第140話 ゴルフ(移動)
予選もようやく終わり、本選に出場する100人が決まった。
基本的には犯罪歴が無く、バックに悪い物が付いていない者たちの筈だが、実際に日本に行ってから本性を剥き出しにして色々と遣らかされたら溜まったもんじゃない。
だからボスとアルファには警備枠を考えていたんだが、普通に予選突破は流石ですね。ワフワンたちの笑顔の眩しい事ったら!逆にアルファの嫁のシルヴィアは黒い笑みを?‥‥
深く突っ込まないのが良し?‥‥トゥミ達に聞いてみようか?
‥‥それとなく聞いてみたら、ボスの嫁であるワフワンたちは、トゥミ達が日本観光の際に護衛として同行した。
アルファたちは牙狼村周囲の警備なので、外に出る機会が無い。
あ~~!そうか!考え足りなかったね。
シャマル(魔狼姫様)が輿入れしてればまた違うんだろうが、やはり格差を感じるんだろう。悪い事したね。
しかし、更に聞いてみたら‥‥全然関係なかった。
ワフワンたちに話は聞いているので、単純に思いを馳せていただけらしい‥‥
それであの黒い笑顔‥‥何も言うまい。触っちゃイカン!
日本に渡るに当たって、最初はスタッフ関係を送って準備をお願いする。
山際さんと仲の良い、エルフの娘さんと人魚の娘さんの2人にもお願いして行ってもらうのだが‥‥ん?作為を感じる?とんでもない!!山際さんの幸せを思い、彼女たちの幸せも併せて願ってるだけデスヨ!
それから当たり前に予選通過の嫁たち‥‥一矢報いるどころか‥‥敢えて語るまい。
お客様じゃなくて、ホスト側なんだから準備しとけよ!?と釘を刺したが、ちゃんと聞いてたか??
「うん。大丈夫だよ!」 トゥミ
「はーい!了解。」 サラ
「はい。聞いてますよ。」 シャル
「うんうん。平気平気。」 ユナ
「まっかしといて~!」 カレン
「真悟人も一緒でしょ?」 アンジェ
「飛ぶのも久しぶりだね。」 フラビ
「楽しみだね~」 ムルティ
まぁ、なんとかなるか?
彼女たちには転移のお助けをして貰うので、準備しておいてもらうのだ。
なんせ、彼女たちとボスたちやアルファたちを入れると、それだけで相当な人数だ。
身内だけでも100人の枠があるからな。
そう、プレイヤー1人に付き10人の枠を決めた。
だから後、プレイヤーは90人居るので、枠は900人‥‥多いよな。
ゴルフ場併設のホテルだけでも吸収できる様だが、身内関係はカンダ農園のホテルなどを使って余裕を出そうと思う。
来るのは日本の常識なんて知らない異世界の方々。
その人たちには、他から普通の人に見えるように認識誤認の魔法を掛ける。
掛ける人は当然、祖母ちゃん。
呼吸するように恐ろしい魔法を連発できる、さすが迷宮‥‥‥なんでもないです。
では、順に迎え入れようか。
祖母ちゃんの手下となり、異世界と日本を渡る役目を言い使った。
魔法の行使は当然、祖母ちゃん。
俺はタダの案内人デス。
祖母ちゃんが何気にゴルフ好きで良かった。
ゴルフ場を手に入れる計画を話したら、諸手を上げて賛同してくれて、あんな祖母ちゃんは初めてだ。
計画実行時も手を出したくてソワソワしてたみたいだし、どんだけゴルフ好きなんですか?。
このルバン国(異世界人)ゴルフツアーも良い笑顔で賛成してくれたし、祖母ちゃんの手助けが無かったら、ここまでの規模には出来なかっただろう。
ルバン国の人々はマウントフジに集めて、転移で牙狼村へ移動して、そこから祖母ちゃんの手助けで日本へ転移する。
俺一人じゃそこまで出来ない。牙狼村まで全員の転移でイッパイイッパイだ。
第1陣 ルバン王国、国王様御一行‥‥プレイヤー誰?と思ったら王妃様だった!
