第2話
俺達は試しにお互い謝ってみた。
すると、俺の大事にしているシャーペンが跡形もなく消え、そして駆の大事にしているストラップも消えてしまった。
「すげぇ!本当に消えたな。」
「本当だ。どこにも無い。他の人達はどうなってるんだろう。教室に見に行ってみようぜ。」
「おぅ、駆乗り気じゃん。」
教室に入ってみるとちょうど誰かが謝る声が聞こえた。その声の方向に目をやると、視界にあったはずのノートがまた跡形もなく消えてしまった。しかしその声の主はノートが消えたことに全く気づいていないようだった。
「なぁ、智。今の見たか。」
「あぁ、あいつ、謝ってノートが消えたのに、まるでそもそもノートなんてそこに無かったような反応だ。」
「それじゃあ、謝って物が無くなることに気づくのは俺達だけってことか…。もうしばらく他の人達観察してみるか。」
それから数日、俺達は謝罪の言葉に耳を傾けながら生活していた。何度確認してみても、俺たち以外は誰も物がなくなったことに気づいていない。
それからまたしばらく経った頃、俺はとんでもない光景を目撃してしまった。廊下を歩いていたらたまたま、クラスの優等生の
「ごめんね、
(真希さんの彼氏って将人っていう名前なんだ。ふーん。……いや、ちょっと待てよ、何か違和感が。)
すぐさま後ろを振り返るとそこには真希さんしかいなかった。男の姿はなかった。
「ま、真希さん、今っ…。」
「あ、智くん。どうしたの、そんなに焦って。なんか今私すごく大きいひとりごとを言ってたみたい。なんでだろう…あ、もう授業始まっちゃう、急がなきゃ!智くんも遅れないようにね。」
「あ、あぁ。」
俺は、何かとてつもない間違いを犯してしまったのではないかと恐ろしい不安に駆られた。
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