第3話 異世界か現実世界か

「ん、う、どうなったんだ」

意識がなくなったあと目が覚めた。周りを見回すとそこは大きな街のようだった。ポツンと道の真ん中に立っている。周りには人や建物がたくさんあり例えるなら日本よりもヨーロッパのそれも、時代が自分がいた時代よりも古いような街並みだった。とても大きく王国のような感じが漂っている。極めつけは大きな城だ。日本で一番有名なテーマパークにある有名なお城のような感じでそれの5倍くらいはありそうだ。はっきり言ってすごい。この言葉以外見つからなかった。


「ここはどこなんだ」


天使のような見た目の神アマテラスによって転生させられたが、まだ現実の世界の可能性もある。海外旅行に行ったことがないので自分が知らないだけの街かもしれない。人以外を見つけることが出来れば現実世界じゃないということが分かるがもうすでに夢ではないということは悟っていた。


「誰かに聞いてみるか?」


国の名前、もしくは地名を知れば現実世界かどうかが分かるかもしれない。今のところ人間以外には特に何も、


「あれは、う、馬か?」


馬のような恐竜のような動物が馬車みたいなものを引いている。馬と言われれば知らない種の馬かもしれないが恐竜と言われれば恐竜といってもいい動物がいる。だがこれだけでは判断することはできない。


「誰かに声かけてみるか」


だが高校でも友達がいない俺にとっては声をかけるということ自体が難しい。どんなに声をかけなければいけない場面であろうとも難しいものは難しいのだ。しかも、この世界が自分の知らない架空の世界である可能性もある。それを知るのが正直怖かった。それでも少しづつ歩いてみる。


「どうしよう。誰に声かけたらいいんだ」


周りにはいろいろな人がいるめっちゃきれいな若い女性からお年寄りから子供まで数多くの人が・・・」


「お兄さんどったの?」


「な・・・・・・」


驚愕した。目の前に現れたのは人間ではなくエルフのような見た目をした子供だった。頭が全然追いつかない。いきなり話しかけられたこともだが、今まで現実の世界か異世界かどっちかわからなかったが完全に異世界ということが分かったからだ。


「あ、えっと、あの」


言葉が全く出てこない。色々なことに驚いたこともあるがまず人に話しかけられたこともなかなかない、しかもこの異世界の住人ではない俺がなにを話したらいいのかすら分からない。だが一つ分かったのは言葉が通じるということだ。異世界のはずだが日本語に聞こえる。


「さすがに異世界人ってことがばれたら即アウトみたいなシステムはないよな・・・」


異世界から来たことを明かすか、いや子供に言っても無駄だと思い親が近くにいないか探すが見つからない。

「知ってるよ。お兄さん異世界から来たんでしょ?」


子供のエルフが満面の笑みでそう言った。


「は、?な、なにを言って・・・・・・」


慌ててそう答えた。まずなんで俺が異世界から来たことがばれているかだ。一番可能性のある見た目

だが、確かに他の人とはちょっと違う雰囲気だが、たまに渋谷にいる変な格好をしている人レベルのものだ、それだけで異世界から来たとは思わないだろう。言語の違いも、まず誰とも喋っていないし、言葉も通じている。それだけではわからないはずだ。しかも異世界の人ってばれたら即アウトという可能性もある。正直に異世界から来たって言っていいのか。だが、何も喋らないと否定することはもうできない。まず何か言わないと。


「な、なんでそう思うんだ」


一番言い返しをできたと思う肯定も否定もせず、なぜそう思ったかを聞く、これで異世界から来てないという嘘をついてないし来たとも言っていない。これがこのばめんでいちばんさいぜんこれがこの場面で最善な答えなのだ。


「だって私、さっきまで一緒に居てあんたを転生させたじゃん」


「え?」


目が丸くなるさっきまで一緒にいたといえば天使のような見た目をしていた日本担当のアマテラスっていう感じの名前の神としか一緒にいない・・・・・・


「まさか、お前自称神って言って、天使のコスプレしてた・・・・・・」


「そ、そうよ!その神よ!」


顔が真っ赤になりぼそぼそと「思い出さないでよ、いいじゃん。だって天使可愛いじゃん」みたいなことを言っている。


「なんでお前がここにいるんだよ。っていうかここどこだよ」


そうだなんでさっきまでいたやつがここにいるのか。そしてここはどこなのかそれが聞きたかった。


「そうね。それを説明するためにわざわざここに来たんだから」


さっきまで顔が真っ赤だと思っていたが真面目な顔になり子供の表情とは思えなくなっていた。


「あんたが夢とかって言って信用しなかったらまずこっちの世界に送って説明はそれからでいいかなって思ってね」


「こっちの世界ってやっぱり異世界なのか?」


一番聞きたいのはそれだ。現実世界のどこかの国なのかそれとも異世界なのか。その答えによって・・・・・・


「そうね。やっぱりこの街を見ても信じていなかったのね。そうよここはあなたにとっては異世界というのかな」


その言葉を聞いて息が詰まった。


「そうよね。心配で声も出ないわよねまぁだいじょう・・・」


「やったーーーーー!!!!!!!!!!」


神アマテラスの声を遮る。そしてアマテラス、先ほどとは姿は違うエルフのような顔だが驚きを隠せない。


「え、?あんた異世界に来てるのよ。し、心配して・・・」


「何言ってんだよ異世界だぞ!異世界。この世界に俺が必要だから来たんだろ!日本じゃ俺は必要とされていない存在だからな!やべー勇者とかになれるのかな」


とても浮かれている。確かに異世界に召喚されるということはアニメやゲームではとてもよくあるシーンで大体最強の能力や武器などがある。つまり勇者のようにこの世界で見られる可能性がとても高いというわけだ。今まで現実世界か異世界かどっちか早く解き明かしたかったが、その理由は異世界であってほしかったからだ。そうニートになろうとしている人が一番うれしいのがほかの人から必要とされていることだ。この世界には俺が必要不可欠そういう風に考えているのだった。


「あんたね、バカなんじゃないの?」


あきれたような顔をしている


「何がだよ!なんか最強の能力とか俺持ってるんだろ?」


期待を込める。ここでつばさの脳に浮かんでいるのはどんな魔法を使えるかだ。近接戦は腕力もないし一番の問題が、攻撃を受ける可能性があるということだ。それに引き換え最強の魔法使いは危険も少なく戦える。一番大事なのが属性だ。主人公は大体火属性の能力を持っているこれはアニメやゲームにはほぼ絶対という能力だ。しかし他にも助っ人キャラ的に炎や風や水などこれらの属性に属さない、他の人が使えない能力系のものもある。今、脳内ではこの2つの能力どっちを持っているかを期待している状態なのだ。


「ちょっとこっちにきなさい」


あきれながら近くの路地の中に誘ってくる。


「なんだよ民衆の前だと見せられないくらいそんなにやばい能力なのか?」


今つばさの脳内には良いことしか浮かんでいない。


「あんた忘れたの?」


「ん?何がだ」


何の能力か教えてもらった記憶はない。


「あんたは裁かれてこっちの世界に来たのよ」


もう呆れすぎてごみを見るような目で見られている。


「あ・・・・・・・」


ここでつばさはようやくそのことに気づいたのだった。


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