第143話 裏の話
~~~2日目~~~
早朝6時過ぎから集合して点呼を取る。
逃亡した奴は居ないようだ。
宰相が警告してきたのさ。
初日でリタイヤしたり、失格になったりして人目から外れた時に本性を現すって。
犯罪犯して強制送還の奴らは問答無用だが、ここから逃亡して一山当てようと目録奴は必ず居ると。だからこそ此処からが正念場である!
ルバンの王様は賢王と名高いが、その陰には賢い宰相が付いてたんだね。
最初に宰相に会ったときは、文官の取り纏めかな?くらいにしか思わなかった。
実はこの方が、とんでもなく出来る御仁で内外の問題はほぼ彼が納めていると言って過言ではないらしい。
因みに、俺ら牙狼村の問題も最初に対応したのが彼だったから戦争にはならなかった。もし、違う奴が対応してたら‥‥皆殺しだったかもね?
腰のエクスカリバーがフルフルと震えていたから、それは無いか。
話それたね。
2日目は、先ずは1日目に時間切れになった人たちのチームが出発。
それぞれのホールから開始する。
次に2ラウンド目を回る人たち。
この人たちを最優先に回すが、意外と少ない。
午前中ハーフを回って、明日の午前中に残りのハーフとか、色々戦略?を考えて回るみたいだ。メンバーも予約票を入れて貰うので、適当に抱き合わせる。
楽しんで貰えるなら良しです。
トップを走る王妃様やうちの嫁たちは、かなり真剣に時間を選んでいる。
それでも、1日で回りきる時間にスタートする様だ。
さあ!ルバン国ゴルフトーナメント!2日目開催です!!
初日時間切れで回ってる人たちは抜きにして、2ラウンド目のメンバーは7時から開始する。目標はパーを取る事。1打でも少なく回る事。
逆に初日でゴルフの難しさに心折れた人たちは、純粋に遊びとしてゴルフを楽しむ様だ。
大体、こんなコース全て廻って72打なんて考えらえない。
なんでそんな打数で回れるのか?やった者じゃ無ければ、難しさは分からないだろう。
ルバン王都やマウントフジのショートコースは甘すぎる!
それが一致した意見であった。
ショートコースに甘いとか言われても‥‥ねぇ?
まあ、ゴルフ始めて1カ月の初心者が本コースに挑む訳で、更にそのコースも世界トーナメントが行われるようなゴルフ場だった。
そりゃ上手く行く訳無いよね。
実際には、誰も教える者も居なくて、いきなりコースに出されて出来る訳が無い。
その分の負担がキャディさんに集中した形になってしまいました。
だから出来なくて当然なのだが、そんな中、上位のメンバーはちゃんと研究してデータを集めてる訳です。中でも、昨年のトーナメントでココが使われたビデオが部屋で視聴できるようになっていたのが大きい。
クラブハウスでも流されていたから、気付かない訳は無いのだが、皆さんテンパっちゃって、そんな事に気付くような人たちがトップ争いに参加する人たちです。
2日目は流石に犯罪者は出ませんでした。
ゴルフ場から逃亡?しようとした人たちは居ましたが‥‥
彼らは、リタイヤした一団ですね。
纏めてリタイヤって可笑しいと思いましたが‥‥更に全てウォーターハザードって、狙わないと出来ないでしょ?それにバンカーで行ったり来たりって、子供でも学習するよね。
そんな纏めてリタイヤ8人組ですが、こっそりゴルフ場を出ました。
アルファから連絡有りましたが、選手は黙ってゴルフやってなさい!
と言う事で、夕べ新たに呼んだ牙狼戦隊(本物)に着いて貰います。
戦隊には、騎乗して行動できない事、殺っちゃダメな事、出血するような怪我をさせない事と、最上級の対応を求めます。
殺っちゃうのがイチバン簡単だからね。
これには彼らは最高に盛り上がりました。
技術の神髄を試される時と喜んでいますが、更に無理難題を云い付けます。
極力泳がせる事。日本人に危害を加えない限り手出ししない。武器を使用しない。
騎乗しない。人型を維持する。最大の重要事項、周囲の者に気付かれない。
「「「おおおーーー・・・」」」
「真悟人様、確保は?」
「それは、意識を刈って介抱する体で確保をお願いします。基本的にココの人間に気付かれないのが目的ですが、逃がす位なら狩って下さい。貴方たちの技術を見せて下さい。」
「「「「「はっ」」」」」
さて、ゴルフトーナメントの裏で、人狩りです。
ゴルフ場は基本的には隔離空間です。
しかし、周囲全てを囲ってる訳では無く、自然の柵となっているような生垣なども多く、絶対に出られない訳では無い。農地と繋がっていて、農道の先にはグリーンが在った!なんて事もある訳です。
初日に何処まで調べて、何を目的に逃走したのか??
