A. 書き直しいいいいい!!
とろい。
苛つく気持ちがどんどん膨れ上がる。
いくら暗がりだからって、前に車がいるわけでもないのにちんたらちんたら走りやがって。
メーターが無駄に上がるだろうが。
わざとだろうか。
膝の上で片手で構っていた携帯電話から顔を上げて、斜め前に座る運転手を、バックミラー越しに睨みつける。
もうろく面したじじいだ。
さらに苛々が募る。
下から照らす携帯電話の液晶の光が強すぎて、周りの暗がりの景色が全体的にぼやける。
ちらりともこちらを見ないそいつは、黙ってヘッドライトの先を見続けている。
車体がガタガタと揺れるのは道の舗装が悪いのか、こいつの運転が余程下手なのか。
時折思い出したように入る雑音混じりで途切れ途切れの無線連絡以外、車内にはラジオもかかっていない。
横に置いた荷物の大きな鞄を気にかけながら、運が悪いな、と落胆する。
違うのに乗りたかった。
出来る事ならばそもそも自力で、徒歩なりバスなりで向かいたかったが、駅に着いたときにはすでに暗くなってきていて、バスももう動いてはいないようだった。
土地勘のなさ故、背に腹は替えられなかった。
目的の旅館は駅から少し離れているようだったし、寂れた場所だからか、駅には客待ちのタクシーが2台しかいなかった。
向こうのに乗れば良かった。
それとも、どちらもあまり変わらなかったろうか。
もう一度光る液晶画面を見やる。
電波がなかなか入らない。
下手したら圏外だ。
デジタルの時計は午後8時16分を表示していた。
旅館の予約時間からはすでに15分ほど過ぎている。
いい加減焦燥感に駆られて、無言の空間に苛ついた声を投げ掛けた。
「なあ、まだつかないのか。あとどれくらいなんだ」
もう割と長いこと乗っている。
いくらなんでも、そんなに遠くではない筈だ。
「もうじきですよ」
運転席からは、乗り込んで行き先を聞かれた時と同じ、ぶすったれたようなしゃがれ声が返ってきた。
どうかなあ、まだなんか、書けそうな気がするけど、取り敢えずこれくらいかなあ。
気持ちの焦りを出すために一文を短くして増やしました。
自分で足りないって思ったところは足したつもりだけど、なんかまだいろいろいじれそうな気はする。
明日見たらまた違うかもしれないなー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます