351 くたくたにゃ~
飛び掛かる白アナグマ三匹の同時攻撃で、わしの着流しは切り裂かれた……
そう。着流しだけだ。
わしは変身魔法を解いて猫又に戻り、体積を減らして、白アナグマ達の攻撃はギリギリかわしていた。だが、逃げるのが少し遅かったので次元倉庫にしまえず、着流しが犠牲になってしまったのだ。
うぅぅ……わしお手製の着流しが~! と、言ってる場合じゃない。白アナグマ達は、もうわしの方向に向いておる。次の一手……
行け! 【影猫】×10じゃ~!
わしの影魔法で作られた真っ黒な猫は、六匹が大白アナグマに向かい、四匹が白アナグマAに向かう。
【影猫】は影で出来ているので、攻撃を喰らっても通り過ぎるだけ。それでも二匹の白アナグマは周りをウロチョロしているのがうっとうしいらしく、攻撃を続けている。
その隙に、わしは白アナグマBに接近し、ネコパンチネコパンチネコパンチ。
よし! 一匹、あの世に送ってやった。これで楽になるじゃろう。
わしは影猫が動き回っている内に、白アナグマAに向かおうとしたら、後ろから声が聞こえて来た。
「シラタマさ~ん!」
リータ達だ。掃討戦を終えて、助けに来てくれたようだ。
三人の近付く姿を見ると、わしは一瞬で合流して、念話で話し合う。
「もう終わったんじゃな」
「はい! それでどう言う状況ですか?」
「見た通り、一匹倒して
「わかりました」
「任せるニャー!」
「がんばる~!」
「傷を負っているけど、キョリスぐらい強いから気を付けるんじゃぞ。行くぞ!」
「「「にゃ~~~!!」」」
皆はわしを残して白アナグマAに向けて突撃する。わしが何故、残っていたかと言うと……
いつもの猫語じゃないんだから、もっと気合いの入った返事が欲しかったな……
ちょっとズッコケそうになっていたので出遅れた。
それでもわしのほうが遥かに速いので、一瞬で追い抜き、【影猫】と
* * * * * * * * *
シラタマが大白アナグマと戦闘を開始する直前、リータ、メイバイ、コリスも白アナグマと戦闘を開始しようとしていた。
「……猫と戯れていますね」
「あ! 殴られたけど、腕が通り過ぎたニャー」
「モフモフがいっぱい~」
どうやら、白アナグマが【影猫】と遊んでいるように見えて、攻撃に移行するのが遅れているようだ。
「でも……いまがチャンスです! 最大火力で一気に決めますよ!!」
「「うん(ニャー)!」」
三人は魔道具に魔力を流し、肉体を強化して戦闘を開始する。準備が整うと、リータとメイバイはコリスの尻尾に乗せてもらい、空高く投げさせる。
第一段はメイバイ。二本のナイフを光の剣に変え、宙に出した風の塊を蹴って急降下。白アナグマの首元に、深々と光の剣を突き刺す。
第二段はリータ。土の玉を宙に固定し、それを蹴って急降下。メイバイの攻撃で悲鳴をあげている白アナグマの背中に、重たい拳を減り込ませる。
最後はコリス。リータのパンチで地面に張り付いた白アナグマの頭に、前脚と尻尾で殴るリス百烈拳を炸裂させる。
三人の息の合ったコンビネーション攻撃は見事に決まり、白アナグマは動きを止める。
「もっと、もっと~!!」
リータはここで決めると言わんばかりに殴りながら声をあげ、二人も攻撃の手を休めない。
しかし、相手はキョリスクラスだ。
満身創痍になりながらも体を無理矢理動かし、強引に全員を振り払った。
三人は宙に浮いたが体を
「おしかったですね」
「凄い生命力ニャー」
「でも、あとすこしだよ~」
「そうですね。予期せぬ反撃があるかもしれませんから、注意してトドメを刺しましょう」
「「うん(ニャー)!」」
リータ達は慎重に近付き、無理な攻撃はせずに白アナグマの体力を奪っていくのであった。
* * * * * * * * *
リータ達がコンビネーション攻撃に移行する少し前、わしは【影猫】六匹と戯れている大白アナグマに突撃した。
うお! もうこっち向いた。
突然振り向いた大白アナグマに驚いて、わしは急ブレーキ。奇襲攻撃を諦める。
もうちょっと遊んでおれよ~。【影猫】の攻撃を無視するとは、思ったより知能が高いな。
もう【影猫】は効かんじゃろう。リータ達のは念のため残して、六匹は解除。からの、走れ【風猫】×6!
わしが放つは、【
その隙にわしは背中に飛び乗って、ネコパンチネコパンチネコパンチ。轟音が響き渡り、大白アナグマの四肢は埋まる。
次は【三日月】!
