記憶を失った名探偵

白川祐一

私立T高校爆破事件

歳は50歳ぐらいで体格は身長は高い方なのだがお腹がぽっこり出ているのが気になってる青木健は警視庁捜査一課の元刑事。だが、あることをきっかけに刑事を辞めて青木は探偵事務所を設立した。色々なことが終わり一息ついていると呼び鈴がなった。

「はーい、どちら様でしょうか?」

とドアを開いてそう言った。そこには青年が立っていた。

「あっ、少し相談があってこちらにお伺いしたのですが」

「そうなんですね。中にどうぞ」

と言って訪問客を事務所の中に通した。ソファーに対になって座った。コーヒーなどを出して少し落ち着いてから

「あっ、申し遅れました。こういったものです」

差し出された名刺には山本徹としか書いてなかった。

「やまもととおるさんでよろしいですか?相談とはどう言ったものですか?」

「はい、実は私少し前までは探偵職志望だったんですけど機会に恵まれず、会社に就職したのですがどうしても諦めきれなくて」

「そうなんですか。あっ、話を止めてしまいましたね。続けてもらえますか?」

「なので近くに探偵事務所ができることを知ってこの機会しかないと思って会社を辞めて弟子にしてもらいたいと思いまして」

「そうだったんですか。弟子はこちらとしても大歓迎なんですが」

「ホントですか?」

「これからよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

この日から青木の事務所に新しい仲間が加わった。

数日後また訪問客が来た。

「やぁ、健。元気にしてたかぁー?」

こんなことを言うのは青木が刑事時代の親友でライバルでもあった渡辺進二ぐらいだろう。彼は青木とは同じ年齢で身長は同じぐらいなのだがお腹が出ていないのである。

「元気にしてるよー」

「それはいい事だ。そちらの方は?」

「俺の弟子なんだけど何か?で、進二が来るってことは何か大っきいもんでも起きたんか?」

「そうやったや。さすがは勘が鋭い。これは早いうちに対策を取っておかないとてなったもの」

と言って渡辺は持っていた紙袋の中から資料をいくつか取り出した。

私立T中高校爆破予告事件

と題してある数枚の資料に軽く目を通すと

「確か、進二の子供てここの学校の1期生て言ってなかった?」

「そうだけど、何かあった?」

「弟子の子がここの学校の1期生て言ってたから」

と言われて弟子の徹は律儀にお辞儀をするんだった。

「偶然だな」

青木は何かに気づいてしまったのか少し様子がおかしかった。

「で、ここの学校の人の話とかが聞きたいんだけどどうすればいい?正直、渡辺がいないと教えてくれなさそうな気もするんだけど」

「じゃあ、こっちで話を通しておくから事前に連絡だけしてその指定した日になったら行ってこればいいよ」

「分かった。連絡だけとって行くよ。あと、この資料もうすこし借りてていいか?もう少しじっくり見て見たい」

「健がそう言うと思って原本をコピーしてきたものだからあげるよ。じゃあ、俺はこの辺で帰るよ」

と言って帰っていた。

渡辺が帰って落ち着いてから

「あっ、紹介してなかったね。今来たのが俺の刑事時代の親友でライバルだった渡辺進二だよ。じゃあ、ちょっと連絡だけしてくるよ」

「そうなんですね。だからあんなに親しく話していたんですね」

そんなような会話をして青木は学校に連絡をとるため別の部屋に移動した。

「もしもし、探偵事務所をやってる青木健というものなのですが今回の事件の件で少し伺いたいことがありまして」

「ちょっと、お待ちください。私では判断が難しいので上のものを呼んできます」

最初に出たのは受付係の人だろうかと考えて相当大きな学校なんだなと思っていると

「青木様でいらっしゃいますか?」

「そうです」

「渡辺様からお話は伺っております。是非いらしてください」

「分かりました。では、今週末の土曜日あたりに伺いたいと思います」

「了解致しました。では、お待ちしております」

