夢旅はおシマイ
「お嬢さん、もう諦めた?」
「うん、もう飽きちゃった。もうくたくた、疲れたよ。」
「そうですか。それではギリギリ回収するのに間に合いそうですね。」
「そうだね、それより最後に聞いておきたいことがあるんだけど、そこで"止まって"聞いてくれない?」
「・・・何でしょう。」
「もうあの日の事"思い出しても"いい頃じゃない?」
「はぁ、あの事って」
ノエルの言葉が途中で止まる。
その後、表情が段々焦りに変わる。
それはユールも同じの様で無表情だった顔にうっすらと焦りの色を浮かべていた。
「その顔だと解けたみたい?」
「そんなはずない。だって元々。」
「着いて行けないかも知れないけど、それが事実。と言っても、さっき私も思い出したばかりでまだ着いていけないしまだ信じられてないけど、でもそれなら私の両親との記憶がないのも高校に入る以前の記憶が曖昧なのも頷けるんだよね。そりゃそうだよ、この世に私の両親も存在しないし、学校にも通ったこと無かったんだから。」
「・・・でも、さっき見たのが僕達の本当の記憶だとして、貴方は一体どうするんです?このままだと」
「人間のまま、あっちに行くことになる。それに思い出したって事をあの人達に知られれば、どうなるかは大体想像できるよね?」
「だけど、"人間からサンタの世界に戻る方法"何て何処にも。」
「いや、ある。」
「ユールそれどう言うこと?」
「一回だけ大図書館でこっそり見たことがある。でもあれは。」
「失敗すればもう存在がなくなる。存在消滅、よくて地獄に回される。」
「それってつまり」
「無理ゲーって奴だよな。」
「まあ、そうだとしてもやってみなきゃ分かんないじゃない?」
「そんな無茶苦茶な!いっつもそう言うことしてるから。」
「貴方の心配性も昔からだったよね。・・・もう時間みたい、行かなきゃ。それじゃあ、メリークリスマス、よい夜を。」
ノエル達は止めようとするが体が動かせなかった。
それを見て少し悲しそうな笑みを浮かべて、それから、空に。
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