第139話 ゴルフ（予選）
日本でゴルフ場を手に入れた。
元々は敷地を海に繋げたかったから、間にある山とゴルフ場が邪魔だった。
俺はゴルフはやらない。打ちっぱなしやショートコースくらいは回ったことあるけど、のめり込むほど面白いとは思わなかった。
何故か？‥‥難しいから！この一言に尽きる。
温泉地のホテルに付いてるパターゴルフさえ上手く行かない。
もう、向いてないんだね。
真っ直ぐ打つつもりが、大きく右に‥‥身体開いちゃってますよぉ。
真っ直ぐ打つつもりが、大きく左に‥‥力んで巻き込んじゃってますよぉ。
フォームがどうの、握りがどうの、スタンスがどうの‥‥
加えて、在り得ない位の高額のプレイ料金！
もう、ゴルフ場は敵となった！
自然を破壊して、樹を伐採して禿山を作り、隔離された世界で汚職に精を出す！
そんなイメージしか持てなくなって、妙にゴルフ場が憎くなった。
‥‥結局、出来ないし高くて遊べないから妬んでただけです。
自分の中の矮小な歪な部分を認めたくなくてゴルフを嫌ってました。
その割には愛車にVWゴルフとか乗ってたりするんだよね。‥‥
閑話休題
異世界でゴルフの話をしたら、爆発的に広まった！
まぁ、優秀者には日本観光旅行を謳ってしまったもんだから、牙狼村だけじゃなく、オダーラ超えてマウントフジ！‥‥だけじゃなく、なんと王都にまで話が広まってしまった！
Oh！！ トリネコさん何てことしてくれるんだ！
慌てて作ったゴルフ関連施設。
ショートコース３っもあれば！なんて甘い考えだった。
打ちっぱなしなども作ったが、他にも民間企業？商人たちが当て込んで、色々なゴルフ施設の建設を始めた。
更に、ゴルフをするには道具が居る。
前回もお伝えしたが、鍛冶屋、木工屋、服飾店、皮革屋、靴屋‥‥etc
バブルですね！ゴルフによる経済活性化！狙ってたなら凄すぎるよ。
そんな中でのゴルフ関連施設、街中に打ちっぱなし施設作って、ネットとかどうするんだろう？と思ってたら、魔法で制御するんだそうだ。
風魔法の魔道具で、施設外にボールが出ない様にするんだと。
その魔道具もエルフシティ製‥‥もうね、ヴィトンが悪い笑顔を浮かべてた意味が分かったよ。
散らかったボールも土魔法で一気に回収できるんだそうだ！
日本の施設よりハイテクだよね。
そう、この世界には魔法がある。
ぶっちゃけ魔法を使えば何でもアリアリだもん。
置いてあるボールを打って何が楽しい？？
そりゃそうだよ！こいつら魔法使えば全部ホールインワンだからね！
最初は開いた口が塞がらなかったよ。
だからゴルフに魔法は一切禁止。
魔力を感知した時点で失格！その魔力探知機も俺が考案してヴィトンのおっさんに作らせた。
なんとこれも爆発的に売れて、バックオーダーがスゴイらしい。
どこで使うか？‥‥警備で使うらしい。
犯罪も魔法ありきなので、魔法使えば完全犯罪も成立する世界。
しかし！魔力探知機で何処でどれだけ魔力を使ったか？
その魔力は誰の者か？魔力の残照の様な物を探知する。
一番高級な道具だと、使った魔法陣さえ解析できるんだとか？流石にそこまでは知らなかった‥‥随分と凝ったね？
場所ごとに警戒ランクを分けて魔道具を設置しておけば、侵入からルート、目的、何を狙ったか？‥‥丸裸に出来ると。
併せて俺が作った監視カメラがしっかり見てる。
犯罪者たちは魔道具の場所を特定するために、魔力探知機を探すためと攪乱する為に魔力探知機を使う。
鼬ごっこだね。
保安と犯罪で、一粒で2度美味しい♪ヴィトンと俺は笑いが止まらない！
ああ、また話が逸れた。
「第1回 ルバン王国、王都杯ゴルフ大会！予選開始を宣言する！」
国王様が良い笑顔で宣言しちゃったよ！
って、おいおい、いつの間にそんな大会になったんだよ！？
それがよくよく聞いてみると、何か所かの打ちっぱなしとパターゴルフ場を使って予選の予選を行っていたらしい！‥‥少額の参加費で、参加賞でも元が取れる！上位に行けば賞金まで！全然知らなかった！そりゃ白熱するよね。
いきなりゴルフ熱が高まったのは、そんな仕掛けがあったのか！
トリネコさんの笑顔が黒い訳だ！‥‥後で絞ってやろう。
魔法でホールインワンを量産する方々でも、魔法一切禁止だと難しいようだ。
ボスとアルファが馬鹿にしてすいませんなんて謝ってたくらいだからな。
それでもオールパー３のショートコースだから、ホールインワンは頻発する。
ゴルフ始めて２，３週間の人々とは思えないが、眼も身体能力も全てに置いて地球の方々とは比べ物にならないんだからしょうがないのか??