と会話をして電話を切った。

その後、徹が

「僕も電話をかけたい所があるので電話借りたいんですがいいですか?」

「ああ、いいよ」

「では、かけてきます。失礼します」

と言ってさっき青木が電話をかけていた部屋に行った。

使い方とか分かったかなと心配になった青木は徹がいる部屋に行くとあることを聞いてしまった。そして、青木はそれを聞くと何かに確信を持ったようでニヤついた。

次の日、徹が起きて青木はこんなことを言った。

「徹くん、ここに来てから何か隠してることない?」

「なんにもないです。どうかしましたか?」

「偽名使ってるでしょ?渡辺徹くん」

「どうしてそれが」

「最初の違和感は渡辺が来た時、自分の子が学校の1期生て言った。その後、顔がやっちまったみたいな感じだった。で、徹くんも卒業生だと言っていた。こんな偶然ないと思った。確信が得られたのは昨日の徹くんの電話。あの時たまたま聞いちゃったんだよね。学校側に渡辺徹ではなく山本徹て呼んで欲しいという事を頼んでいる所をね」

これを聞いた徹は

「あははは、いつかはバレると思ってたけどこんなにすぐとは」

「正直、渡辺の息子がやってきてるなんて思ってもいなかった。でもなんでそんな事をしたんだい?」

「親と比べられたくなかったんです。お父さんがたまに自分の仕事の話をしてくれるんですけど話を聞いてると仕事で多くの功績を残している風に思ったんです。それで自分が劣っていたら…て考えると恐ろしくて…もうこれ以上比べられたくないんです」

と目にすこしだけ涙を浮かばせて言った。

「そうか。そうやったんやな。お父さんはいい警察官だよ。誰とでも親身になって話せる。だからこそ評価されるんだと思うよ。全てで評価されようと思うんじゃなくて何か一つ評価される事でも俺はいいと思うよ」

「そうですね。何かが吹っ切れたような気がしました」

「そうか。なら良かった。あっ、言っておくけどお父さんとは比べるようなことは言わないから安心して。たまに思い出話でもしてあげるよ」

「あ、ありがとうございます」

「そうだ。この前の事件の話をしてあげるよ」

「この前の事件ですか?」

「警察官を辞めるきっかけとなった事件」

「トラウマとかになってないんですか?」

「別になってないよ。じゃあ、始めるね」

と言って語り出した青木。話した内容はこんなような事だった。

爆弾魔を逮捕しようとして追い詰めたら爆発に巻き込まれてしまい記憶が一時的になくなってしまった。その後、病院に行って診察を受けると突発的な記憶喪失だと言われた。なので、日常生活は普通に過ごすことはできるし後遺症もない。失った記憶はその時の事件に関することだけだ。だが、青木は警察官を辞める決断をした。

そんな感じなようなことを話した。

「辞めた理由それだけじゃないですよね?」

と話が終わると徹が聞いてきた。

「鋭いね。そうだよ。俺が居なくても進二がやってくれると思った。それぐらい信頼出来るやつだよ。そんな感じでこれから過ごしていきたいと思うよ。改めてよろしくお願いしますね」

「そうだったんですね。信頼し合える関係。こちらこそよろしくお願いします」

と事務所の立ち上がりの時に起こったことが終わった。

後日、事件のことで話を聞きに私立T校に来たのだが

「進二、来てたんか?」

「そっちこそ来てたの?」

気が合うのか合わないのか両方とも同じ日に行く予定だったみたいだ。

「じゃあ、いくか?」

「そうだな」

3人揃って学校の中に入っていくと

「渡辺様、青木様、山本様ですね?」

「そうですが」

「お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」

と言われて案内されて着いた部屋は校長室。

すると扉が開き

「お待ちしておりました。校長の成瀬誠です。立ち話もあれなので中にどうぞ」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