大白アナグマの首元に放った大きな【鎌鼬】が鮮血を撒き散らす。
だが、痛みに反応した大白アナグマは簡単に地面から脚を抜き、転がってわしを振り落とした。
わしは一回転して着地すると、大白アナグマを睨む。
ちと浅かったか……しかし【大鎌】を放つには角度が悪かったから致し方ない。リータ達に被害が出そうじゃったもんな。
出来るだけ綺麗にお持ち帰りもしたかったが、贅沢は言えんか。
【肉体強化マックス】! からの【光一閃】!!
わしは身体能力を跳ね上げ、爪に光を
わしはギアを上げ、爆ぜる地面をスローモーションに見ながら、大白アナグマの左前脚を駆け上がった。
その直後、大白アナグマの左前脚に赤い螺旋の模様が浮かび、そこから血が吹き出した。もちろん、わしが光輝く爪を伸ばして斬ったのだ。
そして肩口も斬り裂きながら、もう一度首元を狙うが、大失敗。痛みでわしの位置を特定された。
大白アナグマは二本脚で立つと同時に、その勢いでわしを空高く打ち上げる。さらに背中から倒れ込んで大口を開けた。
「ガアアァァ!!」
大白アナグマの【
ナメてもらってはいけないよ。アナグマ君……。誰を相手にしていると思っているんじゃ!
わしに掛かれば、空中の移動なんてお茶の子さいさい。風魔法を使えば、簡単に移動出来る。
だが、いまのわしの身体能力なら、こんな事も出来る。
魔法も何も使わずに、空気を踏んでの移動……正真正銘、エアウォークだ。
わしは横に駆けると、すぐさま直角に駆ける。そして【咆哮】の横を走り抜け、大白アナグマの腹に、落下と速度のエネルギーを使って強烈なネコパンチ。その攻撃で【咆哮】はやんだが、わしの攻撃はやまない。
無防備の
若干浮いた大白アナグマの下に潜り込んで、ネコパンチネコパンチネコパンチ。地を蹴り、空気を踏み込み、ネコパンチを打ち込み続け、わしと大白アナグマは昇り龍となる。
お返しじゃ!
上空に打ち上げられた大白アナグマを残し、わしだけ急降下。そして極大魔法を使う。
「にゃ~~~ご~~~!!」
【
【御雷】は、一瞬で大白アナグマの腹を貫いたが、その瞬間、角度を付けたので、肩まで割ける事となった。
次元倉庫じゃ~!!
そうして血の雨が降る中、落下途中の大白アナグマを次元倉庫にしまう事で、決着となるのであった。
「はぁはぁはぁはぁ……」
デカイ魔法無しだと、しんどいのう。リータ達がそばに居なければ【四獣】を使って、もっと楽に倒せたのにな。まぁ出来るだけ綺麗にお持ち帰りしたいから、使えないか。
それよりも、リータ達は……なんとか勝てそうじゃな。ちょっと休ませてもらおう。どっこいしょ……
わしは猫又のまま、ボロ布となった着流しの上で横になって、リータ達の戦闘を眺める。
リータの盾で受け止められた白アナグマの前脚は、鎖を巻かれて動きを阻害される。その一瞬の隙を突いて、左右に分かれたメイバイとコリスのアタック。
光の剣と光の爪で、白アナグマの後ろ脚を何度も斬り付け、血濡れで膝を突く事となった。
その後も慎重に体力を削り、虫の息となった頃に、一斉に飛び掛かって命を刈り取った。
「「「はぁはぁはぁはぁ……」」」
格上相手に戦って、肩で息をするリータ、メイバイ、コリス。それでも白アナグマから視線を外さず、警戒しているので、わしから念話で声を掛ける。
「お疲れさん。もう終わっているから大丈夫じゃ」
「あ、シラタマさん。シラタマさんも終わっていたのですね」
「ああ。すぐに移動するから休憩しておれ」
「はい」
次元倉庫からピクニックシートと飲み物を出してリータ達に渡すと、わしはアナグマを回収しに走り回る。
何匹かは傷が軽かったのか逃げる姿があり、また何匹かは息があったので、悩んだ結果、回復魔法で治して逃がしてあげた。
大量の黒い獣が手に入ったのだから、無駄な殺生は必要ないだろう。
そうしてアナグマを回収し終わると、皆で東に移動。戦闘現場から十分に距離を取ったら穴を掘って皆で入り、転移する場所を少し相談。
この数日で獣も大量に手に入れたから、売り
夕暮れ時の東の国王都に入ろうとしたら、止められた。珍しく半分男じゃなかったので、猫型のわしを知らなかったようだ。
とりあえず、変身魔法で人型に変身して王都を歩く。
王都の台所に寄って、今日の晩ごはんを買って帰ろうとしたら、コリスに駄々をこねられて、肉の串焼きを十本買い与える。まぁコリスも頑張ったから、当然の報酬だ。
わし達も小腹がへっていたので、一本ずつモグモグしながら我が家に帰宅して、居間の引き戸を開けると、意外な人物……てか、勝手に入ってくつろいでいる人物が待ち構えていたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます