第178話 婚約?
公爵家からカンダ家にあてた手紙。
要するに、エリザベスとスティングを婚約させたい。
「え~~!?!?婚約!?って俺まだ‥‥‥あぁ、そんな話が周りにチラホラと‥‥‥。」
驚きの後で現実に気付いたようだ。
「でもさ、お父さんは家名在るけど平民扱いでしょ?それが公爵家?どころか貴族家と婚約なんて在り得なくない?」
流石スティング!賢くて、お父さん嬉しいよ。
お前の危惧する通りだと思う。
だから裏がある筈だ。
普通に考えて、公爵家の令嬢が、いくら長男とはいえ平民の家に降嫁するなんて在り得ない。
と、言う事はだ?
マウントフジ家を侯爵家にするって事は、オダーラ家を辺境伯にして‥‥カンダ家を男爵辺りに?
‥‥う~ん無理があるか?
男爵家でも公爵家の降嫁は在り得ない。最低でも辺境伯くら、い、は?‥‥そう言う事か!?
ヴィトンだろ!?ヴィトンを辺境伯にしてスティングを養子に出せとかか!?
ぐぬぬ‥‥図ったなぁ!スティングは渡さねぇぞぉ!
パッカーーーン!!
「痛っっって~!!」
振り返ると羽子板みたいな物を持ったトゥミが居た。
「もう~!黙って聞いてたらバカみたいな事ばっかり!お爺ちゃんだって、そんな事する訳無いでしょ!」
「トゥミ?いつの間に?」
と、言うかその羽子板は何だ?と問い質すと、飛んでもない答えが返ってきた。
「真悟人はいっつも無茶するし、叩いても効かないから何か破壊力のある物は無いかと皆で相談してたの。そしたら日本に行った時、邪気を払う羽子板?を見つけてね。皆で「これだ~!」って決まったの。中々良いでしょ?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
なんと返答したものだろうか。
災厄を被い、幸福を祈る羽子板で払われる俺は厄災そのもの?
本来の意味から言うと、トンボで追われる蚊ですか?
「スティング。貴方には後でちゃんと説明するからね。心配しないで良いよ。」
「うん。お母さん。分かったよ。」
「いい子ね。おやつ持ってくからイネスと一緒に居なさい。」
う~ん‥‥‥
俺の存在が希薄な気がするんだが‥‥気のせいじゃ無いよな?
別に良いんだが。
自分でどうしようも無くなったら、また家出しちゃおうかな~!なんてコッソリ思ってる。前はトゥミの事で気持ちが弾けそうだったのが原因?(自分の中で都合良く変換されています。)だから落ち着いた環境の今なら、俺が少し居なくても大勢に影響無いよね?(本当はルバン国の貴族編成に係わるので、とても重要な時期です。)
オダーラやマウントフジが揉めてた時の川沿いの洞窟に行ってキャンプ生活をしたい今日この頃。
そんな浅はかな考えは直ぐに見破られて、またお説教を貰う事になるのだが、その説教の中でも、
「今言ったようなこんな時期だから、落ち着いてからになるけど、今回は私と行こうよ。」
おお!!
今迄、ユナやカレンとは二人で何処かに行った事は無い。
彼女たちは嫁になったのは最後だったし、俺と何処かに行くとかそんな考えは無いモノと思っていた。
今回ちゃんと話を聞いたら、ユナは畑関係を仕切るので畑相手に休みと言う概念は無い。それと同じでカレンは厨房を預かるので休みだから飯は無しなんて在り得ない。
だから二人とも、休んで俺と過ごすという考えに至らなかったと‥‥しかし、トゥミやサラ、シャルが、それじゃイケナイ!と考えてくれたんだそうだ。
本当は俺から言わなきゃイケなかったのに‥‥ゴメンな。
トゥミは戦隊たちに、偶には休んでくれないと風当たりが強くなると、強制的に休みにされるそうだ。
サラは牛の姐さんたちに、もう良いから帰れ!と夜の番の日と翌日は休みにされると。
シャルは子供たちのお母さんたちから、息抜きしないと良い事ないぞ~!と帰らされると言ってるし、自分からは言い出さなくても休みになる様に気遣ってくれる仲間に囲まれてるんだなぁ。
逆にユナやカレンの周りは、独身の男が多い。だからそんな機転も利かないのかも知れないね。
良し!さっさと問題片づけてキャンプに行くぞーー!!おー!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「どう?その気になった?」
シャル、サラ、ユナ、カレンで、真悟人のモチベーションアップを図っていた。
「うん!流石シャル!よくコントロール出来るね~!」
ユナはキャンプを餌に真悟人がやる気になったと思ったが‥‥
「ううん。違うんだよ。旦那様がね、ユナとカレンには何にもしてあげて無いって気にしてたんだよ。」
シャルから意外な真実を聞くことになる。
「「えっ!?じゃあ‥‥‥」」
「私も聞いたよ~。牛の姐さんの乳絞りしながら3人?で話してたんだけどねぇ、私やトゥミやシャルとはよく一緒に何かやってるじゃない?でもね、ユナやカレンとは中々機会が無いって。機会は作るもんだよ?って言ったんだけど、真悟人がね。
今、楽しそうに仕事をしてるあの笑顔が好きなんだよ。だから、俺から強制的に何かを言って、笑顔を止めたくない。ってね?
馬鹿でしょ?真悟人が誘って困らないよぉ!って言ったんだけどね?」
サラの言葉に二人は固まった。
「何だ‥‥ハハ。」
「最初の時と一緒じゃん。」
そう、嫁になる前は色々考えすぎて真悟人を遠ざけてしまった。
嫁になってからも、
「変わってないじゃ~~ん!!」
これじゃイカン!
改めて、「「変わるぞ!お~~!!」」
ユナとカレンは毎回の夜の番しか真悟人と接点を持ってなくて、密かに二人で悩んでいたのだが、もっと真悟人と一緒に居られる機会を作ろう!って事で、嫁一同誓うのである。
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本題に戻って。
ロレーナ公爵家からの手紙を握りしめてプルプル震えてる、我が息子。
それを横目で冷ややかに見つめる我が娘。
「こ、これはエリザベスさんも同意してるの?ほら、本当は嫌だけど家の命令で仕方ないとか?」
「俺が聞いた限りじゃ、そんな事は無いみたいだぞ?本人は乗り気だと聞いてる。」
「うそ?そ、そんな訳無いでしょ?俺の方が歳も1っ下だし、平民だし、釣り合わないでしょ!?」
狼狽えるスティング。
「うん。俺もそこに疑問を‥‥「真悟人!説明したでしょ!?」」
「あ、はい。」
トゥミから叱責が入る。
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真悟人は王様との謁見を思い出す‥‥‥
何の事は無い。
マウントフジが辺境伯から侯爵へ陞爵。
オダーラは代官だったので、今回、男爵に叙爵されるとの事。
では辺境伯は?
辺境伯とは、国境や対外的に危険と隣り合わせの領地に防衛のための軍隊を持つことが許される爵位。伯爵以上侯爵未満だそうだ。
「真悟人の牙狼村は対外的に危険とされる地域の真っただ中に在り、牙猿たちや魔狼たち、取り纏める牙狼戦隊を有する。神田真悟人、辺境伯になってくれ!」
はっ!?
王様?何をおっしゃってますか?
「ぶっちゃけ、平民として牙狼村を率いていると怖がる貴族が多い。
公私ともにルバンの貴族となれば、まだ皆は安心する。
それにだ、ロレーナ公爵家の娘がスティングにご執心だそうじゃないか?内密に婚約の打診が来てるぞ?それも平民じゃ話にならないが、辺境伯なら在り得ない話じゃない。息子のためにも、明日のルバン王国のためにも受けてくれないか?」
マジか?
スティング、何をやったんだ?お前は?
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