第1話 0歳からの再出発、おなかへった
目覚めた。周囲を見渡すと、ベッドに寝かされており、窓の外は夕暮れである。とにかく、お腹が空いて涙が出てくる。
「おぎゃーおぎゃー!」
ふっ、うっかり泣き叫んでしまったぜ。そんなこと考えていると、ドタドタと足音が聞こえて、部屋に母が来てくれる。すぐに抱っこしてくれて、授乳を開始してくれた。
数十分後。
(満足したぁ)
何故、数十分後って飛ばしたかって? そんなこと決まってる。恥ずかしいからだっ!
だが、ちゃんと言おう。母よ、お乳美味しかったです。ありがとうございました。おしめも替えてもらって余は満足です。
よし、落ち着いたところで……
(おい、ダ女神、話の続きをしろ)
『ちょっ、そのダ女神って酷くないですか? 私にはアルテナって言うちゃんとした名前があるんですよっ』
(なんかそんな名前の女神の加護やらなんやらあったな)
『そう、それですよ。まあとりあえず説明しますね(めんどくさいなぁ)』
取りあえず、小声の部分は聞こえなかった事にした。
<女神アルテナの加護>
ユニークスキル。女神アルテナからの加護を得ている状態。耐久と体力の自然回復速度微UP。基本ステータス(筋力、器用、敏捷、精神、知力、感覚、幸運)+5。更に神託のスキルか好きなスキルを1つ得る。
<女神アルテナの寵愛>
固有スキル。女神アルテナの寵愛を受けている状態。耐久、魔力、体力の自然回復速度中UP。耐久+100、魔力と体力+50、幸運+20。LVUP時に耐久、魔力、体力+3。
<女神アルテナの贖罪>
固有スキル。スキルの成長速度小UP。異空間庫を使用可。獲得経験値+10%。LVUP時にBPとSP+2。耐久、魔力、体力の上昇量UP(レベルに応じて上昇量は異なる)。
(ふむふむ。ユニークスキルと固有スキルの違いは?)
『固有スキルは先天性のスキルで基本後付けはできません。神などが与えるくらいです。ユニークスキルは後から覚えることもあります。さて、スキルの説明をどんどん行きますよー』
<第六感>
ユニークスキル。危険を嫌な予感として察知することができる。危険感知のスキルにボーナス。感覚+15。LVUP時に感覚+1。
<魔法の素質>
ユニークスキル。魔法使いの素質がある。魔力+50。LVUP時の魔力+2。
<魔法の才能>
前世からの固有スキル。魔法系スキルの成長速度UP(上昇速度はスキルによって異なる)。魔力使用時の消費が10%~40%軽減される(軽減される量はスキルや魔法の種類によって異なる)。魔力+100、精神と知力+20。LVUP時の魔力+10。
<暗殺者の心得>
前世からの固有スキル。隠密系スキルの成長速度UP(上昇速度はスキルによって異なる)。隠密系スキルにボーナス。耐久+50、体力+30、敏捷感覚+20、精神+10。LVUP時に敏捷+1、BP+1、SP+2。
<転生者>
固有スキル。異世界からの転生者、または前世の記憶を保持している者に与えられる。言語理解、自己ステータスを確認することができる。ボーナスポイントを自身で自由に割り振ることができる。LVUP時のBPとSP+1。
<転生者への加護>
固有スキル。可哀想な転生者に与えられる加護。言語理解(読み書き可)、経験値+10%。スキルの成長微UP。好きなユニークスキルを1つ習得。好きなスキルを2つ習得。またSP上昇不可のスキルを上昇させることができる。しかしSP習得不可のスキルは習得できない(上昇は可)。ただし固有スキルやユニークスキルによるスキル習得は、SP習得不可を無視する。LVUP時に耐久、魔力、体力+2。
(可哀想な転生者って、ダ女神がしたんだろーがっ!)
真っ先にそこに突っ込む。
『いえ、システムの説明に文句を言われましても……それで、ユニークスキル1つとスキル2つ選べますがどうします?』
実は普通のスキルは3つだったりするが、この女神も間違えていたりする。ライルは後から気付くことになるが。
(どんなのがあるんだ?)
『個人的には、ユニークは<不死>や<物理無効>、ノーマルは<頑強>や<魔法抵抗>などがオススメですっ!』
(よっぽど俺を死なせたく無いらしいが、その心は?)
『貴方が早死にしますと、上司の命令でやり直しに……やり直しイコール拘束期間が延びますので、お願いですから早死にだけはしないで下さいっ!』
(あ、うん。努力はするよ。痛いの嫌だし。取りあえずリストとかある?)
