第2話
昨日はかなりツイていた日だったと思う。
理由の一つはいい天気だったこと。誰かと出かけるとき、殆どの場合は雨が降る。お陰で、さほど仲が良くない野郎から、部活の応援に来てと、真剣に訴えられた。一片の下心無しにだ。
もう一つ、昨日、運が良かったと思える理由がある。それは、笹塚をきちんと誘拐出来たからである。
昨日、夕日を見ていたとき、私は彼に紙パックのミックスジュースを手渡し、案の定彼はゴクゴク飲んだ。そこに睡眠薬がミックスされていることに気づかずに。
私の手元に紙パックが戻って来たとき、かなり軽くなっていた。もちろん、笹塚は数分後には深い眠りについていた。
私がこの日記を書いているのは、自己満足の為が半分、もう半分は、これが自己紹介になるからだ。死んだら秘密にすることなんて全くない、そのとき『私』についてしっかりと分かって欲しい。だから、今も日記を書いている。
誰でもいい、この日記を読んだ人は何故笹塚って人を眠らせたかったのか不思議に思うだろう。なので、しっかりと話そうと思う。
私が笹塚を眠らせた理由、それは、彼が本当に私のことを好いているのかが知りたかったからだ。
昔から彼は私を襲ってくる。もう、襲い癖があると断言出来る。そして、その頻度がどんどん高くなっている気がする。一昨日も襲われた。
付き合いたてのときには大好きと何度か言われた。だが、彼の中では「大好き」の回数とセックスの回数が反比例するのだろうか、最近彼の口から「大好き」だの「愛してる」だのがちっとも出てこない。百歩譲って「月が綺麗ですね」でもいいのに。
ともかく、私は笹塚に好かれているのか全くわからない。
最近、私はJKを装って、援助交際を一回だけ行った。ただのセックスに愛はあるのか確かめる為に。
結論から言うと、無かった。相手のおっさんはただただ快感だけを求めていた。まるで獣だった。私にとっては今までで一番気持ち良くなかったセックスだった。相手の名前は
これで、愛してるから笹塚が私を襲う訳じゃないことがわかった。だが、それでは私を襲う理由にはならない。
なので、直接聞き出すことにした。笹塚が私とのエッチをしきりに求める訳を。
そして、笹塚を眠らせた後、「手伝ったらもう一回シてあげる」と嘘をついて呼んだ向原に手伝ってもらい、車で私の家に笹塚を運んだ。
やっと、彼の本心を聞ける、そう思うと気持ちが逸る。だが、飲んだ量から推定すると、あと一時間くらいは寝ているはずだ。
まずは彼をちゃぶ台の上に乗せた。そして両手と両膝をそれの脚に括り付け、最後に彼の胴とちゃぶ台を紐で縛った。外にはみ出た足は床にしっかりと固定しておいた。
一瞬彼がガリバーのように見えた。だが、彼は裸なので、ガリバーよりも酷くなっている。
あとは彼が目を覚まし、尋問をするだけだ。
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