校長室の中に入って校長先生と3人が対になって座った。

「早速話に入っていきたいんですが、あの手紙はいつどこに置いてあったのですか?」

「あの手紙はここの学校の郵便受けに入ってました。手紙を見つけたその日に渡辺様に相談に持って行ったので」

「では、推測でいいので郵便受けに手紙が入れられた時間帯とか分かりますか?」

「その時、最後に見たのが昼の1時ぐらいで次の日の朝7時ぐらいに見たと思います」

「夜のうちに入れられたという可能性はありますか?」

「郵便受けは学校の敷地内に設置してあるので外からは入れられないようになってます。それに夜であれば防犯機能なども働くので」

と渡辺と校長先生が会話していると

「会話の途中に失礼します。誰がこの手紙を入れたか推測はついてますか?」

「いえ、全く」

「誰かに恨まれてるとかこの人自分を妬んでそうとかあったりしますか?」

「困ったことにそれに1つも心当たりがないんですよ」

「そうですか。分かりました」

と青木が少し話した。

このあと少しだけ話して校長室をあとにした。

外に出て帰ろうとした時、何か騒がしい現場を見た。

青木はすかさずその騒動の中心にいた子に近寄ると

「ちっ、でももう少しの辛抱でアイツらももう消える」

と青木の耳には聞こえたような気がした。そしてこの騒動はいじめだったのだと思った。

「大丈夫?決して僕は怪しいものでは無いから安心して」

「大丈夫です。どちら様ですか」

「そう言えば自己紹介がまだでしたね。私立探偵をやってる青木健です。よろしく」

「よろしくお願いします。堀田連です。あの事件のことですか?」

「なにかご存知なのですか?」

「いえ、この前の集会の時に校長先生がおっしゃってたので」

「そうだったのですか。ありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそ」

その後事務所に帰ろうと思っていたら渡辺も来るらしいのだった。

事務所に戻ると

「何か手応えはあった?」

と渡辺が聞くと

「まあ、ぼちぼちかな」

「例えば?」

「校長先生が全校生徒に事件のことを話してたこと、帰り際の生徒さんが事件と関係するようなしないようなことを言ってたことかな」

「その生徒さんが言っていたことを詳しく教えてくれない?」

「いいけど、聞き間違いかもしれないけど」

「とりあえず教えて」

「ちっ、もう少しの辛抱でアイツらももう消えるて言ってたのを聞いた」

「んー。なんとも言えないなー。俺はもう帰るよ。じゃあーな」

と言って渡辺は帰っていた。

「そう言えば、徹くんはどう思った?」

「僕もお父さんと同意見です。なんとも言えないが正直なところです。でもさっき言ってた生徒さんの発言が気にかかります」

「俺もそう思う。でも、正直なんとも言えないのが本音。これだけ手応えがない事件は久しぶりと言うか初めてかもしれないな」

「そうなんですね」

と事件についてのことを少しだけ話してこの日は終わった。

次の日、渡辺からの電話で叩き起された青木。

「んぁ?こんな朝っぱらからどうしたんや?」

「緊急事態なのによくそんなにゆっくりしたられるものだな」

「それを早く言わんかい。何があったんだ?」

「昨日の夜の間に新しい文章が送られてきたらしくて今日実行するみたいな文章だったらしい。で、生徒の堀田くんていう子が誘拐か何かで行方が分かってないみたい」

「え?昨日言ってた生徒て堀田くんの事だったんだけど」

「そうだったのか。とりあえず、対策本部が出来たからそこに来てくれない?」

「分かった。行く。今のところ堀田くんの件と例の文章の件との関連性的なのはなんか上がってる?」

「今のところはないかなー」

「俺の勘だけど今回の事件面倒なことになりそうな気がする」

「ほほう。そんなことは後で話せばいいからとりあえず来て」

「わーかったよ」

その後、徹を起こして対策本部に向かった。その途中

「そう言えば、起こされて何が起こってどこに向かっているのか教えてもらえますか」と徹は聞いた。

「ああ、そういえば言ってなかったね。例の文章の続きが昨日の間に届いてたらしくてその文章を見ると今日に実行するみたいな文章だったらしいのと昨日の聞き間違いの話のことを言った堀田くんていう子が誘拐か何かされて行方が分かってないらしい」