『はい。本当にお願いしますね』
その言葉と同時に目の前にリストが表示される。念じるとそのスキルの詳細が分かるようだ。
<不死>
ユニークスキル。死んでも数日で復活する(死体の損壊度合いで変わる)。復活するまで痛みに苛まれる。さすがに塵になったり、完全消化されたりすると復活できない。耐久の自然回復速度超大幅UP。LVUP時の耐久+5。
(復活するまで痛いんかいっ! これは却下だな)
<物理無効>
ユニークスキル。物理ダメージを軽減して0にする。衝撃も吸収するが、希にある貫通属性や魔法には無力。LVUP時に耐久と体力+2。
(これもなぁ。事故死には強いんだろうけど……<物理無効>って戦闘とかではどうなの? 魔法がもの凄く希少とかならありだが)
『そうですね。魔法はかなり希少ですけど、代わり<魔技>があったりしますし、それに魔物の攻撃は魔力を纏っていたりします。もちろん魔法を使う魔物も結構いますね』
(……ダメじゃん)
『しか~し、貴方も考えていた通り、事故死は大抵物理ダメージです。そういう意味では優秀ですし、<魔技>や魔力纏った攻撃と言っても、魔力分しかダメージを受けません。魔力を纏った剣の攻撃を受けても、剣の部分は0にしちゃうんです。ほら優秀でしょ?』
(それは確かに優秀だな。しかしだ! ダ女神が進めてくるモノは信用できん。よって却下だ)
『ぐはっ』
なんか呻き声が聞こえるが無視して、リストと睨めっこを再開する。
<幸運>……幸運が+30されるだけか。他には……<完全記憶能力>、かなり優秀だが……。うーむ。<分析>、鑑定スキルの上位版で、相手のステータスやスキルが分かる。これはかなり良いな。<鑑定>はレベル差あると弾かれるし、スキルレベルによって分かる度合いが変わる。レベルMAXにしてもステータスまでは分からない。<鑑定>は主に物品に対してみたいだしな。<分析>は物品に対しても<鑑定>以上みたいだしな。
他にもいくつか候補はあったが、熟考の結果。
(よし<分析>にする)
『あー、気付いてしましましたか~。テンプレの道に走るなんてライル君もミーハーですね~~』
何故か、このダ女神を無性に殴りたくなった。
『あわわわ、怒らないで下さい。<分析>で良いですか? 一度決定すると変えられませんよー?』
(<分析>で頼む)
『ほい、ポチっとな~』
その言葉が終わると同時に。
――ユニークスキル<分析>を習得しました――
とのメッセージが頭に響いた。そしてステータスと念じて確認する。
<分析>
ユニークスキル。スキル鑑定の上位版。相手のステータスの詳細も確認することができる。レベル差などを無視して分析可。ただし高レベル隠蔽持ち相手とはステータス勝負となる。精神+5。LVUP時に知力+1。
『スキルの方はどうする~?』
(保留はできるのか?)
『できますよー』
(では、保留で)
『ほいさー』
この後も眠くなるまでこの世界、クロウリベリオンの話や常識を教えてもらった。
この世界の成人(16歳)一般人の平均レベルは10~12で基本ステータスの平均は120~150。耐久は250ほど、魔力と体力は150ほど。勿論、種族やクラス、生活スタイルなどで変わるらしい。街に住んでいる人より辺境の人の方が、色々と自分たちでやることがありステータスが高くなる傾向にあるらしい。要するに俺も色々やれとのことだ。この世界のシステム上レベルアップよりスキル上げの方がステータスは伸び安い。ただ固有スキルやユニークスキルがあれば話は変わってくるが。
そう言えば寝る前に父親を見た。黒髪で瞳の色は茶、かなりカッコイイ感じの人だった。俺の容姿も期待できるかな?
