第166話 帰途中
それぞれが温泉旅館を満喫してルバンにも温泉が無いか調査する事になった。
王妃様を筆頭に相当気に入ったらしく同等の温泉旅館が欲しいと熱く語っていた。
まぁ、これだけの商人と貴族たちが揃っていれば実現は難しくないと思う。
ただマナーなどはしっかり教育しないと快適に過ごすとは程遠い事態になるだろうな。その辺りは、追々教育するように進言しておこう。
温泉旅館を出発して帰路に就く。
日本の様々な文化に触れて、ルバンの行く末に思いを馳せる‥‥‥なんて奴が居る訳も無く、マグネット式の将棋に興じていたり、携帯ゲーム機に群がっていたり!?って、おいおい!どこで入手したんだ?そんなもん?
そのうち充電が切れて使えなくなる‥‥どころか、ちゃんとソーラー充電器まで買ってやがった!
どう考えてもオーバーテクノロジーだが、放置する事にした。
取り合いになって殺されないようにね。
お土産は各人で入手したものと、グループでまとめ買いしたものと、個人でも大量に仕入れ?たものがあって、バスの中では各人がコッソリ買ったものを楽しんでる訳です。大量買いしたものは、宅配便で神田農園に送って貰ってるので、後日それぞれに配る事になる。
お土産と言えば、実はトゥミ達、嫁一同には腕時計を買ってやった。
当然、ソーラーで充電不要。Gのように強い奴!
金属のと他の材質のとで、意外と金属人気が高かった!重いから敬遠するかと思ったんだが、全く知らない材質より金属の方が何かあった時に対応?出来ると言う事だ。
確かに金属以外は何で出来てるか分からないよね。
俺も分からん。
いつの間にか王妃様たちも腕時計を買っていて、ストップウォッチで指定の秒ピッタリに止めるゲームをやっていた。
操作もバッチリ!俺よりよっぽど分かってるね。
ただ、ルバンには曜日と言う制度?が無いので、表示の一部が分からないと申告があった。
曜日と言う概念を教えて日曜日は休息日とされると説明したら、曜日制度を考えても良いかも知れない。
と、取り入れる検討をすると言っていた。曜日制を導入すると休息日という意識が出来るので、休息するという考え方を前向きに取り入れようと考えているそうだ。
王様だって休みたいってね。
彼らのお土産は大量に、それも多岐にわたる。
服やカバンは勿論!下着なども恐ろしい量を買ったそうで、特にブラジャー!女性陣が目を輝かせて欲しがって居たそうで、フィット感が違う!肩が凝らない!ドレスの際に苦しくない!など、男には理解できない悩みがあったそうで、恐ろしい量をちゃんとショーツとセットで注文していたとシャルから聞いた。
他にもシャンプー、リンス、ボディーソープ、化粧品やカミソリなどの美容用品は、ホームセンターの在庫張りに購入したと、サラと王妃様付きのメイドさんがドヤ顔してたが‥‥誰が運ぶんだよ。
食料品や酒類は‥‥もう筆舌に尽くしがたい。
きっと購入品全て並べたら、ホームセンター開業できるだろう。
それも小売価格で購入している訳で、どうせならカタログショッピングのように希望を書かせて、問屋に発注するべきだったか。
実際に見て触って楽しんだからこその買い物だから良いんだけどね。
つい、もっと安く買えたのに!なんて思っちゃうんだよ。
お土産で、それだけは止めなさい!と止めたモノもある。
それは、動植物。
犬、猫、ハムスターや爬虫類など、逃がして生態系にどんな影響を与えるか分からない。
ミントの鉢植えなんて以ての外!ルバンの雑草を駆逐するつもりですか。
朝顔の種や野菜類の種も止めさせた。
牙狼村では野菜類や果樹類を育てているが、他では育たないと聞いている。
だからリンゴなどが高価値なんだが、それでもどんな影響が出るか分からないから増やしたくは無い。
日本で外国産のモノが国固有のモノを駆逐して、絶滅してしまった例を出して理解して貰った。
蔓延ってしまってからじゃ遅いんだよ。
バスの中じゃ、渋滞で見る景色も変わり映え無いので、殆んどの人が眠っている。
夕方には帰り付くだろう。
と、思っていたら、いきなり激しい衝突音!連続で激しく衝突する音に護衛が一気に警戒態勢に入ったが、実は交通事故に遭遇。
すぐ右横の追い越し車線で多重衝突が発生した。
渋滞から車が流れ出して、3車線あるうちの真ん中の走行車線を走っていたバス。スピードが乗った頃に追い越し車線で、トンネル手前で減速した車に高級外車が追突した。その高級外車に後続の車が更に追突。追突された高級外車は弾かれて、バスの前を走っていた車に横から追突して、その車も左に逸れて他の車に接触。
結局10台前後の多重衝突となり、通行止め状態になって一番左側の路側帯を抜けて行く状況になっていた。
幸い、バスに接触した車は無かったが、バスの運転手さんは、直ぐにバスを止めると人命救助を始める。
周囲は怒号と悲鳴と泣き声に溢れていた。
砕けたガラスや拉げた車。辺りの騒然とした様子にルバンの面々も最初は呆然としていた。
でもすぐに気を取り直してバスの運転手さんの手伝いを始めるのだが、ここは魔法の無い国!なので、魔法厳禁と最初に言っておいた。
だけど子供などにはコッソリ…とヒールなどは掛けていたみたいだね。
他には閉じ込められた人を確認して皆で扉を抉じ開けたり、交通整理を手伝ったりして、怪我をして血を流してる人にお絞りやタオルを渡していたが、最初に追突された車の女性が呼吸をしていない!と誰かが声を上げる。
トゥミとメイドさんの一人が心臓マッサージをしながら、コッソリとヒール!
何とか息を吹き返した。
後は救急車や消防車、パトカーなどが集結して事態を収束させてくれた。
さて、ここで問題です。
警察が来てしまいました。
一応、外国の王族という事になっていますが、誰一人とパスポートなど持っていません‥‥‥知らん顔するにも、目撃者多数。
周りの人からの聞き取りから、人命救助ありがとうございました。と、救急隊や消防隊や警察の人にお礼を言われる。
一連の様子をスマホで撮影してる人たちも大勢居るので、言い訳は通用しない。
もうここは、魔法で何とかするしかない!と、周囲の人間全員に認識阻害を掛ける。自分たちの事だけ認識あやふやにしなきゃイケない。
そりゃあもう頑張りました。
王妃様たちもヤッベー!って顔してたし、状況は直ぐに理解してくれたようで、素知らぬ顔してバスに戻り、黙って帰途に就きました。
全てをスルーして、神田農園に帰り着いたのは深夜になってから。
流石にこのまま帰れとも言えずに、神田農園のホテルに収納できるだけ納めて、自分たちは久しぶりに自分の家(祖母ちゃんの家)に泊まりました。
祖母ちゃんは、
「大変だったな。怪我が無くて何よりだ。」
とは言ってくれたが、何やら難しい顔をしてたので良からぬ事もあるのかも知れない。
‥‥‥その現実を知るのは、翌日になってからだった。
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