大団エン

「あいつは『奇縁』。会った奴何でも間でも結びつけちまう。プラス、その縁のある奴に能力等の共有ができる!」

「能力等のってことは真逆。」

「そうだ!繋がってる奴の位置情報もだ。だから、あいつとは会って欲しくなかったんだよ!お前らには悪いけどな!」

「あー、もうどうするの?これ完全にばれてるし。・・・間隔も短くなってきた!」


「おお、ええタイミングちゃう?」

「それはないかな、それよりもこれはむしろ・・・」


聞き覚えのある声に、喧嘩を直ぐ様止め、後ろを振り向く。

ピンク色のセミロングにキャロルとは色違いの赤い制服。ポンチョの代わりにの赤ベースのチェック柄のマフラーが巻かれていた。

関西弁訛の男は、黒い制服にポケットチェーンが少し顔を出している。

二人は、すっかり落ち着き、エデンの方は「おせぇよ。」と聞こえるトーンで呟いた。


「すまんすまん、合間見てあそこ抜けるの大変やったんや。なあ、りーちゃん。」

「そうだよー。私達監督任されちゃってるし。ルクが二人分の光人形作ってくれて、その間にこっち来たんだよねー。」

「うぉ、よぅゆれるなぁ。んで、どうするん?ルーちゃんここに居たら、あの人達に捕まるで?」


そう言って、ルクスは上を指す。

この揺れ具合だと結構な人数が攻撃している事が分かる。

エデンも少し苦い顔を浮かべていた。


「そうなんだよな、こいつが言ってしまえば最後の砦。ここで捕まって貰う訳にも行かねぇんだよな。」

「と言うか、お二人さん、サンタ服来てるって事はこの会話、あの人に・・・」

「ああ、その事は心配要らんで。これはりーちゃんと俺が作った偽物の校章やから。本当の校章は人形に着けとるから。でも、逃がす方法見つからんよな。このままエデンくんがこれを解いたとこで下に居る部隊に捕まったら、ぱーや、ぱぁ。」

「・・・待って、キャロル。貴方、前使い魔持ってなかったっけ?あれの力使って逃げたらいいんじゃないの?」

「・・・あぁー!あの子使えるじゃん!」

「あの子ってどの子だ?」

「ルーちゃんに使い魔なんかおったっけ?」

「ルク、忘れたの?昔、遊びで八咫烏召喚して、それがキャロルに懐いたから、その子、使い魔にしたじゃない!」

「あぁ!思い出した!クッキーやったら懐いた子や!名前を確か・・・」

「ログ」


キャロルがボソッと呟いた後、辺り一体に羽が吹き出てくる。

辺りは騒然としていたが、それがやんだ後、キャロルの肩に一羽の烏が止まっており、首を右に捻った後、カァと一鳴きした。

その足は通常は二本のはずなのだが。


「三本足、と言う事は。」

「うわー、ログだぁ!」

「お前らこんなことしてたのかよ。」


ログはキャロルの方を見た後、肩から頭に飛び移り、嘴で頭を突き回していた。


「痛い、ログ!止めて、ちょっ、いたっ。」

「再開を喜んでる見たいやで?良かったなぁ。」

「いや、痛かったんだけど。」

「多分、半分怒ってんだろ。放って置かれたから。」

「エデン、正解や。」

「あぁ、それは。本当御免ねー、ログ。」

「まあ、そんな茶番は置いといてもう少しで来るぞ!」


遠くでガラスの割れる音が聞こえる。

多分空間の一部が外部から破られたのだろう。

三人はキャロルの前に立ち塞がる形で並ぶ。


「取り合えず、こっちの方何とかせなあかんな。」

「せっかく、キャロルと会えたのにー。」

「仕方ないだろ、こいつ、一点に強い負荷がかかると壊れやすくなるんだからよ。ほら、行けよ、キャロル」

「心強い味方をここで置いて行くのは不甲斐ないんだけど行かなきゃね。でも、一言だけ、言わせて。"また、会おう!"」


それを合図に、エデンの作った空間が割れる。

皆、下に落ちていく中、烏が一羽空に舞った。

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