四.五日目
一日の勉強ノルマを完遂させた私は、ルーチンのようにベッドに横になる。何度も繰り返した習慣、帰ってからこの動作に入るまで、もう何も考えていなくてもできるだろうと、無意識に私はほくそ笑んだ。
彼と出会って、実質四日が経った。そしてこの四日で、私は思い知らされた。
私は空っぽなのだと。
私から見て、梶くんはまだ生きている。彼が人と話すことがそこまで得意では無いことを、もう私は知っている。けど、そういった人との関わりによって、大きな感情を得られていることも分かっている。彼は、無条件に生きることを肯定できる感性を備えているように、私には見えているのだ。
それに比べ、私は。生きていることを生きているとすら思えていない。今布団に潜る私を、どこか客観的に見て、操作している気になれてしまう。それがなんだか、私は悲しくなった。
……あと、一日。
これを乗り越えれば、きっと、元に戻る。こんなどうでもいいことに苦悩する必要が無くなる。現状もう、いっぱいいっぱいだ。もしこれ以上続くとなれば、きっと私は、私の存在に疑問を抱くようになってしまう。
必ず明日、終わらせられるように、私は目覚ましをかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます