第151話 振り返り(夕食)
ダグラス:
「ダグラス、魔術隊の女の子たちと仲良くなってたんだな。」
「偶々だよ。あの教えて貰った魔道具‥‥自動販売機だっけ?あれで缶ビールってやつを試してたら声掛けられたんだよ。それと‥‥」
「クックックッ、そんな細かく説明しないで良いからね。」
思わず赤くなってしまった。
基本的に物事はサラっと流すようにしてるのに‥‥
なんで俺は言い訳してるんだ?
「じゃあ風呂行って来るわ。」
グッチには風呂行ってから部屋で待ってると言っておいた。
まぁ、時間見て一人で食堂行っても良いんだけどね。
大浴場は結構混雑していた。
面白かったのは女湯との境の壁に結界が張って合って、登って覗こうとすると‥‥魔法で撃退されるみたいだ。
それが逆に皆のスケベ心を盛り上げて、挑む奴が絶えない。
端からとか、両側からとか、時間差アタック、遠距離アタック、スキル使用とかもう、ありとあらゆる方法でチャレンジして撃退される‥‥
つ~か、この結界の高性能さってどうよ?
女湯でも面白がって嬌声が上がってる!え?どう見えてるの??
後で聞いたら、アニメ?(なんじゃそりゃ?)風に投影されて撃退シーンが分かるらしい‥‥‥ますますこの結界ヤバイだろ?
風呂場がイベント会場状態だったので、さっさと上がって部屋に引き上げた。
すると、ちょうど良いタイミングでグッチが呼びに来たんで一緒に食堂に向かうが‥‥
「ちょっと話が変わっちゃってね、少し相席が多いけど許してな。」
「ああ、そんな事は構わないぞ?」
「そう言ってくれると助かるよ。」
食堂に着いたら‥‥雰囲気が違うぞ?
入口で部屋のキーカードをチェックするのは一緒だが、紙のカードを渡された。
「なんだこれ?」
「持ってると後で良い事在るみたいだよ?」
「ふ~ん‥‥」
グッチに確認すると、俺も一緒に案内された。
席取っておくって言ってたもんな。と、大して不思議に思わなかった。
大きいテーブル、でも明らかに他とは違う高級そうなテーブルは一番の上座。
おいおい、こんな場所だと落ち着かねぇな。
そのテーブルには周囲にメイドが控えている。
「ここはセルフじゃないんで、ちょっと待っててな。」
これは‥‥メチャクチャ嫌な予感がする。
黙って座り、ビールもう1本買っておけば良かったと思ってたら、魔術隊の女の子たちもテーブルに着いた。
ココまでは想定内。それじゃ、相席?じゃない明らかな上座に来ると言ったら‥‥彼らが登場した。
会場の照明が少し落とされ、全員で起立する。
スポットライト?光魔法を当てて登場したのは、真悟人様の御一行だった。
そこまではまだ良い。
最後に王様、王妃様御一行が登場して席に着いた。
さあ、宴の始まりだ!
巨大な船の形をした器に、生の魚の切り身が並んでいる。
(船盛りと言うんだそうだ。)
デカい皿に真っ赤になった‥‥なんだ?アレは?
俺の前にはハサミ?と金属の棒?と黄金色のタレ?みたいなのが置かれた。
更に全員にキンキンに冷えたジョッキのビールが配られる。
そこで王様の挨拶が始まった。
無礼講で楽しくやってくれと‥‥本当に無礼を働いたら首が飛ぶのは分ってる。
鵜呑みにしちゃイケないってね。
真悟人様の挨拶が入る。
目の前の赤いのは海のカニだそうだ。こんなデカいのが居るのかよ!?
ハサミで切って金属の棒で掻き出して食えと。
タレもお替り自由だそうだ。‥‥真悟人様が説明することか??
後で聞いたら、このカニは真悟人様の差入れだそうだ。
スゲェな、その太っ腹!
