§3 食人鬼
人は本当に貧しくなるとどうなるのだろう
15xx年 in Scotland
48人もの大家族が一息に処刑された
全ての元凶は父親であるソニー・アビス
だが本当に彼らだけが悪いのだろうか
目の前にぽっかりとあいた黒い穴がある
何もかも吸い込んでしまいそうだ
ここにあいつらがいた
48人もの食人鬼が
確かに彼の生まれは同情にあたいする
もともと日雇い労働者の父親のもとに生まれ満足な食事も取れない
周りの人からは強く差別された
そんな中、彼は強く生きた方だと思う
不当な差別にもめげず、よく働いていた
だがある日、彼が仕事から戻ると家が焼かれていた
犯人はすぐにわかった
いつも彼を差別していたグループの一人だ
もちろん警察には通報したが相手が彼だとわかるとまともに取り合ってくれない
こうして彼は人間の本来の姿である醜い部分を見せ始めた
人間は本来、浅ましいものだ
自分よりも確実に弱い相手を見つけてはそれを心のどこかで卑下する
人間は元来そういうものだ
彼は次第に荒々しく怠け者になっていった
そんな性格でまともに生活できるわけもなく
現在のイギリスのノース海峡のところにある洞窟に住んでいた
彼は同じような境遇であった女性のアグネス・ラグラスと会い旅行者を襲っていった
旅行者や行商人を殺し金品を奪い食べ物や生活必需品を買っていった
ただ常に行商人や旅行者が通るわけもなく食べ物も手に入らなくなっていった
そこで彼らが思いついたのは殺害した相手を食料とすること
つまり彼らの日常的な食料は人間となった
彼らはすぐに捕まると思ったが案外捕まらない
状況が不利な場合は手出しせず逃げる 絶対に生存者を残さない
というルールをもとを絶対としていたためこの25年間居場所がばれなかった
とはいえ辺りで人は消えていたのでノース海峡に悪魔が住むと言われるようになった
そのため警備隊も捜索を始めていた
そんな彼がつい先日初めて失敗した
襲ったのは旅行者である馬にのっている夫婦
妻のほうは簡単に始末できた
ただ夫のほうが予想外に銃で反撃をした
その手こずっている間に新たな旅行団が通り彼は状況が不利だと判断した
初めて生存者を残してしまった彼はもちろん通報された
この事件はあまりにも猟奇的だったため当時の国王の耳にもはいった
結果400人もの武装した兵士が住処である洞窟に押し入った
もちろん勝てるわけもなくあっさりと捕まりそのまま処刑された
だが彼の子供は食人が当たり前のこととなっていたため
最後まで何が悪いのかわかっていないようだった
確かに人を襲う、という発想に至ったのは最悪だ
ただ人間が本当に何をしてでも生き残りたい時
彼のようになってしまうのも仕方ないのではないか
人は本当に貧しくなるとどうなるのだろう
老人の手記 るーといち @ru-----to1
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