砂糖細工のアルカディア

砂糖菓子が音を立てて墜落する。

やみくもに逃げ惑う、たくさんの足。足。足。

お砂糖とスパイスでできた神々は、現れた時と同じように、気まぐれに立ち去った。


つかのまの恐怖は、甘美な香りにすぐさま塗り替えられる。

ちいさく砕かれ、粛々と運ばれていく、もろい砂糖衣。


(らくえん?)

(らくえんだね)


ありたちは、口の中に流れ込んでくる蜜に酔いしれながら、引き伸ばされた飴のような触角を触れ合わせる。


(すべりだい)

(すべりだいだ)


ブラウンシュガーのような砂に足を取られて、ありたちが斜面をすべり落ちていく。


(ここのありたちは とてもよくふとっている)


砂の中、おとぎ話の中の怪物のような顎を広げて、一匹の虫がうっとりと身を潜める。

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