私は私を忘れることにした
@ash000
第1話 産まれ、過去
私は山に囲まれた、雪深い田舎町で産まれました。
家は貧乏ではありましたが、両親と姉と私、四人家族で幼少期は特に寂しさを感じる事はありませんでした。
ただこの時から『私』は既に現在に繋がる『私』が少しづつ形成されており、
それが過去も現在も多かれ少なかれ自身を苦しめる結果となっていると思っています。
幼少期、私は姉から虐げられていました。
どこの家庭でも多少の兄弟喧嘩はあるでしょう。
しかし、私が今も感じる自身の歪みの一部は、きっとこの経験にも起因しているだろうと思います。
私が小学校に上がるタイミングで、両親は家を建て同じ市内で引っ越しをしました。
それまではギシギシ音が鳴るような古い木造アパート。
そこから小さな私がとても大きく大きく感じるような、戸建での生活が始まりました。
両親は共働きで、姉と二人で過ごす時間が多くありました。
大人のいない空間、時間を見計らってなのでしょう、何故か姉は執拗に私に刃物を向けてきました。
ただただ怖く、泣きながら広い室内を逃げていましたが、小学生での数歳差は体力では敵いません。
姉に捕まった私は更に大声で泣き始めます。
私が泣いたり叫んだりする事で姉は満足するのか、最後に私の素肌に刃物を押し付けてこの鬼ごっこは終わります。
この鬼ごっこが何度あったか曖昧ですが、二年程続いたと思います。
今思えば早く両親に相談すれば良かったのですが、何故か私はその事実を隠していました。
子供ながらに、自分がこれだけ泣いていても姉が両親から怒れられるのが嫌だったのかもしれません。
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