四.五日目

 一日の勉強ノルマを完遂させた私は、ルーチンのようにベッドに横になる。何度も繰り返した習慣、帰ってからこの動作に入るまで、もう何も考えていなくてもできるだろうと、無意識に私はほくそ笑んだ。

 彼と出会って、実質四日が経った。そしてこの四日で、私は思い知らされた。

 私は空っぽなのだと。

 私から見て、梶くんはまだ生きている。彼が人と話すことがそこまで得意では無いことを、もう私は知っている。けど、そういった人との関わりによって、大きな感情を得られていることも分かっている。彼は、無条件に生きることを肯定できる感性を備えているように、私には見えているのだ。

 それに比べ、私は。生きていることを生きているとすら思えていない。今布団に潜る私を、どこか客観的に見て、操作している気になれてしまう。それがなんだか、私は悲しくなった。

 ……あと、一日。

 これを乗り越えれば、きっと、元に戻る。こんなどうでもいいことに苦悩する必要が無くなる。現状もう、いっぱいいっぱいだ。もしこれ以上続くとなれば、きっと私は、私の存在に疑問を抱くようになってしまう。

 必ず明日、終わらせられるように、私は目覚ましをかけた。

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