「そうだったんですね。どこに向かっているのですか?」

「事件の対策本部」

と言っている間に着いた様子。

着くと渡辺が待っていた。

「遅いぞ」

「これでも早く来た方だわ」

「ほほう。現役時代はもうちょっと時間には厳しかったのにな」

「その話は今出さなくてもいいだろ。それより事件の方はどうなってるんだよ」

「今、対策本部にいる人みんなが頭を捻って考えてるけどこれ一つと言ったものが出てこない様子」

「ほほう。俺が思ったのが別々に考えるんじゃなくて一つのものと考えるのはどうかな?」

「と、言いますと?」

「まあ、あくまでも仮説ではの話だけどな。とりあえず中入ろうぜ?」

「ああ、そうだったな」

対策本部の部屋に入ると同時に

「渡辺さーん」

と渡辺を呼ぶ声が

青木は多分渡辺の後輩なのではないかなと考えていると

「で、青木はどう思う?」

「え?何が?考え事してたからなんも聞いてなかった。もう1回頼む」

「しょうがねぇーな、堀田くんの行方がわからなくなる前にこんなものが封筒に入れてあって置いてあったみたい」

「で、そこの中に入ってたのはこれだけ?」

「いや、明日までには帰ってきます。探さないでください。と書いてある紙があった」

「まっ、誘拐事件とかではよくあるパターンの文章だな」

「そうだけどこの文章なにこれ?」

「どれどれ」

と青木、渡辺が仲良く覗き込んでいる紙には

はたしいまいわいこうさじょうにつれこまれさました。

ひびのおちさるにわここのこうさしょうにこされなければ

はたしのせいびさめいもわかさない。

そして学校もどうさなるのかわかさない。

と書いてあった。

その下には人がいて指で自分の方を指している絵とおすしの上のネタが持ち上げられていてそこにバツがつけてある絵が書いてあった。

「暗号か?」

「そうみたいだけど。なんか遠回しと言おうか分かりずらいと言おうかなんというか」

「そうだよな」

その後

「犯人と思われるグループからの文章が届きました!」

その文章は

警察官の諸君、私がこの騒動を起こした張本人だ。

私の居場所が分かったら捕まえに来い。

ただし時間の無駄使いは禁物だぞ。

なぜかって高校に爆弾を仕掛けて例の文章を送ったのは俺たちだからさ。 赤黒いペルシャ猫たち

「青木、これみてどう思うか?」

「犯人はこのグループで間違えないな。でも、なにかが引っかかる」

「そうか」

その後、少しの間沈黙の時間が流れて渡辺が

「あっ、そういう事だったのか!」

と何かに気がついた様子。

「解けたのか?」

「うん。じゃあ、俺はその分かった場所に向かう。健はどうする?」

「俺はもう少し考えてみる。何か見落としてると思ったから」

「分かった」

と会話した後に青木は今までの事件の経緯を時間の経過と共に考えた。

少し前に最初の文章が高校に届いた。その二、三日後に高校に出向いて校長先生とお話をした。その時に堀田くんと出会った。その次の日「今日実行する」みたいな文章が届いた。そして犯人と思われるグループからの文章も届いた。いや、待てよ。あの時、堀田くんがあんなことを言っていた。そして何かこちらの動きを見透かしているような感じで文章を…。

「そうか!そういう事だったのか!」

と心の中で叫んだ。

この事件はやはり別々で考えるのでなくお互いがお互いともに関係してるから一つのものとして見る必要があったんだ!

ならば渡辺が行った方はハズレなはず。

なぜそんなことが起こるんだ?

