※平気でネタバレをします。
こちらの作者様の文体はとても読みやすく、スルスルと頭の中に入ってくるので本編よりも先にレビューを覗かれていらっしゃる方がいましたら、絶対に本編を読んで下さい。
私の無慈悲なネタバレがストーリーの面白みを半減させる可能性があります。
まず、猫っていいなぁって。犬猫兎を飼っている身としては、猫のツンデレさや、律儀さは一応理解しているつもりです。だからこそ、いいなぁと思いました。
すみません、レビューから話が脱線しました。取り敢えずは、律儀で回りくどい猫の愛情表現を良く表現できているなぁと思った、ということです!!
そもそも、幾つか伏線がありながらも、私は全然このトリックに気づきませんでした。制服を借りた、目的は一緒に帰ることだけじゃない。ヒントと巧妙に隠されたミスリードの罠に気づくチャンスは幾らでもあったじゃないか!
ミステリ好きとしては、悔しい半分、感激半分と言った感じです。
いやはやお見事としかいいようがない。
でも、この作品はただの叙述トリックを使った短編小説。というだけではなく、愛猫の死を嘆く飼い主の青年の切ない心理描写が素晴らしい。
その日最初のただいまを、初めてハル以外の人間に言ったのだ。
というセリフが凄く好きです。たった一文で、どれほど飼い主の少年とハルが仲良しだったのかがひしひしと伝わってきました。文句なしの星三です。