ちなみに母親の方は、銀髪で瞳の色は水色、そしてほわほわ系の美人さんだった。そしてこっそりと<分析>を使用してみた。
まず父親の方は――
名前:ガイスト=アーリ=オーガスト
職業:伯爵家当主 種族:人族
年齢:26歳 性別:男
クラス:戦鬼
レベル:81
状態:健康
ボーナス ()内はBP補正/スキル補正。ユニークや固有は除く。
耐久:+1274(+0/+210)=1484
魔力:+698(+0/+52)=750
体力:+911(+0/+130)=1041
筋力:+319.5(+50/+141)=510.5
器用:+157(+34/+87)=278
敏捷:+137(+17/+75)=229
精神:+273.5(+24/+103)=400.5
知力:+81(+15/+59)=155
感覚:+167(+17/+43)=227
幸運:+40(+5/+0)=45
スキル:剣LV8、槍LV9、斧LV8、大剣LV8、短剣LV7、盾LV5、大盾LV2、棒術LV7、格闘LV6、弓LV6、防御LV6、頑強LV2、受け流しLV5、見切りLV4、カウンターLV4、魔技LV4、体技LV6、身体強化(体)LV5、魔法抵抗LV10、魔法耐性LV8、挑発LV5、扇動LV3、威圧LV5、不動LV4、剛腕LV7、不動LV4、戦意LV7、強打LV6、加速LV4、ランニングLV8、ジャンプLV4、礼儀作法LV6、ダンスLV4、乗馬LV9、指揮LV6、指導LV2、戦術LV7、戦略LV3、経営LV4、政治LV4、鍛冶LV2、交渉LV6、計算LV6、鑑定LV2、看破LV4、気配察知LV6、危険感知LV4、追跡LV3、探索LV4、遠見LV3、魔物知識LV4、動植物知識LV4、サバイバルLV3、調理LV4、尋問LV4、解体LV4、耐久魔力体力回復促進LV3/3/7、魔力操作LV3、生活魔法LV4、耐久魔力体力強化LV8/2/4、個別耐性<毒1/麻痺1/熱3/冷気1/睡眠2/混乱1/恐怖1>。
残りスキルポイント:72
ユニークスキル:勇者の血筋、幸運、直感。
固有スキル:戦鬼、強き意志。
称号:戦場の英雄、死神の戦斧、魔法使い殺し。
レベル高っ! そしてこの人死なないんじゃないかな? この数値に更に基礎ステータスが足される分けだ。耐久は+200、それ以外は+100は最低足される。見た目それほどムキムキではないんだが……一体どうなっているんだろうか。疑問である。
名前:アイシャ=グラン=オーガスト
職業:伯爵家当主正室 種族:人族
年齢:24歳 性別:女
クラス:星術師
レベル:72
状態:健康
ボーナス ()内はBP補正/スキル補正。ユニークや固有は除く。
耐久:+464(+0/+62)=526
魔力:+1324(+0/+221)=1545
体力:+454(+0/+66)=520
筋力:+72(+0/+24)=96
器用:+72(+20/+70)=162
敏捷:+72(+17/+56)=145
精神:+221(+29/+109)=359
知力:+300(+40/+147)=487
感覚:+94(+23/+58)=175
幸運:+40(+15/+4)=59
スキル:剣LV3、短剣LV4、盾LV3、格闘LV4、杖LV6、防御LV3、受け流しLV2、見切りLV2、先読みLV6、魔技LV3、体技LV1、身体強化(魔)LV4、魔法抵抗LV6、威圧LV3、先制LV8、ランニングLV3、ジャンプLV2、礼儀作法LV9、ダンスLV6、裁縫LV8、乗馬LV4、指揮LV5、指導LV5、戦術LV2、戦略LV5、経営LV6、政治LV5、交渉LV8、計算LV8、鑑定LV5、看破LV1、気配察知LV4、危険感知LV3、魔力感知LV6、隠密LV1、変装LV2、演技LV5、魔物知識LV3、動植物知識LV7、薬学LV5、演奏LV2、調理LV4、絵画LV4、診察LV5、尋問LV3、耐久魔力体力回復促進LV1/8/2、瞑想LV6、集中力LV3、魔力操作LV10、魔力圧縮LV2、属性魔法(火/水/風/土/光)LV9/8/5/7/5、複合魔法LV3、生活魔法LV10、治癒魔法LV3、強化魔法LV5、収納魔法LV4、耐久魔力体力強化LV3/8/2、個別耐性<麻痺1/熱4/冷気1/混乱1/睡眠1/呪詛2>。
残りスキルポイント:88
ユニークスキル:魔法の素質、精霊の加護、共感力
固有スキル:星の導き
称号:炎の魔女、癒しの聖女。
魔力高っ。魔法スキルもたけぇ……なにこの夫婦コワイ。絶対に怒らせないように注意しないと。
『先ほども言いましたが、魔法使いは結構レアです。そしてここまでの使い手となると……そうそう居ません。伯爵領でトップクラスではないでしょうか?』
わぉ、ママン凄いよ、怖いよ。ところで魔法使いの才能は遺伝するのだろうか?
『魔法の才能は遺伝しませんね~。でも大丈夫です。貴方は前世で使えましたし(魔術を)、固有スキルの<魔法の才能>もありますしね』
その言葉に少しほっとしつつ、俺は眠りに着くのだった。
この時女神は「魔術を」の部分をライルに聞こえないように小声で言って、念のため予防線を張っておくのだった。この女神なかなか腹黒いのである。
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