第144話 ゴルフ(珍プレー好プレー)

 裏の話はスライム先生にお任せして置いて。


 メインのゴルフの話です。


 2日目も残すところ、後わずか。

 トップは相変わらずの王妃様。

 ブレません。この人、全くブレません。

 極端な冒険はしないし、堅実なゴルフで進んでいきます。


 2位はシャル

 トゥミを抜いて2位に躍り出ました。

 彼女も堅実なゴルフで王妃様に付いて行きます。


 3位はトゥミ

 相変わらずのの冒険ショットでやらかしたらしく、シャルに抜かれて3位転落。

 巻き返しを狙っていますが‥‥またやらかす予感が。


 4位は神官のお姉さん。

 なんとダークホース!

 この人、誰!?

 氏名等調査中。


 後は皆さん、団栗の背比べ。

 1打差内に5人も居たりするので、どう転ぶか分からない。

 皆、楽しそうだから順位云々は置いておきましょう。



 それでは、ここまでのプレーの数々を紹介しましょう。


 先ずは何と言っても、これが1番でしょう!

 そう、ホールインワン!!

 大体、パー3のホールで1打でグリーンに乗せるのを狙って、そのままカップイン!ってのがホールインワンで、スコアとしてはイーグル(-2打)ですね。


 出したのはそう、神官のお姉さん(氏名調査中)

 12ホール、パー3、180ヤードのコースであっさりホールインワン!

 本人は状況が理解できず、キャディさんの興奮に狼狽えていたらしい‥‥‥


 日本ではホールインワンを出すと、皆に振舞わなきゃイケないという訳分からない慣習があるそうで、普通ホールインワン出した人が祝って貰えるんじゃないの?

 そう思うのは異世界でも同じ様で、一緒に回ってたメンバーなど周囲の人間がお祝いをしたそうだ。

 キャディさんも、

「そりゃ、そうですよね~。」


 因みにパー4のコースでホールインワンだと、アルバトロス(-3打)。

 さすがに居なかった。

 身体能力が日本人(地球人?)に比べて別物の異世界人でも居なかった。

 遥か彼方まで飛ばした奴は居たが‥‥


 パー5、500ヤード超えで1オン狙えるって、どんな身体能力だよ?

 ただ、クラブが持たない。

 1打で破壊されてしまうんじゃキリが無いし、最初の約束通り道具破壊した奴は罰則という事です。不可抗力だとしても壊さない様に加減してやるように。


 アルバトロスで言うと、パー5の2打目が入ればアルバトロスです。

 これも居なかった‥‥

 正確には居た?イヤ、違うな。


 ボス、アルファの組が脳筋集団で、バカな事を始めやがった。

 珍プレーですかね?

 ゴルフクラブで打つのではなく、手で持って投げる。

 グリーン上では手で転がす‥‥‥

 こいつら‥‥‥


 10ホール、パー5、540ヤードのロングコース。

 ボスたちが来たなぁ。って見てたら、あいつ手で持って投げやがった!

 250ヤードの遠投。

 全員、人間じゃ無いし‥‥と、思ってたら混ざってたよ人間。

 身体強化掛けて、対抗してたよ。

 キャディさんは苦笑い‥‥と言うか、現実逃避で死んだ魚の目になってます。

 そりゃ、そんな非日常の非現実を見せられたら、ねぇ。


 ボスの第2投、真っ直ぐグリーンに大遠投!!

 ちゃんと双眼鏡で追うキャディさん。仕事はきっちりプロですね。

 するといきなり、

「あぁーーーーー!!!!」

「‥‥‥‥入ったぁ!!!」


 うそ。

 マジかよ。

 まさかのアルバトロス!

 で、良いのか?

 スコアはスコアとして付けるが、順位外です。

 それを真似する奴らも出るわ出るわ‥‥全員順位外です。



 トゥミさんの冒険プレイ!

 トゥミだけじゃないな。

 サラとカレンも共犯です。

 こいつらは、とにかく狙う。池越え、林越えは当たり前!

 ひたすらグリーンを真っ直ぐ目指す!

 これが池の前で止めるとか、林を迂回するとかの知恵を持てば、スコアも伸びるだろうに。

 それでも3位のトゥミさん。

 ある意味、恐ろしいわ。


 4ホール、パー4、410ヤードで狙うなら林超え。

 おいおい、林超えは300ヤード以上飛ばさないと無理だぞ?

