第10話ワールドカッパーフィールド
【27】
「あの1体と1匹一緒に連行…」
「はい!警部補!」
佐藤はビデオを感心しながら見ている警官に、呆れながら指示した。コロ助とブービー小林はヤスをボコボコに殴りながら連行されて行った。
「清野さん、さっきから眺めてる地図は一体なんですか?」
「これかい?今回殺害された被害者の位置と自殺した人達の所に印を付けて線を引いてみたんだ。ちょっと気になってね。」
「見せてもらえますか?」
メイは清野から地図を受け取り、眺めたが首をかしげた。
「何でしょうか?」
「地図を逆さにして見てご覧。」
「逆さですか?」
そう言われると持っていた地図を上下に回した。
「どう見える?」
「ん~。あっ!これ…、双子座ですか…?自殺と他殺の場所が星の位置と酷似してます。」
「やっぱり、そう見えるよね。今回の事件も双子が絡んでいたから、偶然とは思えなくて調べていたんだけど接点が見つからないんだ。」
「清野さんでもわからないことがあるんですね」
メイはクスッと可愛いく笑った。
「そりゃね、わからないこともあるさ人間だもの…。こりゃ都市伝説がまた増えるなぁ」
「悪魔のブラジルまな・かな伝説がいい…」
ルミコが2人の話を聞いていて、話し掛けてきた。清野は頭を掻いて
「まあ、この謎は私のライフワークにするよ。」
そう言うと地図を折り畳み、内ポケットにしまった。
「ところでルミちゃんはどこにいたの?」
「あれ、処分してた…」
ルミコの指差した先には、先程コロ助達が上映していたビデオテープが粉々に壊れていた。
「証拠隠滅!」
ルミコは満面の笑みで佐藤に唾をかけた。
【28】
「へいおまち!ドクロラーメン天使味だよ!」
「わぁ、清野さんの言う通りですね!美味しそう~。」
「たしかにうまそうすっね!」
「だろ~。」
事件から数日後のある日、メイと花上はEXILE探偵事務所を訪れ、清野とルミ子と一緒に毒路博士が経営するドクロラーメンを食べていた。
「てへっ!誉めてくれてありがとう、お嬢ちゃん。この間は犯人にしちまって本当にすまんせん。」
「そうですよ、ひろしさん。その分メイちゃんにサービスしてやってね。」
「そう言われると思ってまして、既に具の方にサービスしときましたよ!てへっ!」
毒路は照れ臭そうに舌を出してそう言ったのだが、サービス内容というのは、ナルトを一枚多く入れた事だった。
「博士!ナルト追加!」
ルミ子だけその価値観がわかっているらしいが、無論他の者には到底理解出来ない事であった。
「あっ!毒路さん!チャンネル代えてもいいっすか?」
お構い無し刑事花上はそう言うと勝手にテレビのチャンネルを代えた。
「今日はワールドカップの決勝で、なんと日本が勝ち上がったんですよ!割れ眼鏡の監督の采配がいいんすよ!」
「コロちゃん出れなかったのですよね。そういえば今日コロちゃんは?」
すると、ルミ子は
「絶対に負けられない戦いに行くって言ってた…。」
と答えた。
「コロちゃん代表から落とされた時も、我輩の魂はみんなに預けたって、選手達を誇示したみたいですよ。コロちゃんの想いが選手達をここまで勝ち上がらせたのかもしれませんよね?」
メイはコロ助が代表からはずれた時のエピソードを感慨深くそう言った。
「いや…、意外と代表復帰してるかも?」
「まさか…?」
そう言う清野に、あながちあり得るかもしれないと、皆はテレビに注目していた。
その時だ!
コロ助は日本の対戦相手、アメリカ代表の選手としてピッチに立っており、ピッチ上から割れ眼鏡の監督を睨み付けていた。
「あいたたたた!」
皆、頭を抱えていた。
【29】
「新幹線突然停車事件の犯人はあなただ! 照満次郎(てりまんじろう)
あなたは線路に紛れ込んだ子犬を助ける為に、自ら新幹線を止めたのですね!」
男はその場に泣き崩れた。
「しかし、僕を呼び出すなら、もっとマシな事件にして欲しいものですね。それに気軽に連絡しないで頂きたい。」
明智は振り返り、待機していた佐藤とヤスに呟いた。
「警部補、やっぱり呼んでおいて良かったですね。」
「こいつがいなくても、わしが解決したがな!」
「そうですよね!ちなみに取調室で服は脱ぎます!」
何故か二人で盛り上がっている。明智は回りを見渡して
「ところで、早月さんは来てないんですか?」
「来てないですよ。警部補と僕は一緒に行動しろって命令されて。」
「命令?」
「早月先輩はキャリア組なんで、やっぱり命令には逆らえません縦社会ですから。」
「ということは?」
「はい、警部です」
「何!聞いてないぞ!」
「言ってませんから!」
明智は深い溜め息を吐いて
「小林君、帰るぞ!」
どこからか飛んで来たブービー小林は、歩く明智に身振り手振りしていた
「小林君…、その情報は今終わった所だよ…。その星のマーク返して来なさい。」
それを聞くと、ブービー小林はバナナを食べながらどこかへ飛んで行った。
ある日の午後…。
EXILE探偵事務所ではテレビが流れている。清野は自分の椅子に深く腰掛けて、窓を眺めている。ルミ子はタライを磨いていた。
暇をもて余していた所、郵便受けから音がする。そしてルミ子が郵便物を持って来て、清野の机にばら蒔いた。
「ありがとう、ルミ子君。ついでにコーヒー入れてくれないかい?」
それを聞くとルミ子は軽くうなずいた。
清野は郵便物を1通づつ手に取り眺めていった。
ガシャン!プシュー!
隣の部屋から大きな音がして、コロ助が部屋に入って来ながら
「いや~、リフレッシュしたなり~。」
「コロ助君、充電終わったのかい?」
「満タンで棒が3本立ってるなりよ。これでいつでもビーム打てるなり。所でご主人様?」
「なんだい?」
「電気代大丈夫なりか?」
「大丈夫だよ、電気は全部ドクロラーメンの店から繋いでるから。」
「相変わらず、悪い奴なりね」
コロ助はニヤリと笑った。
「そうかい?」
清野は手紙を読みながら笑っていた。
「我輩、協会に呼ばれているから出掛けるなりよ。」
「遅くならない様にね。」
「わかったなり。」
そういうとコロ助は部屋を出ていった。そこにルミ子がコーヒー持って来て机においた。
「あっ!」
「ありがとう、ルミ子君。どうした?」
ルミ子が眺めるテレビでは、この間アメリカ代表に選ばれピッチに出たコロ助だったが、やはりロボット枠がない為に強制退場させられていた。その後ビームを打ちスタジアムを大炎上させ、大会が中止になった事件が流れていた。
「大会中止になっちゃったんだね…」
テレビ前にかじりついてルミ子は燃えている会場に目を輝かせて見ていた。清野は再び手紙に手を取り眺め始めた。
その手紙には
【あなたも魅惑の賞金を手に入れませんか?】
【魅惑の天狗ダーツ】
主宰
コロ助コーポレーション
と 書かれていた。
「天狗ダーツか…」
その時、突然事務所の扉が開き
「清野さん大変です!花隈町で会社社長が殺されました!一緒に来てもらえますか!」
メイが息を切らせて入って来た。それを聞くと手紙をクシャクシャに丸め、ゴミ箱に捨てた。そして、立ち上がりお気に入りのコートを手に取って
「さあ、事件だ。ルミ子君行こうか!」
そう言うとルミ子とメイを引き連れて、事務所を飛び出した。
その頃…
探偵さん事件です、と勢い良く入って来た男は扉を開けた。
「兄ちゃん…、ここトグロラーメンだけど。どうした?」
男はまた間違えちゃったなぁと思ったが、帰るに帰れずラーメンを頼んだ。出て来た塩ラーメンはかなりしょっぱい。そうか涙でしょっぱいのかと思っていると
「兄ちゃん!うちのラーメン、涙流すほど上手いのかい?」
店の主人がニコやかに話し掛けたが、不味いですと即答してしまい袋叩きにあった男の名は
【怪盗ヒゲゴリラこと山田健二】
であった。
完
アメリカ天狗殺人事件 ごま忍 @SUPER3mg
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