第4話 大災悪
この街の中心と思われる大きな道から外れた路地そこに俺はいた。人が普通はいないような雰囲気がある。つまり、汚いのだ。こんな綺麗な街なのに路地に入るとどの世界でのこういう景色になるのか。そんなことを思っていたのだが、肝心なことを忘れていたようだ。
「俺、罪でこの世界に来たのか」
天使のような自称神のアマテラスが言ってようやく思い出した。普通異世界に来たならば最強と言われるような能力を得ることができる。エクスカリバーなんて定番だ。自分だけのだけにしか使えない魔法を使うとかそういうことを想像していた。けど普通の異世界転生と違って罪によってここに来させられた。
ここでようやく不安が募ってくる。
「まさか、無能力ではないよな・・・」
そう。異世界で世界を救う。そんなことを頼まれて無能力では魔法とかがありそうなこの世界では無理に決まってる。
「さすがにね。無能力はかわいそうだからとっておきをあんたに授けてるのよ」
「とっておき???・・・」
この言葉を聞いてちょっと期待が出てきた。とっておき。この言葉はすごい能力を与えてくれる。罪とは言っても異世界転生。例えるならばゼロから異世界生活している人が持っている、死に戻りのような強いような大変そうな能力かもしれない。はっきり言うと死に戻りは嫌だが、そんな感じの能力を与えてくれるのかな・・・
「とっておきっていうことはすごい能力なのか?」
期待を込めてるような死に戻りは嫌だ。そんな願いを込めて聞いた
「うーーん、能力っていうわけではないんだけどね・・・」
首を傾げながら困ったような顔で言う。なんて言ったらいいかわからない。そんな表情をしている。
「どういことだよ。能力じゃないって・・・」
異世界転生で能力じゃない?能力以外に与えられるものってあるのか?全然想像もつかない。不安が強くなっていく。
「まぁ簡単に言うとね、えっと、ちょっと昔話をしないと伝わらないかも」
困ったように言う。ちゃんと考えとけよ。そう思いながらも何を言われるかとても怖い。1、2分前は楽しみだったのが、廃病院に肝試しに入るその50倍くらいの恐怖が襲ってくる。当たり前だこれからの人生がかかっているのだから。
「どういうことだよ!早く言えよ!」
人間は恐怖に陥るとキレた口調に変わっていく。
「まぁまぁ落ち着いて聞いてよ」
こういう喋り方がこういう時は一番腹立つが、いちいち突っかかっていたら話が進まない。
「・・・・・・」
つばさは何も喋らない。ここは話を聞いておくことが一番大事だと気づいたのだ。
「今から100年くらい前かな。この国、あ、まだ国の名前言ってなかったね。この国の名はウルカヌス。っていう国だね。まぁこの世界には7つの国があるんだけど、そのうちの1つの国だね。それで100年前の話に戻るんだけど、この国は一度滅んでいるのよ」
「え?どういうことだよ。普通に立派な街だけど」
アマテラスの言葉を遮る。滅んでいるといわれても普通に立派な街だ。1度滅んでいるとは思えない。
「まぁまぁ話をちゃんと聞いて。そりゃ100年前の話だからね。100年もたてば国も立派になるよ。まぁそれで滅んだ話なんだけど。滅んだ理由なんだと思う?」
「まぁさっき7つ国があるって言ってたからな、どっかの国と戦争をして負けたとか、まぁべたでいうとめっちゃやばい感染症とかで人が全員死んだとかかな」
そう。国が滅びるなんて元居た世界では戦争とかしかない。まぁ最近でいうと人類が増えすぎて食料がなくなるとか、地球温暖化が進んで何が起こるか知らないが人類が滅亡するとか、AIが意志を持ち始めて人類を倒すとか。色々な話はあるが、こんな中世ヨーロッパのような世界ではそんなことはないだろう。
「一人の魔導士によって滅ぼされたんだ」
真顔で真剣な様子でそう話す。
「・・・・・・え?」
無意識で口からこぼれ落ちた。
国を一人で滅ぼした?そんな危ない奴がいる世界なのか。っていうか一人で滅ぼすなんてチートだろ。ガチなゲーマーだったら家の住所を突き止めて1日に100回ピンポンを鳴らしに行くくらいな悪質行為だぞ。帰りたい。その文字が頭の中に浮かぶ。
「まぁ100年前だからねそいつはもういないから安心しなよ」
「そ、そうか100年前だもんな。生きてるわけないか。」
ほっとした。ただここで疑問が浮かんでくる。なんで死んだ奴の話を今するんだ?俺に何の関係があるんだ?
「でね、そいつは国を滅ぼしてから1年後くらいに死んだんだけど。まぁ国を亡ぼすくらいに最強な魔導士でね、そいつは死んだときにある魔法をかけていたらしいんだ」
「魔法?なんだよその魔法って」
「体は死んだけど精神っていうのかな心っていうの心っていうのかな。まぁ説明するのは難しいんだけど」
「あんたはその魔導士ティフォンその生まれ変わりなんだよ」
「・・・・・・」
声も出なかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます