第3話

掛け時計は6時。

老いた夫婦は並んでテーブルに座っている。

男は白飯を食べる。右手で食べる。非常食用の白飯。

女は窓の外を見る。庭には充分に背を伸ばした雑草。

溜息をついて机上を見れば、散らばるのは

預金通帳、貯金箱、魚の骨、睡眠薬、宛名のない手紙、止まりかけの腕時計、米粒。

「今日は来ないみたいだね」

女は静かに言う。

傍に開けたままのトランクケース。

寂しそうに一着の服。

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