第368話 話し合いの結果


「高山君、寝てないかい? さっきからかくかくしてるよ?」


 司会進行遠藤さん、的確に突っ込みを入れる。


「ふぁい! 起きてます! 起きてますよー! で、何で俺達集まってるんだ?」

「では、そろそろ進めますね。先ほど事件が起きました」

「事件……」


 杉本さんが真剣なまなざしで遠藤を見つめている。


「そう、窓落下パリーン事件。そして、その部屋はただいま極寒。とても寝ることができる状況ではない……」

「そ、そんな……。どこの部屋がそんなことに?」

「杉本さんがいた部屋。あの部屋は今、激寒の地。残念ですが使用禁止にしています」

「わ、私がいた部屋?」

「そして、修理は明日以降」


 みんなの額にうっすらと汗が流れる。


「さっき業者に電話したんだけど、今日は無理だって。明日以降に修理だとさ。で、問題は杉本さんがどこで寝る? ってことなんだけど……」


 業者に連絡し、修理の手配はできたことをみんなに伝える。でも、今日は打ち上げの予定があって、このまま解散するのもちょっと寂しいんだよね。


「彩音の部屋は使えない……。だ、だったら、お、お、俺と―――」


 高山の気が高まる。かつて感じたことのない戦闘力が──。

きっと、すごいことを言おうとしているのは鈍感な俺でもわかる。

それを察したかのように、杉本さんは割って入ってきた。


「わ、私はここで寝ますよ! コタツで寝ることも家では多かったし、問題ありません!」


 高山撃沈。べつに二人が一緒に寝てもいいけど、なんだかそれもね。


「彩音はお客さんでここにきているんだよ? だったら私の部屋使ってよ。私はほかで寝るから」


 杏里のやさしさが心にしみる。杏里さん、あなたって人は……。

そして、杏里は俺の方を見て少しだけ頬を赤める。

別なところで寝るって、そう言う事ですか! しょ、しょうがないな!

それで丸く収まるなら、しょうがないなー!


「そ、それはダメだよ! だったら私がほかで寝るから、彩音ちゃんは私の布団で寝てよ!」


 真奈も参戦。だったらお前はどこで寝るんだ?


「真奈ちゃんはどこで寝るの?」


 良君も少し心配そうな目で真奈を見ている。


「だ、だってさ! みんなお付き合いしてるんでしょ! ダメだよ、絶対にダメ! だ、だったら私が……」


 真奈が顔を真っ赤にしながら良君の方を見ている。

いや、それはダメだろ。


「はい、皆さん落ち着いてください」


 遠藤が冷えた声でゆっくりを口を開く。


「ここは、僕が犠牲になります。杉本さんは僕の布団で寝てください。この鍛え抜かれた体があれば、廊下でも台所でも寝ることができます。しかも、僕は今回寝袋を持参しているので問題ありません」


 遠藤の準備が良すぎる。何を想定していたんだ?


「ダ、ダメ! 拓海の寝ていた布団に他の女の子が寝るなんて! 絶対にダメ!」


 井上さんが声を上げる。結局話がまとまらないじゃないですか。

俺は頭をフルに回転させる。結局、みんなが納得する方法を考えないとだめなんですね。

と、一つの案が頭をよぎる。


「わかった、わかった。だったら俺か一つ提案が──」


 みんなの視線を集め、俺はゆっくりと説明する。

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