第14話 《反省会・魔法少女の晩餐》


「うっ、あれ私……」

 そこはもうエウメニデス本社の中だった。ソファに寝かされていたようだ。起き上がる。辺りにはテーブルの席につくエウメニデスのメンバーの姿が。

「鉄騎ってあんなに快適なのねぇ……運転手の男が魔力不足でひいひい言ってたけど」

「鉄騎ってのは動く箱みたいなヤツでね?」

「お二人とも、起きたばっかりなんですよぉ?」

 メルカと神輿を宥めるフィズィ。顔を覗き込まれる。

「もう魔力は回復したみたいですねぇ。良かったぁ」

「私……負けて……」

「勝ったわよ? 私の一撃でね」

 ふふんと鼻を高くしているメルカだがそこをルルディはそっちに目を向けていない。


「私、どうしてあんなに前のめりだったんでしょう?」

 神輿が眼光を鋭くする。

「自覚が無かった?」

「……はい、なんだか無我夢中で」

「神輿、それがなんだってのよ」

「いや何、それがルルディの記憶喪失関わっている可能性を考えただけさ」

「もともと戦闘狂だったってだけじゃないの?」

「いや、もしアレがルルディのだとしたら……」

「あの私、どこかおかしいんでしょうか?」

 ルルディが不安そうに神輿を見つめる。


「いや、そこまで確信めいたものではないんだ。すまない」

 頭を下げる神輿。ルルディはそれを受け入れる。

「二人とも落ち着きましたかぁ? じゃあ今晩のごはんですよぉ」

 そう言って暖かいスープにパン。それとステーキを運んでくるフィズィ。

「うわぁ、どうしたんですかこれ?」

「今回の報酬で買ったのよ」

「うっ、今回の……」

「はいはいトラウマらないトラウマらない。もう鈴の奴は

「うっ、あれ私……」

 そこはもうエウメニデス本社の中だった。ソファに寝かされていたようだ。起き上がる。辺りにはテーブルの席につくエウメニデスのメンバーの姿が。

「鉄騎ってあんなに快適なのねぇ……運転手の男が魔力不足でひいひい言ってたけど」

「鉄騎ってのは動く箱みたいなヤツでね?」

「お二人とも、起きたばっかりなんですよぉ?」

 メルカと神輿を宥めるフィズィ。顔を覗き込まれる。

「もう魔力は回復したみたいですねぇ。良かったぁ」

「私……負けて……」

「勝ったわよ? 私の一撃でね」

 ふふんと鼻を高くしているメルカだがそこをルルディはそっちに目を向けていない。


「私、どうしてあんなに前のめりだったんでしょう?」

 神輿が眼光を鋭くする。

「自覚が無かった?」

「……はい、なんだか無我夢中で」

「神輿、それがなんだってのよ」

「いや何、それがルルディの記憶喪失関わっている可能性を考えただけさ」

「もともと戦闘狂だったってだけじゃないの?」

「いや、もしアレがルルディのだとしたら……」

「あの私、どこかおかしいんでしょうか?」

 ルルディが不安そうに神輿を見つめる。


「いや、そこまで確信めいたものではないんだ。すまない」

 頭を下げる神輿。ルルディはそれを受け入れる。

「二人とも落ち着きましたかぁ? じゃあ今晩のごはんですよぉ」

 そう言って暖かいスープにパン。それとローストビーフを運んでくるフィズィ。

「うわぁ、どうしたんですかこれ?」

「今回の報酬で買ったのよ」

「うっ、今回の……」

「はいはいトラウマらないトラウマらない。もう鈴の奴は食らいついてるわよ」

「さっさと食べないとね。魔力消費した分お腹空いてるだろう?」

 ぐぅというお腹の音が鳴るルルディ。顔を真っ赤にしながら席についてパンをほおばる。

「……おいしい」

 次はスープに手を伸ばす。

「温かい……」

 ステーキに食らいつく。

「柔らかい!」

 こうして魔法少女達の晩餐は始まった。


「もぐもぐ、んっ、にしても初戦にしてはいいスコアだったんじゃない? 向こうの指揮官も『新兵なら即除隊モノだがマジティカルとしてなら及第点ではないか』って言ってたし」

「ううっ、即除隊……」

「だからそうやってネガティブな面だけ捉えないの。もっとポジティブに生きなさい」

「そうだよルルディ、メルカのように現実逃避して生きていかないと」

「ちょっと神輿、喧嘩なら買うわよ?」

「やだなぁ、喧嘩なんて売ってないさ」

「うう私のローストビーフ……ッス」

「まだおかわりありますよぉ」

「女神様がいるッス……!」

 姦しく進む晩餐はやがて飯が尽き、夜、寝る時間がやってくる。


 二段ベッドの上、天井を見つめるルルディ。他の三人、神輿、フィズィ、鈴。の三人は寝息を立てている。メルカは中央部屋の大きなソファで寝ている。

(私の性質……)

 確かに、演習中の自分は自分ではないようだった。いやそもそも記憶喪失の自分には『いつもの自分』は存在しない。ルルディはそこに恐怖する。自分が空虚なモノに感じてしまう。

(私は、いったい何なのだろう)

 その問いは天井に吸い込まれて消えていった。

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