室――普段は宴会場として使用されているようだ――のドアを開けると、チョコレートの甘い香りが漂ってくる。

「わぁ……!」

 部屋の中はチョコレートを使ったスイーツでいっぱいだった。ガトーショコラにザッハトルテ、トリュフチョコにブラウニー。

 マシュマロをチョコフォンデュにするためのチョコレートファウンテンがチョコレートの泉のように湧き出している。

「せっかくのバレンタインなのでこういうところでスイーツを食べるのもオツなものでしょう?」とスバルさんが微笑む。

 やっぱり今日バレンタインって知ってましたよね?

「でもスバルさん、さっきチョコケーキ食べたのに大丈夫ですか? 胃もたれとか胸焼けとかしません?」

「まだそういう歳ではないので大丈夫です」

 そもそもこずえさんとは三つくらいしか歳違わないでしょう、とスバルさんは心外そうな顔をする。

 ちなみに私が二十五歳でスバルさんが二十八歳。スバルさんのほうが三歳年上だ。

 まあそういうわけで、私たちはチョコスイーツを堪能したのである。

 しかし、こういうスイーツバイキングというものは、カップル以外は女性が多いものである。

 必然的に、スバルさんは目立つ。たいそう目立つ。もう女の子たちがスバルさんをチラチラ見ながらキャイキャイしてるのが見えてるもの。

 そのうちスマホでも向けられて盗撮されるんじゃないのか、と心配していたら、

「こずえさん、チョコついてますよ」

 と、スバルさんが指の腹で私の口についたチョコをすくいとって――めた。

 キャー、と女の子たちの歓声が聞こえる。

「す、スバルさん……人前でイチャイチャするのは、ちょっと……」

 私は個人的な感情として、バカップルと呼ばれるような人種にはなりたくない。

 というか、本当にスバルさん目立つの嫌いなんですか? いやもう存在自体が目立つんだけどさ。

「おや、これでも抑えてるほうなんですよ? 本当なら直接舐め取りたいくらいですのに」

「な、ななな……」

 私は頭が沸騰ふっとうしそうだった。スバルさんの隣りにいるせいで目立ってしまっていることにも、スバルさんの思わせぶりな態度にも。

「おや、顔が赤いですね。熱でも出ましたか? ホテルで休んでいきますか?」

「休みません! 大丈夫です!」

 私はついつい大声で叫んでしまいそうになる。危ない。これ以上目立ちたくない。

 それにしても、すきあらばすぐホテルで休みたがるな、この人。

「ところで、こずえさんはウェディングドレスと白無垢しろむく、どちらがお好みですか?」

「へあ?」

 突拍子とっぴょうしもない話題に、私は変な声が出てしまった。

「ほら、婚約したからにはいずれは結婚しなければいけないでしょう」

「あっ、そ、そうですね」

 結婚。この目の前のイケメンと、私が、結婚。病院のベッドの上で見てる夢なら、死ぬまで覚めなくていい。

 まあ現状でも入籍は済ませてるし同居して一緒に生活しているので既に結婚しているも同然なのだが、それはそれとして結婚式はやっぱり憧れちゃうよね。

「そうですね……やっぱりウェディングドレスには特別な憧れがありますよね。白無垢は……和風の結婚式見たことないからよくわからないなあ」

「なんでしたら二回結婚式をげるか、お色直しで一回の結婚式の中で着替えるのもいいかな、と思ったのですが」

「スバルさんってときどきムチャクチャなこと言いますよね」

 白無垢はよくわからないけど、紋付袴もんつきはかまを着たスバルさんは正直めちゃくちゃ見たい。

 でもタキシードも当然似合うだろうな。うーん、悩ましい……。

「あとは新婚旅行のプランも立てておきたいですね。どこか行きたい場所はありますか?」

「行きたい場所……」

 急に言われるとパッと思いつかないものだなあ。

「わたくしの行き慣れたハワイなら案内もできるのですが、こずえさんがパスポートを取得する時間を考えるなら国内のほうがいいかな、と」

「パスポート持ってないことも調査済みですか」

 私は苦笑した。どこまで私なんかのことを調べ上げてるんだか。

「国内でメジャーなところだと、熱海あたみとか箱根とか沖縄とか?」

「長野の別荘でふたりきりもいいですね……」

 別荘持ってるんだ……。

「あとは、北海道などいかがでしょう」

「北海道! いいですねえ!」

 おいしい食べ物、豊かな自然、歴史ある建造物。北海道は日本人が一生に一度は行きたい憧れの地である。

「海鮮丼とか食べたいなあ」

「海鮮丼でも回らないお寿司でも、いくらでも食べさせて差し上げますよ」

「やったー」

 まだ結婚式の日取りも決まっていないうちから、新婚旅行の話に花を咲かせる。こういう計画を立てている時間が一番楽しいよね。

挙式きょしきはいつにしましょうかねえ……ジューンブライドに憧れとかございますか?」

「でもジューンブライドってヨーロッパの文化でしょう? 日本でやったら梅雨の時期ですし、雨のなか招待客においでいただくのも申し訳ないなあ……」

「さすがこずえさん、博識ですね」

 いや、こないだジューンブライドについてネットで調べてたら出てきた知識なので、そんなべためされても困る。

 なんだかんだ言って、私も私のほうで式はいつにしようか考えてはいたのである。

「まあ、とりあえず大安の日が安定でしょうか……。式場予約できるか調べておきますね」

「お願いします」

 そうして私たちはチョコスイーツをたらふく食べた。もう一生分はチョコを食べた気がする。

 しかし、スバルさんはそれでもきることなく、私にチョコを手作りするように要求するのだが、それについては割愛かつあいする。


〈おわり〉

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