第2話 山奥の古商店のクールなアノ娘

 いらっしゃいませ。お客様。

 はぁ。また来たんですね。物好きな人ですね、ほんと。

 下の町の方が、品ぞろえもサービスも上でしょうに。

 こんな山奥の古商店が、そんなに好きなんですね。

 珍しいものがいっぱいあるから、時間を忘れられる?

 ああそう。冷やかしならそのまま回れ右して出てってください。

 はいはい泣きそうな顔しないで。ちょっとした冗談。ジョークですよ。

 でも、あなたってホント不思議ですね。

 普通の客なら「サービスがなってない」だの「笑顔で接客しろ」だの。

 それ相応の買い物してくれれば、私も笑顔で接客しますけどね。

 値切って物買おうとするから無愛想になるわけですよ、私は。

 そんな無愛想な私にも、あなたは優しくしてくれます。

 それが嬉しい時もあるし、時々・・・むずがゆくなります。

 まあ。どうせ色んな女をそうやって口説いてるんですよね。

 そんなに否定しても意味ないですから。

 私、分かるんですよ。あなたが下の町の女も口説いてる事。

 一昨日も、髪の長い女を世話してたそうじゃないですか?

 違う?あれは、自分の姉?

 ああ・・・そうなんですね。そう・・・・・・よかった。

 ――ッ!何でもないです。顔が赤いのは、それは・・・・・・

 これは風邪です。ええ、風邪です。なので今日は店じまいです。

 看病するか、て。要りません。要りませんってば!

 大丈夫ですから!平気ですから!

 ああ、もう!?力だけは強いんですから!

 はぁ、わかりました。

 それならしっかりと看病してください。

 こうなったのも全て、あなたのせい何ですから。

 ・・・・・・鈍感。

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