第150話 振り返り(ゴルフ1日目終了)

 ダグラス:あのチームはキツイわぁ~。

 クラブは何本も壊すし、あの強そうなシャフトが歪むってどんなパワーだよ!?

 飛距離だって隣のコースまで飛んでくし‥‥

 途中からキャディさんにウッドのクラブは禁止にされてたのに‥‥

 パー5のコースでイーグル狙えるって、アイアンでどんな飛距離だよ!


「ダグラス!お疲れさん!」

「ああ、グッチもお疲れ様でした。」

「今、真悟人様のトコ行ってきたけど、クラブ何本も壊すな!ってボスさん怒られてたよ。」

 ああ~あのクラブ高そうだもんなぁ、銀貨1枚じゃ買えなさそうだし、そりゃ怒られるよなぁ。

「ボスさんとアルファさんはそのまま真悟人様の警護?」

「いや、奥さんたちも来たからね。そのまま怒られるんじゃない?」

「うわ~‥‥ちょっと同情しますわ。」


「ダグラスは奥さんは?」

「俺は独身者ヒトリモンだよ。冒険者なんてやってると家庭持つのはなかなかね~。」

「そうかぁ。隣の席の魔術隊の女の子とイイ感じだったから、もしかして狙ってるかな?と思ったんだけど?」

「えっ!?あの娘、魔術隊!?」

「ん?知らなかった?」

 やっべぇ!めちゃくちゃエリートじゃねぇか‥‥


「グッチは知ってる娘だったのか?」

「うん知ってるけど、ココ(日本)でエルフは不味いから認識阻害掛けてるんで、気付いてるかどうか?」

 そうだったのかぁ‥‥俺も人間と思ってたよ。


「良かったら、また夕飯一緒にって誘っておこうか?」

「あ、ああ、そうだな。(ん?なんだって?聞いて無かったわ)」

「了解!それじゃ汗流してから、食事行く時に声かけるよ。」

「分かった。部屋で待ってりゃいいな。」

「うん。また後で。」


 そのままグッチは分かれて行った。

 部屋は隣だけど、どっかに寄るのかな?

 またあのデカい風呂で揺蕩うかぁ!

 風呂でボーッと浮かんでるのが気持ちいいんだよ。

 っとその前に!

 グッチにビールの自動販売機と言うのを教わった。

 是非その魔道具を使ってビールを飲みたい。


 銅貨4枚入れて、円筒形の銀色のボトルが出てくる。

「人が居なくても買えるなんて‥‥盗まれたりしねぇのかな?」

 買い方とボトルの開け方は自動販売機の前に大きく表示されていた。

 プシュッ!と開けて口を付けて飲む。

 初めての缶ビールに感動して大きく震えた。


 余りの冷たさとアルコールにブルっと来ただけだが‥‥

 一口飲んで、残りは部屋で飲もうと動こうとしたとき。


「あー!お疲れさまでしたぁ~!」


 さっきグッチと噂してた、魔術隊の女の子が居た。




 ミネルヴァ:結局、私がビリなんて納得いかない!

 最終ホールでもミネルヴァはダブルボギー、他の3人はボギー。

 終始そんな調子で、抜きつ抜かれつはしたものの、結局4人の中じゃビリだった。


「ミネルヴァくん、実力だよ!」

「え~?ユピに言われたくない。」

「ちゃんとスコアが物語ってるからね。」

 他の2人もニヤニヤしている。

「くそ~!明日こそ逆転だからねぇ!」


「明日のスタートは決めポーズも入れようか!?」

「はっ?」

「いいね~!2番火のアレス!ってこんな感じ?」

 おかしな決めポーズを取るアレス。

「きゃー!やめてーーー!そんなのやられたら1日台無しだよぅ!」

 懸命に拒否るミネルヴァ。

 注目を集めたり、プレッシャーに弱いミネルヴァを知ってる3人は、戦わずして勝負を付けようと追い詰めて行く。

 これで明日のゴルフも3人の勝利だろう。

 普段のゴルフは、ミネルヴァが頭一つ抜き出てた為に3人で対抗すべく考えた作戦である。


「そんなの、絶対やらないんだからね!」

 ちょっと拗ねだしたミネルヴァを今度は3人で宥めて行く。

 いじられキャラのミネルヴァであった。


 クラブハウスに戻って来た~!