なんと!眩しいくらい美しい!ちゃんとゴルフウェアに身を包み、おみ足も美しい。
でもね、今からプレイする気満々でも、今日は出来ないからね。
「国王様、どうかよろしくお願いいたします。」
「おお!真悟人殿。今回のゴルフツアー開催、本当に感謝しますぞ。お陰で我がルバン国は、近年稀に見る好景気で‥‥‥」
「あなた!今はそんな時じゃないでしょ!?」
「お、おお、これは失礼をした。」
王妃様に窘められて我に返った王様から王妃様を紹介して頂いた。
「真悟人様、カトリーヌ・オスロ・ド・ポンポンヌ・ルバンです。謁見の場では言葉を交わすことは在りませんでしたが、改めてご挨拶いたします。」
綺麗なカーテシーを決めてくれるが、ゴルフウェアじゃ様にならない。
突っ込まないけどね。
しかし、6歳の息子がいるお母さんにはとても見えません。
まあ、世間話的なご挨拶を簡単に済ませて、転移の準備に入る。
一回に飛ぶのは20人。
もう一人、王国関係のプレイヤーが居るんだけど、いちいち挨拶してたら時間かかってしょうがないので、割愛します。
牙狼村に飛んだ。
さらに転移部屋に移動するんだけど、皆動かない。転移した場所で固まっている?
「どうしました?移動しますよ?」
「「「「「‥‥‥‥」」」」」
ん?どうしたんだ?
「「「「「お、お‥‥おおお!!」」」」」
な?なんだ?
「「「「「おおおおおおおおお」」」」」」
「こ、これが転移ですかぁ!!」
「うおー!転移したぞぅ!」
「真悟人殿!こ、これは素晴らしい!」
「真悟人様、まさか転移を経験できる日が来るなんて!」
へっ?そ、そこ!?
「あ~、浸ってるトコ申し訳ありませんが、後が支えてるんで移動しますよ。」
皆さんの感動をぶった切って、ぞろぞろと21人で俺の転移部屋へ移動する。
普段は畳なので、今回は畳を上げて板の間にして土足で上がれるようにしてある。
行李に準備OKの札を付けると‥‥‥飛んだ。
みんな、立って並んでいたのだが全員しゃがみ込んでいる。
飛ぶときちょっと気持ち悪いもんね。
「皆さん大丈夫ですか?外に出て深呼吸すると楽になってきますよ。」
皆さんダルそうに俺の後を付いてくる。
そして周囲の景色を目に入れて‥‥
「「「「「おおおおおおおおお」」」」」」
吠えた。
「こ、こここ、ここが、あ、あの」
王様、しっかりしてください。
「ここが、日本で、俺が経営している『カンダ農園』です。」
高層ビルこそないが、ホテルや温泉旅館などの一角から広大な農地やビニールハウス、キラキラと反射する川と湖と田園風景。
「さあ、こちらへどうぞ。」
受付棟の前に案内する。
「来たね。」
祖母ちゃんが出迎えてくれた。
祖母ちゃんに対面したとたんに国王様たちは‥‥
「あ!あなた様は!」
‥‥‥跪いた。
「お、お久しぶりでございます。ムラーノ様」
(祖母ちゃん、ムラーノ様なの?)
(野村だったからね。)
(なるほど!)コソコソとナイショの念話である。
「ああ、久しぶりだね。王国もちっとは繁栄したか?」
「はっ。現在は真悟人様のご尽力もあって、大いに活気づいております。」
(あらら、様付けになっちゃったよ。)
「そうかい。うちの孫もまだまだケツの青い未熟者だからね。精々指導してやっておくれ。」
「まだまだ我等こそ未熟者であります故、ムラーノ様より御指導御鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。」
「それじゃ、後も支えてるんだろ?この辺にして部屋で休んでな。」
(あ~流しちゃったよ。良いの?そんなんで?)
(いいんだよ!キリが無い。)
(さいですか。それじゃ次行ってきます。)
「はっ畏まりました。」
王様たちはお客様用ロビーで一旦休憩してもらってからバスでゴルフ場へ移動する。
先に送った、エルフと人魚さんのスタッフが案内してる。
因みに、エルフと人魚さんのスタッフを20人程送って山際さんトコに行ったら、最初はドギマギしてたけど、さすがは山際さん!テキパキと説明して役割分担をしていた。
お気に入りのエルフと人魚の娘に会えて、嬉しそうな顔をしてたのも突っ込むまい。
彼女たちを見て、男性社員たちが奮起してたのは別の話。
やる気出るのは良い事だね!
