第2話

ホームレスの男は目を覚ます。

身体の中に違和を感じる。猫を食べたからだろうか。声が聞こえるような気がする。

(起きるんだ。あの家に行かなきゃ)

「誰だ」と呟いてみる。

(あんたが昨日食べた猫だよ)

「馬鹿な」鼻で笑って水道に向かう。

顔を洗う。水が死ぬ程冷たい。

(まだ私の声は聞こえるかな)

「聞こえる」

(あんたの体の中に私の意識は生きているみたい)

男は気の抜けた相槌をする。

(そんな事をしている場合じゃない。三丁目のあの家に行かなきゃ。ほら歩け)

言われるがままに歩く。

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