確保してから色々聞きださないと行けませんね。
そこに、祖母ちゃん登場‥‥
今、この人、何処から来た??
現状分かってる状況を伝える……と、何か呟いた。
「No.1、目標、確保!」
「No2、こちらも目標確保。」
「No3、目標確保」・・・・・・
~~~~~~~~~~
「祖母ちゃんのお陰?で、全員確保出来たが‥‥そこまでの案件か?」
ちょっとケンカ腰に問い詰めた。
確保した者たちは、既に理性を失っていた。
と、言うか人として会話ができる状態には無かった。
「ああ、お前さんには言って無かったね。あいつ等は捕まって記憶を全て抜かれてるんで、本当は殺してやった方が身の為なんだよ‥‥」
「は?記憶を抜かれる?どういう事?」
「あたしが使える魔法はあたしだけのモンと思うかい?」
「あ?‥‥‥まさか?」
「そう、他にも欲しがる者が居るって事だね。」
「‥‥なんてこった。知ってたら日本なんて来なかったのに‥‥」
「そりゃ違うね。」
「なんでだよ!?そもそも祖母ちゃんが言ってくれればこんな企画は没にしたぞ!?」
「バカだね。この子は。遅かれ早かれ奴らは嗅ぎつけてきたさ。だから、今回は逆探知するチャンスと思ってね。多分、もう、ここ等の座標は特定されてる。だからこそ此処に向かってくる奴らを特定出来るんだよ。」
狩りの対象が変わった。
狩った対象を今度はエサに‥‥ザリガニ釣りみたいだね。
このゴルフトーナメントに参加して日本の情報を抜き出す。
それが奴等の目的の様だ。
どんな敵なのか?祖母ちゃんは教えてくれなかった。
何故?何故教えない?
その辺に色々と柵があるようだが、ハッキリと敵と断定してたので排除すべき相手なのだろう。
情報収集をさせて後で記憶を収集する。
途中で捕まったらその場で記憶を破壊。
自分たちの情報は与えない。
そんな操作ができるなんて、生半可な相手じゃ無いだろう。
犯罪犯して捕まった連中も、記憶が破壊されて人間じゃ無くなっていると報告が上がっている。
人をそんな風に扱う様な輩には、同じ目に合せてやろう。
自分がどんな行いをしたのか‥‥絶対に殺さずに苦しんで貰おうと思う。
トゥミやボスたちに最上級の警戒レベルを伝えて、戦力を呼んでもらう。
スライム先生まで出張って来た。
あれ?先生?
「こうして話すのは久しぶりだねぇ?」
「あ、ご無沙汰してて申し訳ありません。」
「うん。いいよいいよ。僕も日本と言う世界には興味あったから、渡りに船だね。」
「で、先生。今回の話は‥‥」
「うん。分かってるよ。さっき祖母ちゃんから聞いたよ。厄介な奴だね。」
「えっ??先生?祖母ちゃんと面識有りましたか?」
「やだなぁ。何年経ってるんだよ?そりゃ交流位あるさ。」
「それもそうですね。失礼しました。」
「今回、騒動を起こした奴は黒魔法使いだね。詳細は祖母ちゃんから説明有るだろうけど、目的としては大それたことは考えてないと思うよ。」
「しかし、何人も記憶が破壊されて廃人になっています。」
「それなんだけど、情報の隠蔽が目的だと思うんだよ。」
「何故?そこまで出来るならもっと色々やっても‥‥」
「そう!そこだよ!記憶を破壊できるような奴なら、バレた時にモンスター並みに暴れさせる事も出来ると思うんだよ。単に記憶を破壊なんて手駒を捨てるような事は、普通はしないよね。」
「あ‥‥」
「だから釈然としない部分が多いけど、ある程度目星というか、まぁ、ちょっと任せておいてよ。」
「‥‥‥先生がそう言うなら。でも、次は被害者が出る前に対応させて下さいね。」
「うん。分かってるよ。報告は入れるからさ。」
そう言う彼の周りに無数のスライムが集まった。
「!!!そ、そんな数連れてきたんですか!?」
「ん?やだなぁ。そんな訳無いじゃん。彼らはココの子たちだよ。」
「えっ!?‥‥日本にスライムなんて??」
「アハハ!知らないだけだよ。向こうの子たちより隠密に長けてるから、見つかる事は無いと思うよ。」
‥‥改めて、先生は凄いと思った。
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