と改めて暗号が書いてあった紙を見た。

そこで注意深く見てみると何かに気がついた。

そしてこの事件の全てが分かるとふふふと不適な笑顔を浮かべるのであった。

「徹くん、今から本当の場所に向かうからお父さんと合流してからこちらに向かってきてくれないかな?答えまでは言わないけどヒントはあの紙に書いてあるから」

と言って机の上に置いてある紙を指さした。

「え?じゃあ、僕もついて行きます」

「ダメだ。危険すぎる。一歩間違えたら後戻りが出来なくなる」

「そうですか。解いて必ずお父さんを連れて行きます」

と話して青木は対策本部を出ていった。

そして青木は車に乗って町の外れにあるそれなりに大きめな廃工場に車を停めた。

廃工場の中から犯人のグループと思われる男の人が出てくると青木は近づき

「いつもここの近くを通っているものですがいつも作業されているような感じなのでご存知だと思うんですがこの廃工場この後取り壊されるてご存知でしたか?」

「え?そうなんですか?」

「ご存知ではなかったと。まだ中には人がいらっしゃいますか?」

「はい、僕の仲間が何人か」

「早いうちに帰っておいた方がいいかもしれません」

「そうですよね。んー、でもどうしようかな。他の人にも伝えてもらえますか?」

「そう思ったんですけどこの格好だと怪しまれるので服を貸してもらえませんか?僕の服が僕の車の中に入っているので」

「分かりました。他の人達も頼みます!」

その男の人の服を借り着たところで

「さて、いくか」

と独り言を言って廃工場の中に入っていった。

中に入ると

「だいぶ警察も困ってるみたいだな」

「俺らももう捕まらないな」

「これで学校さえ爆破させれば俺らの用は終わりだからな」

などといった会話が飛び交うのであった。

「ただいま戻りました」

と青木が話の輪に入ろうと試みた。すると、リーダー格であろう人物が青木の方を向いて

「爆弾の爆破のスイッチは持ってきたか?」

と聞いた。

「いえ、車の中には色々なものが置いてあったので分かりずらくて持って来れませんでした。申し訳ないです。」

「そうか。そうだ、山田、お前もついて行ってやれ」

と言い、山田という人物が出てきて一緒に外に出て爆弾の爆破スイッチを探しに行った。車の中に入り少し探した後に

「これだよ。お前が持ってけ」

と山本にスイッチを渡された。

「あっ、そう言えば、知ってますか?リーダーが俺達のことを裏切ろうとしている事を」

「それは本当かね?」

「本当ですとも。この計画が終われば警察に通報すると言っていたのを聞いてしまったので。早いうちに逃げておいた方が得かと」

「それが本当なら恐ろしい事だ。どうしよう。でも、中にはまだ仲間が。身の安全が第一だ。ありがとう。先に逃げさせてもらうよ」

「分かりました。他の人達にも伝えておきます」

「よろしく頼んだよ」

と言って山田は車から出ていった。

ふぅと思わずため息が出る青木。

徹くんはあの暗号に気づくことが出来たのだろうか。そして書いてあったメモのことを実行してくれたのかとふと思った。

また廃工場に戻って行った。中に入り

「ちょっと報告があるんですがリーダー以外の方出てきてもらえませんか?」

と言った。するとリーダー格の人物が

「なぜまず俺に相談しない」

と言ったので青木は

「僕達の問題なので僕達だけで解決しようかと思いまして」

と返したので

「そうか。そういう事だったのか。それを先に言ってくれ。じゃあ、話し合って解決してきてくれ」

と言ったので廃工場にはリーダー格の人物だけを残して他の青木を含む三人は外に出た。

「そう言えば、リーダーがこの計画が終わったら警察に通報するて言ったのを聞いてしまったのですが」

「「え?」」

二人揃ってこんな反応をした。

「だから早いうちに逃げておいた方がいいかと。さっき山田にも伝えて他の人も頼むて言って逃げていったので」

「それはたまったもんじゃないな。じゃあ、俺達も逃げさしてもらうか」

「そうしよう」

と言って二人とも逃げていったのであった。

青木が廃工場の中に戻ると

「他の2人は?」

「何が大切なもの忘れたとか言ってどっか行ってしまいました」

「そうか。分かった」

と特に怪しまれる素振りなどなかった様子。青木とリーダー格の人物と二人だけになってから少ししてから

「おい、爆弾の爆破のスイッチをくれ」

「どうぞ。リーダー」

「よし、これでアイツらとはおさらばだ!」

と言ってスイッチを押した。

しかし、その廃工場の中にはモニターがある。そのモニターには学校の様子が映っているようだったのだがなにも変化しなかった。

「え?」

「君の好きなようにはさせないよ?」

「え?」

「それは偽物。本物はここ」

「それをよこせ!」

「いいよ?本物の方を押してもなんの変化もないから」

「なぜだ?」

「もう爆弾は解除してあるんだよ。このようにね」

と言ってスマホを取り出して事前に届いていたボイスメッセージを再生した。

「伝言のことが終了したことをお知らせします。爆弾処理し終わりました」

リーダー格の人物は地面に崩れた。

「くそくそ、なんでなんだよ!」

「事件の答え合わせでもしようか?」

「ああ、勝手にどうぞ」

リーダー格の人物は半分投げやりになっているように感じられた。

「この事件、犯人が誰だか特定するのにだいぶかかってしまったよ。君が犯人だと思ったのはこの前の時の話だよ。あれが本当だと思ったら謎が解けたんだよ。手紙を学校に届けた方法がね。君がいれたんだろ?」

