エピローグ
私一人きりになった世界で、黙想する。椅子に深く腰掛け、さっきまで彼が座っていた椅子を眺め、自分自身について考えていた。
私は、彼よりも死んでいる。けど、生きている。先がある。面白い話だけど、こんな私が、彼を、本気で後悔させることができた。生きていれば良かったなんて、後悔を。
もしかしたら私にも、そんな、生きていて良かった、なんて思わせてくれる出来事が訪れるかもしれない。そんな阿呆らしい希望を、私は微かに今抱くことができている。
だから、まだ生きていてもいいかもしれない。生きている理由を、未だ得られていないけど、百年でも生きれば得られるかもしれない。
だから、私は僅かに生きることを決意するのだ。未だ訪れることの無い未来に期待して。
死に損ないと生き損ない 紫犬 @dooonatu
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