 真っ直ぐ行くんだ?そうですか。


「カシュッ」

 っと乾いた音を残して林の上へ。


「‥‥‥超えましたね。多分。」

 キャディさんの感情の無い一言。

 アドバイスを悉く無視されれば、感情も無くなるわな。


 それを見習うサラとカレン。

 林の中で、

「コーーン・・・」

 と、良い音を響かせてます。

「コーーーン・コーーン・コーン・・・」


「跳ね返ってますね。」

 キャディさんもちょっと面白がって来たようです。


 林の中で戦隊たちが逃げ惑っていたのは別の話。



 アンジェたち人魚さんチーム

 皆さん、そこそこ上手い人たち。

 しかし性格的にゴルフ向きじゃないらしく、初日こそトゥミに迫る勢いで順位を上げていたんだが‥‥飽きたらしい。


「すいません。池で泳いでる人たちが‥‥」

 そんな連絡から、行ってみたら彼女たちだった。


 しかし、小さい子供?も一緒に居る。

「どこの子??」


「あ、すいません。儂はこの先の古い沼に住む、河童の庄吉言うもんです。」


「はっ?」


「ビックリさせましてすいません。この池の底に、儂の住む沼に繋がる魚道があるんですわ。そこから人魚の姉さんたちが来たんで、こりゃ珍しい!という事でお邪魔させてもらいました。」


「そ、そうですか。」


「うちのスライムたちからも話を聞いてたんで、危険はないだろ言うもんで‥‥」


「スライムたちの主なんですか?」


「いやいや、主ってほどの者じゃ在りませんって‥‥」


 とにかくよく喋る。

 悪い奴じゃなさそうなので、アンジェたちに扱いは任せよう。

 先生が引き連れてたスライムたちは、ほとんどこいつの配下みたいだな。

 その辺りは先生に任せてるから良いとして。

 河童の庄吉は、そのままじゃさすがに不味いから認識阻害の魔法をかけて、クラブハウスでご馳走する事にした。


 彼の手土産は、山のようなゴルフボールだった。

 水に浸かっていたとは思えないピカピカのゴルフボール。

 池に打ち込んだものを集めたんだろうけど、相当な量だ。

 ‥‥深く考えずに貰っておこう。

 異世界戻ったら、売り捌けばいいか。


「んで、結局君たちはゴルフはどうしたんだ?」


「「「「‥‥‥えへっ!」」」」


「はぁ~、まぁいいや。河童の庄吉を接待しててくれ。後で行くよ。」


「りょ~かい!」


 つい、異世界のつもりでの対応をしたが、ここって日本だよな?

 河童居たんだ?‥‥スライムも居るっていうし、深く考えないでおこう。



 ~~~~~~~~~~


 王都でゴルフという遊びが流行りだした。

 置いてあるボールを打って穴に入れる。

 皆、最初は簡単だと思った。

 やってみるととんでもない!これは面白い!と大流行!!

 ショートコースとパターゴルフのコースがいくつも出来た。


 大会を開いて、上位成績者は本場のゴルフコースに行けると大盛り上がり!

 頑張って上位に入って本場のゴルフコースにやって来た。


 実際にゴルフ場に出てみたら、広いし歩くし上手く行かないし、神経使うしルール厳しいし、改めてゴルフってスポーツなんだなって痛感する。

 ショートコースで遊んでるうちは楽しいけど、本コースは中途半端な気持ちでは回り切れない。

 本コースに出て、心折れた奴らは別で楽しむことにしたようだ。


 人魚さんチームは池で泳いでるし、ボスやアルファたち脳筋チームは勝手にアレンジして楽しんでる。


 二手に分かれて、互いにゴルフボールの打ち合いをしてる馬鹿共が居た。

 ルールを聞いたら、互いに何発相手に当てられるか?

「はぁ~、周りに迷惑掛けるなよ?、それとケンカすんなよ?」



 こっちでは‥‥

「おいおい、野球かよ?いや、ゴロベース?」

 4人ずつ2チームに分かれて、

「ピッチャー第1投、転がしました!」

「カシュッ」

「大きい当たり!ホームラン!」


「なんだそりゃ?」

 聞くと、ホテルの部屋のTVで野球をやってたそうだ。

 それを真似したと‥‥


「お前たち、後で集まれ。向こうに帰っても野球できるようにしてやる。」


「おお!マジですか!さすが真悟人の旦那!話が分かる!」


「お前たちが初代野球チームだ。ちゃんとルール覚える事と、人数も18人以上集めろ。分かったな。」


「「「「はいっ!」」」」


 思わぬところで違うスポーツになってしまった。

 後で、野球道具も仕入れて行かないとな。



 こっちでは、魔法合戦?

 魔法使いチームですか?


「「「「魔法少女チームです!」」」」


 ‥‥‥敢えて突っ込むまい。

 王宮の魔術師隊のメンツだそうだ。


 ルールは簡単。一番先にカップインすれば良し!

 ただし、ボールを動かすのは魔法のみ。使う魔法も風魔法のみ。

 邪魔も在りで、中々白熱した勝負を展開している。


 空中に浮かしてしまうと邪魔されて変な方向に飛ばされてしまう。

 転がしてると遅いし坂で止まってしまう。

 瞬間的に飛ばして、ガードするような戦法が多いかな。

 キャーキャー言いながら非常に楽しそうなのは良いのだが‥‥


 キャディさんは茫然自失?現実逃避?心ここにあらずとなっていてブツブツ何か呟いている。


「あ~‥‥認識阻害じゃ話にならないな。後で祖母ちゃんに頼もう。」


 後でキャディさんたちの心のケアが必要だと痛感しました。



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