 1日歩いてクラブ振ってへとへとだよぉ。

「なんか喉乾いたし、あの教わった魔道具使ってみない?」

「お!いいねぇ。ビリだったルヴァの奢りかな?かなかな?」

「む~‥‥なんでよぉ?」

「「「ビリだから!」」」

「むかつく~~!!」

「アハハ!うそうそ。トップだったお姉さんが下々にご馳走してあげよう!」

「「「はは~~~っ」」」

 頭を下げる3人。


 自動販売機コーナーに来たところで、腰に手を当てて缶ビール?を呑む男の人が居た。

「あー!お疲れ様でした~!」

「お!?ああ、魔術隊の女の子たちか。」

「えっ!見てたんですか!?」

 焦るミネルヴァ。

「ん?何を?」

「あ、いえ、その~?なんで魔術隊の女の子って?」

「ああ、さっき聞いたんだよ?」

「はい?誰からですか?」

「グッチから?」

 何故疑問形?

「あ~~!!そうだ!グッチさんだ!認識阻害で分からなかったですよぉ!」

「ああ、気付いて無かったんだ?」

「どっかで見た事在るとは思ってたんです。そうかぁ、支えてるがモノが取れました!」


「お~い!お二人さ~ん!そこでイチャイチャしてないでおいでよ~」

 クトゥルフがロビーのソファからちょいちょいと手招きしてる。

「イ、イチャイチャなんてしてないからね!」

 もぅ~顔真っ赤です。お兄さんは苦笑いだし。


 魔術隊4人とお兄さんでソファに座って、ルフが買ってくれた缶ビール?で乾杯した。

「改めて自己紹介しますね。1番水のクトゥルフです。」

「お兄さん、お話は聞いてます。2番火のアレスです。」

「わ、私は‥‥3番風のミネルヴァです‥‥」

 ゴニョゴニョと小声になるミネルヴァ。

「何ルヴァは恥ずかしがってんの?」

「だ、だってこの自己紹介、恥ずかしいよ。」

「ルヴァの事、よろしくお願いします。4番土のユピテルです。」

「ちょ、ちょっと!ユピは何を言い出すの!!」

「4人そろって‥‥「やめてーーー!ここまでー!」」

「しょうがないなぁ。」

 そして、皆でお兄さんを見る。


「ああ、俺は冒険者組合、Aランクでダグラスと言います。」

「「「おおーー!Aランクですか!?」」」

「もしかして、疾風のダグラス??」

「えっ?アレスさん知ってるんですか?」

「やだなぁ、敬語は止めて下さいよぉ」

「ああ、そうか、分かった。」


「ねぇ、アレス知ってるんだ?」

「ルフは知らない?有名だよ。うちでも護衛依頼出すのに1番人気で中々捕まらないって。体捌き剣捌きが疾風の如く速いって、付いた二つ名が疾風のダグラス。」

「「すっごいね!」」


「いや、そんなんじゃ無いよ。疾風の如く逃げ足が速いって話だよ。」

「「プッ!」」

「それに、二つ名言われると恥ずかしいんだよ。だからただのダグラスでよろしくお願いします。」

「ぷぷっダグラスさん面白いね!」

「あれ?ルヴァはさっきから黙っちゃってどうした?」

「えっ!?いや、うん。大丈夫だよ。」

 あ~!見とれちゃってたぁ‥‥そんなスゴイ人なんだ。

 だったら‥‥彼女くらいは居るよね?


「ダグラスさんは奥さんとかは?」

 ドッキーーーン!!

「ユピ!いきゅなり何失礼なこと聞いてるによ?」

 噛んだ‥‥

「「「(噛んだ‥‥)」」」


「ああ、冒険者なんてやってると、奥さんはなかなかね。」

「「「(噛んだのはスルーですね。)」」」

「じゃあ彼女さんを待たせてるのかな?」

「まさか!こうして女性と話すのも何カ月ぶりだか。」

「「うっそー!!」」



「ああ、居た居た!探しちゃったよ。」

「お?すまん。まだ部屋に戻って無いんだ。」

「うん。いいよ。この様子じゃすっかり馴染んだみたいだね。」


「「あぁ!!」」

「ん?」

「全員起立!火のグッチ様に敬礼!」

「「「「お疲れ様です。」」」」

「直れ!」


「まぁまぁ、ここではそう言うの良いからね。」

「グッチやっぱりスゴイんだな。」

「何言ってんの?疾風のダグラスのセリフじゃないね。」

「おま!知って‥‥たのか?」

「有名人が何を言う?」


「お嬢さん方すまないね。良かったら後で一緒に食堂行かないかい?」

「あっ、はい。皆も良い?」

「「「はい。了解です。」」」

「じゃあ1時間後くらいで良いかな?席は取っておくよ」

「「「「はい。分かりました。」」」」


「ダグラスもそれで良いかい?」

「ああ、問題ない。」

「じゃあ、後で食堂で。」

「「「「はい!」」」」


 うわぁ~!やっぱりグッチさんだった~。

 なんでしょ?あのイケメンぶりは?

 でも、私はダグラスさんの方が‥‥な、何考えてるの?私ってば。

 顔が熱いよ。


 早くお風呂入って食堂行かなきゃ!

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