異世界に戻ると、既に次の組をトゥミが連れて待機していた。
やはり、転移後は大騒ぎだったらしい。
打合せ通り、そのままトゥミが転移部屋まで連れて行って、行李に札を掛けると転移して行った。
トゥミが何か言いたげだったな?
その時には、次のサラ組が到着して大騒ぎしている。
「サラ、お疲れさん。」
「真悟人!」
軽い口づけの挨拶を交わす。
日本へ行ったときにTVで映画を見たらしく、キスで挨拶するのを嫁たちは大いに気にいったらしく、キスは挨拶になってしまった。
人目があると控えるのだが、今は皆さん転移でテンパってらっしゃる。
さっき、トゥミが何か言いたげだったのはコレか!
「さあ!皆さん、移動しましょう!次に飛べば日本です!」
その言葉に、
「「「「「はい!!!!!」」」」」
元気な良い返事でした。
「じゃぁサラ、頼むな。」
「はい。チュッ」
Oh!不意打ちはドキドキするぞ。
サラが移動したらシャルの組が来た。
同じ様に騒いでから、送り出していく。
キスも忘れない。
シャルさん?ちょっと濃厚過ぎて、おっ起しちゃいます。
ユナは啄むようなキスが好き‥‥って、そんな場合じゃない!
どんどん次に移行!
・・・・最後はムルティの組。
そんじゃ、行ってらっしゃい!
って、抱き着いて濃厚なキス。‥‥あっそこ擦っちゃダメ!反応しちゃって!
‥‥あ~~!もう押し倒しちゃうぞ!
「えへ♪」
可愛い顔してないで、行ってこい!
あ~もう!
って、振り返ったらシャマルちゃんが頬を膨らましている。
「真悟人!私とは!?」
あ~‥‥
「シャマルさん?もうすぐ成人だね。」
「そうだよ!もう成人だよ!」
「成人したら、一緒に素敵な夜を過ごそうな。だからもう少しだよ?」
歯の浮くセリフを言ってみる。
「ム~~‥‥」
軽くハグして、頭をポンポンと撫でで宥める。
「成人したら、絶対だよ!」
「うん、約束しただろ?」
「うん‥‥」
「それより、後ろ。皆待ってるぞ?」
「あっ!」
シャマルが真っ赤になって皆に頭を下げる。
魔狼たち20人が警備のために一緒に飛ぶ。
シャマルはその隊長なのだが、周囲はしょうがね~な~と生温い目で見守ってくれている。
魔狼たちと最後に日本に飛んで、お客様ロビーへ行くと、もう皆さんバス移動を開始している。
観光バス5台で、ゴルフ場までピストン輸送してもらうのだ。
戻ってきたバスの運転手さん曰く、観光バス運転して20年になるが、観光バスに乗るだけで、あんなにテンション上がる人たちは初めてだと。
動き出したら、全員窓に張り付いて大騒ぎだったらしい。
「あんなに喜んでくれると運転手冥利に尽きるね!」
そこに今戻った運転手さんが来て、
「いや~!スゴイ喜んでくれたぞ!バスの運ちゃんやってて、こんなテンション上がるなんてなぁ~!」
と豪快に笑っていた。
「なぁ~!!今も言ってたんだよ。今日のお客さん最高だなって!今時幼稚園生でもバスなんか喜ばないからな。」
「まったくだな!今夜の酒は美味いぞ!さて、次に行かないとな!」
そこにエルフのスタッフさんが来て、
「あ、すいません、今回のピストン輸送終わったら、お食事を準備してますので召し上がって下さい。それとお酒飲まれる方はお部屋も準備しております。」
「「おお!至れり尽くせりだねぇ!今回の仕事、受けて良かったよ!」」
それからカンダ農園のバス便の仕事は、取り合いになったそうだ。
最後に魔狼スタッフを連れて、山際さんに会いに行く。
途中、事務所を通るのに女子社員の眼が、全員ハートマークになっている。
魔狼の人型って細マッチョでイケメン揃いだもんね。
一人、高校生くらいの女の子が先頭切っているのもご愛敬。
山際さんと外に出て、全員に説明をする。
「では、そういう風にお願いします。」
「「「「「サー・イエッサー!!」」」」」
ビシッと決めた。
「「「「「キャーーー!!!!」」」」」
事務所から見ていた女子社員から、黄色い歓声が上がっていた。
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