そして、真悟人様の音頭で乾杯する。
「「「「「カンパーイ!!!」」」」」
周りの奴らは我先にと山盛りのカニに群がって持って行く。
カニを食いだしたら‥‥‥会場は静まった。
誰も口を利かない。最初こそ美味いと賛辞の言葉が飛び交っていたが‥‥
誰も彼も一心不乱にカニと格闘している。
俺も、懸命にカニと戯れていたが、気付くとミネルヴァは上手く剥けないようだ。
「上手く出来ねぇのか?貸してみな。」
「あ、はい。」
彼女の分のカニを食いやすいように皿に並べてやる。
「ほれ。食いな。」
「あ、ありがとうございます。」
会話もそこそこにカニにしゃぶりつく。
美味いなぁコレ、やべぇ位美味いなぁ♪
「ほら!コレ~!」
見ると、ミネルヴァはツルッとキレイに向けたカニを見せて来た。
「おお!キレイに剥けたな!」
言いながらそのカニをパクッと食べてやる。
「ああ~!!私のカニ食べた~!!ひど~い!」
「はっはっはゴメンゴメン。ほら、また剥いてやるから。」
俺は気付かなかったが、周りからは生暖かい注目を集めていたらしい‥‥
ハズィ‥‥
王族や真悟人様たちと同じテーブルだったから、挨拶どうしようかとグッチに聞いたら、無礼講だから構わないと。
気にしないで、楽しくやってくれれば良いと言ってくれた。
ミネルヴァにも聞いてみたが、こんな時はそういうもんだと言ってたから大丈夫なんだろう。やはりミネルヴァはエリートなんだと改めて思った。
そんなミネルヴァと砕けた話をしてたら、真悟人様が来た!?
挨拶構わないと言ってたのに、俺が挨拶されてどうすんだよ~!!
でも、気さくな良い人だった。メチャクチャ良い人だった。
奥さんたちも(8人も居るんですね‥‥絶世の美女ばかり‥‥)気さくにお酌してくれて牙狼村に遊びに来いと言ってくれた。
ミネルヴァは不機嫌そうに、
「ふ~ん、良かったですね‥‥」
ん?なんで不機嫌??
ミネルヴァ:
「お風呂、お風呂~!」
「1時間しかないから皆で大浴場行こうか?」
「ふぅ~‥‥このお風呂って極楽ですな~。」
「「「あ~~~……」」」
「な、なに?」
チュン!と変わった音がして男湯で声が上がる。
「????」
ルフに聞いたとこによると、男湯から女湯には結界が張って合って、覗こうとすると結界が作動して排除してくれると。
「凄いねー!昨日は覗く人が居ないから分からなかったよ。」
「でもねぇ、結界を突破しようと馬鹿共に火を付けたみたいでさぁ‥‥」
チュン!チュン!
「ああ~~~‥‥‥」
「色々試行錯誤してるみたいだね‥‥でも、なんで向こう側が見えるの?」
「あれは、アニメーションって言う魔道具だって、どうなってるか動く絵で見えるんだってよ?」
「スゴイね~!‥‥あっ左右分かれて来るヨ?」
チュンチュンチュンチュン!
「あああ~~~~‥‥‥」「キャー―――!!!」
「おお~~!見てるの楽しいかも!?」
「ちょっと残念だけど、時間無いから行くよ!」
「あ、やっぱ残念なんだ?」
「だってあの攻防、見てると楽しいし!裸見られるのは嫌だけどね。」
お風呂上がって準備OK!
グッチさんから、多分王様たちと相席になるって聞いてたから大丈夫!
食堂行ったらダグラスさんたちも居て、ちゃっかり隣に座っちゃいました。
王様と真悟人様の挨拶とカンパイ!
今日のメインはカニですカニ!!
噂の海のカニ!!さらに船盛り付ですよ!!
早速カニと戦闘開始です!
‥‥上手く剥けない。
ハサミでジャキジャキ切って‥‥掻き出せない!
う~~、イライラして来た。食べたいのに食べれない~~!!
「上手く出来ねぇのか?貸してみな。」
ダグラスさんが見かねたらしく、声を掛けてくれた。
素直に差し出す私。ちょっと恥ずかしい。
「あ、はい。」
私の分のカニを食べやすいようにお皿に並べてくれる。
「ほれ。食いな。」
きゃー!優しい♪
「あ、ありがとうございます。」
それから剥くコツなんか教えてくれて、段々と色んな事話せるようになって、今日の夕食、メチャクチャ幸せ♪
自分でキレイに剥けたカニを見せてみる。
「ほら!コレ~!」
「おお!キレイに剥けたな!」
上手いぞと言いながらそのカニをパクッと食べられた。
「ああ~!!私のカニ食べた~!!ひど~い!」
「はっはっはゴメンゴメン。ほら、また剥いてやるから。」
あ~~ん!ってしたみたいで、恥ずかしいけど‥‥チョット嬉しい。
気付くと、テーブル一同から生暖かい目で注目されてた。
こ、これは恥ずかしい‥‥ルフ達なんか思いっきりニヤニヤしてるし!
ダグラスさんは、一生懸命カニを剥いてくれてる。
うわ~!後で絶対色々言われるよぉ~。
その後は、真悟人様たちが瓶ビール?を持って来てダグラスさんにお酌してる。
トゥミ様やサラ様達もダグラスさんを揶揄いがちにお酌してるんだけど‥‥
ナニ?そのデレデレした顔は?
なんかスッゴイ、ムカつくんですけど!!
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