Twitterで公開したミニシナリオ集

RAG

第1話 廃村の中で出会ったキミ


 『廃村の中で出会ったキミ』


 (大学生活を満喫していたあなたは、

 大学で知り合った男女3人、あなたを含めて4人は、

 あなたの地元でも「出る」と噂の廃村へと肝試しを

 行うことにした。 ルールは簡単。廃村の奥の寺に

 置かれた人形をとってくるというもの。男2人と

 女2人のグループに分かれて、深夜0時に出発した。

 途中、相方の男がトイレをしたいと申し出た。

 仕方なく待っているが男が返ってくる気配はない。

 彼が向かった先へ、ため息をついて捜索に向かう

 あなたの後ろから、女性の声が聞こえてきた--。)





 ・・・・・・待って! 待ってください!

 ・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・はぁ~。

 よかった~。人がいて~。

 私、友達と肝試しをしてたんだけど、

 その友達が先に行っちゃって・・・・・・。

 あの、失礼ですけど・・・・・・友達、見てません?

 女の子なんですけど、ショートカットで、こう、

 少し動くだけでもパンツが見えそうなスカートを

 履いて・・・・・・って! 今エッチな事考えたでしょ!

 あ~や~し~い~ぞ~。顔真っ赤にしてぇ~。

 もう。スケベな人ですね。

 そんなに否定しても、顔真っ赤な人に

 言われたら説得力ないんですけど~。

 まあ、私は優しいですからね。

 誤ってくれれば、この事は水に流してあげますよ。

 --うんうん!よろしい!では、許してあげます!

 ところで・・・・・・あなたはどうしてここに?

 まあ言わなくてもわかりますよ。

 肝試し、ですよね。さっき他の女の子

 2人にも会いましたし。

 目的地は、この廃村の神社。ですよね。

 ふふふ、何で分かったんだって顔ですね。

 私、元々この村の出身なんですよ。

 といっても、私が赤ちゃんの時ですけど。

 今は、下の村でバイトとかしてるんですよ。

 この村の事はよく分かんないですけど、

 たま~に、あなた達のような人が来るから、

 こうやって警告してる訳です。

 はい。警告ですよ。

 この先には何もない。神社も一年前に

 取り壊されて、そこには人形もない。

 いずれこの廃屋も、壊されて更地になります。

 要するに、行っても無駄です!

 残念でした!って!何でそんなにがっかり

 してるんですか!

 いいじゃないですか!怖い思いしたいんですか!

 まあ・・・・・・その為の肝試しなんでしょうけど~。

 ・・・・・・それでも、私はもうこれ以上、

 けが人を出したくない・・・・・・。

 この辺り、少し歩けば崖になっていて、

 そこで足を滑らせて、崖から転落した話も

 結構あるんです。私は、ここが大好きなんです。

 これ以上けが人が増えて、出入り禁止に

 なって欲しくないんです。

 だから・・・・・・お願いです。このまま、

 立ち去ってくれませんか・・・・・・?

 本当に?ほんとのほんとの本当に!?

 ありがとうございます!じゃあさっさと

 後ろ向いてそのまま歩いて行ってください!

 それじゃあさようなら~!

 え?その前にお願いですか?

 お友達を見つけたい、ですか。

 そうですね。私も友達を見つけたいので

 う~ん。でもなぁ。

 友達を見つけたらすぐに帰ってくれます?

 う~~~ん。わかりました!

 そこまで言うならいいでしょう。

 恐らく、あなたの友達は奥の神社に居るはず

 ですから、私についてきてください。

 私の友達も、きっとそこに居るはずですから。

 どうして分かるかって?

 女の勘です。鋭いんですよ、私?


 ・・・・・・

 ・・・

 ・・

 

 ・・・・・・はぁ。結局、いませんでしたね。

 女の勘、外れちゃいました・・・・・・。

 結局、入り口の所まで戻ってきましたけど・・・・・・。

 あ、あれ。あなたのお友達じゃないですか?

 ほら、あれ!手を振ってる金髪の人!

 ああ~よかった~。ちゃんと戻っててくれたんだ。

 それでは。私はここまでです。

 あなたとの短いお散歩。楽しかったです。

 え?一緒に戻ろないのか、ですか。

 私は、もう少しここでお友達を待っています。

 ご心配無用です!私の友達の嗅覚力はイヌと

 同じなので、きっと私を見つけてくれます!

 危なくなったら、大声で叫びますんで!

 はい!それではお気をつけて!


 

 --行きましたか。・・・・・・ごめんなさい。

 あなたをぎりぎりまで引き留めた事。

 あなたともう少し、お話ししたかったの。

 ほんの少しでもあなたと一緒に居たかった・・・・・・。

 少しでもあなたと話せて嬉しかった・・・・・・。

 ・・・・・・出来れば、あなたも一緒に連れて行きたい。

 それはダメ。ダメなんだよね。

 あなたには今の人生がある。

 あなたには未来を生きる必要がある。

 そんなあなたの未来を奪う権利は

 わたしにはない。

 でも、少しくらいは・・・・・・覚えててほしかったな・・・・・・。

 あ~あ。また暫くぼっちか~。

 ・・・・・・ここにはお父さんもお母さんも弟も

 ペットのぽっちゃんもいる。

 でもやっぱり・・・・・・さみしい、かな・・・・・・!

 さよなら・・・・・・私の・・・・・・。

 私の・・・・・・。

 私の・・・・・・大好きなあなた・・・・・・。

 

 

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