でもね、日本にホールインワン保険が在ったように、ホールインワン出したら周囲関係者にご馳走を振舞うんだよ？
‥‥誰も聞いてねぇよ！そりゃそうだ！自分の偉業をなんで自分の金で称えるんだよ！？！日本のゴルフの闇が現れた一幕でした。
そんなホールインワン製造機たちだが、それでも流石に実際のゴルフは、そんなに甘くなかったようだ。
オールパー3で9ホール、最小打数は9打。
そんな強者は現れなかった。
ピンが見えない、くの字のコースに嵌まってる奴が多く、刻んで2打の堅実な奴が一番優秀みたいだね。
間に植えた木々を超えようとして捕まりOBになったり、超えた先の池やバンカーで苦戦する奴が多発して、予想以上にゲームは白熱したようだな。イヒヒ♪
今回の特別ルールとして、ダフる‥‥芝生を掘ってしまった奴は１打ペナルティ。
実際のルールは知らんが、土魔法で治すの大変なんだから！
その特別ルールのお陰で、慎重に打つ奴が増えたのと、『静かに！！』が浸透して来て、打つ前のシーンと静まった感じが痺れます。
どっかの国の大会は、ヘリがバタバタ五月蠅いし、彼方此方の実況も五月蠅いし、こんなに静まった、張り詰めたカンジは分からないだろうな。
この世界の人たちの方がマナーは良いかも知れないね。
喋るな！って時は、本当にシーンとするし、誰かの屁の音が響いたりするくらいだ。‥‥プレイヤーが噴出して、大爆笑になってたが。
ちゃんとメリハリを付けて楽しんでいる感じで、マナーが悪くなってしまった日本とは偉い違いだよ。
予選の予選では、万に近い人の応募があったらしいが、予選では２千人くらい。
それを100人くらいまで落とす。
此処までくると猛者ぞろいで、甲乙付け難い戦いになってくる。
200人くらいまでは減ったが、この先はパー3、9ホールを3ラウンド廻ってトータルの勝負にした。
ショートコースは3か所あるので、得意な場所だけでなく全て廻っての勝負となる。
日本に行けるかが掛かる決戦となるので、本人たち以上に周囲のお祭り騒ぎが半端ない！王都、マウントフジ、オダーラから周囲の領地は、観光客と馬車で大変な騒ぎになっている様だ！宿は取れないし、飼葉も高騰していく。
厩なんて、金貨を出して頼む状況になってる様で、我らがトリネコさんを呼んで悪だくみです。
幸いと言うか、マウントフジ周辺は草原が多い！
それを利用して、オートキャンプ場（馬車野営場）を作りました。
公衆浴場完備、トイレ完備、炊事場完備、馬たちが寛げる広さを確保できるタープを貸し出して、人は馬車の中か、テントを貸し出してそこで寝る。
必要な物は何でも貸します！
あっという間に埋まったね。
口コミでどんどん人が増えて、宿に入れなかった下級貴族までやって来た。
食事は基本的に各人で賄ってもらうのだが、貴族たちは儘ならないので運営に何とかならないかと頼みに来る。
んじゃ、キャンプファイヤーするか！
急遽、屋台を準備して周囲に展開。
キャンプファイヤー会場を入場料というボッタくり価格にして、肉や野菜や魚介まで食い放題で提供する。
定額で食い放題という概念が無かったらしく、食い付きの良い事良い事。
目玉は魚介で、海産物は高根の花なので、それが食い放題！？
酒類はちゃんと有料ですけどね。
キャンプして無い奴まで来るので、流石にそこは制限した。
それに目を付けた商人たちが結束して、それぞれ特色を出して屋台村を作る。
この異世界で初めて、入場料で食い放題の屋台村が出現した。
‥‥まぁイベント時以外は廃れちゃうんだけどね。
全然ゴルフの話はしてないけど、そんなことしてる間に順当に結果は出てくる。
基本的にお祭りなので、メインがどうなったかはちゃんと気にしてる。
100人、出揃ったようだ。
この人数じゃ紹介は出来ないが、この100人＋関係者を考えると、400～500人は日本の本コースを踏むと考えて良いだろう。
次回から日本での顛末‥‥‥
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