「ああ、そうだよ。なにか悪かったか?」

「悪いけど、動機はいじめによる殺意かな?」

リーダー格の人物は何かを察したのか元気をなくした。

「ああ、そうだよ」

「俺も昔そんな経験をしたことがある。この世界に何度も何度も絶望した。でも、こんなことをしようとか自殺しようとかは思わなかった」

「なんでだ?なぜそうしなかった?」

「自分はそれで満足できるけど他の誰か1人以上の人が必ず悲しむと思ったからそんなことは出来なかった。自殺すれば自分の家族は悲しむ。今回のようなことが本当に実行されれば亡くなった生徒さん達の親御さんが悲しむ。何が一つ大きな事が起これば必ず誰か一人は悲しむ人絶対がいる。そうやって思ったら何も行動できないよね?堀田蓮くん」

そう言われてリーダー格の人物、堀田蓮は泣き出した。

「じゃあ、俺は俺はどう…すれば良かった…んだよ」

と嗚咽混じりに言った。

「身近の人に相談してみるとか」

「ダメだ!そんなことやっても無駄だ!親に話せば変に心配されるだけだ!」

「無駄なんかじゃない!実際、親御さん心配して担任の先生に相談してたそうだ。そして学校側もどうしようかと考えていた矢先にこの事件。手を打とうと思っても打てない状況。これでも周りの人に話しても無駄だと言うのかい?」

と彼の心にトドメを刺した。

「もう耐えきれなかったんだ。だから自分から消えるのも嫌だから周りの人に消えて欲しかったんだ」

「何もかも自分勝手と言おうか自己中心的と言おうか…。周りを見てみなさい。そして自分を見つめ直しめ直してみて。『君に足りない何か』つまりそれはいじめの原因だと思うよ」

「何でだよ、何でなんだよー!」

と叫んで連は泣き崩れてしまった。

とその時、

「警察だ。皆の者は手を挙げよ」

仕方なく青木は従い

「進二おせぇーぞ。もう事件は解決した」

と言った。

「え?じゃあ、俺は何をしていたんだ?」

「犯人に上手く嵌められたんだよ」

「え?どういうことだ?全て教えてくれ」

「暗号の最後の部分覚えてるか?」

「確か人がいて自分の方を指で指している絵とお寿司があって上のネタが上げてあってバツが書いてある絵だよな?」

「それだ。後半の絵の意味はどうやって捉えた?」

「確かさびなしだからさとびを抜けばいいと思った」

「残念。そこが落とし穴なんだよ」

「じゃあ、どうやったら正解になるんだよ」

「簡単だよ?わさび抜きだからわとさとびを抜いて考えればいいんだよ」

「て考えたら。そうだから、そういう事か」

「だからここが導き出せる。さて事件も解決した事だし帰りますか」

「そうするか」

「すいません、事件について分からないことだらけなので教えてくれるませんか?」

「ええよ。どこが分からんのや?」

「犯人特定の方法とあの暗号のことは分かりました。まずはなんで爆弾が仕掛けてある場所がわかったのですか?」

「そんなの簡単だよ?この前学校行った時業者さんが来てたの覚えてる?」

「あー、なんか作業着の人がいると思ってました」

「そこからなんかの作業してると考えて外ではなくて校内でできることと考えるとクーラーぐらいしかないと思った」

「でも、そんだけでは確信は持てる訳では無いですよね?」

「その後、校長先生に聞いたんだ。そしたらここ最近にクーラーを設置したて。あと学校爆発させるなんてそんな大掛かりなものをすぐには用意出来ないと考えると必然的にクーラーてことになる」

「そうだったんですね。で、どうやって犯人確保したんですか?」

「簡単だよ?嘘を吹き込むだけだもの」

「え?それで上手くいくんですか?」

「上手くいくよ?向こうはいつ自分がやったことがバレるか分かんないから精神状態が不安定。そこに漬け込むのさ」

「相変わらず現役時代と変わらないな。やり方」

と急に渡辺が入ってきた。

「逆にこれ以外の方法が分からん。あとこの方法が定着しすぎて他の方法を試す気にならん。徹くん、これで事件についてわかんないことなくなった?」

「うん、僕を待ってくれてたんですか?」

「そういうことになるな」

「ま、はよ帰ろうぜ。徹くん、先に行ってて。進二と話したい事がある」

「分かりました」

と言って徹は先に行った。

「なんかやりにくいよ。お前の子供がいると」

「よく分かったな」

「てか、来た次の日ぐらいに分かったわ」

「そっか、意外と長引くと思ったんだけどな。これからもよろしく頼むよ」

「頼まれんでも分かっとる」

そこで二人の緊張が解けたのか同時に笑い出した。

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