第2話 産まれ、過去②
そんな中、あっけなくその鬼ごっこが終わる日がやってきます。
姉は私を孤立させるのが好きなのか、例えば親戚の子供達が我が家に来て皆で遊ぼうとしても、あいつは放っておけと私から人を遠ざける言動をよく取っていました。
そんな折、姉と同い年の親戚の子が我が家に遊びにきました。
姉はいつものようにあいつは放っておけとその子に言いますが、その子はずっと私を気にしており、姉にはそれがまた気に食わなかったのだと思います。
それまで他人がいる前ではした事がなかったのに、この日はその子が見ている前で例の鬼ごっこが始まったのです。
私はいつもの如く、泣きながら逃げるしか出来ませんでした。
しかしそれを見ていた子は一体何が始まったのか戸惑いつつ、純粋に私が危ないと思ったようです。
私の母は自宅のすぐ側で勤めており、その子は母の職場に駆け込み、殺されてしまう!と叫んだそうです。
家へ飛んできた母が見たのは、私が泣きながら捕まって刃物を顔面に押し付けられている光景。
そしてこの日を境に、刃物で追い回される事はなくなりました。
この後、母と姉で何を会話したのか知りませんでしたが、近年になり母とこの話題になった時、溜息を漏らしながら当時の事を話してくれました。
母は姉に、何故こんな事をしたのか質問をしたところ、
姉は『妹にはなにをやっても罪にならないんでしょ?』と答えたとの事です。
当時の私は、私が黙っていれば姉が怒られないで済むとか、きっと私が本当に恐怖しているのが分からなくて度が過ぎた遊びをしているだけだと自分に言い聞かせていました。
ただそれが結局、自分の感情を殺したり、全てにおいて自分を後回しにする癖が染み付いてしまった原因でもあるかと思います。
私は私を忘れることにした @ash000
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私は私を忘れることにしたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
私の風俗人生。/kasiramoji_R_chan
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます