第136話 日本での日常
朝、いつも通り起床。
朝ごはん食べて、歯磨きして、いつも通りの日常なのだが、ちょっと違う。
「「おはようございます!」」
「‥‥‥おはよう。」
富岡香と井坂京子が朝から居た。
あれ?いつから居たんだ?夕べ寝るときは居なかったよな?
ここは元々在った祖母ちゃん家を囲う様に建てた、俺の日本での家。
原点であるこの場所は、古き日本の一般住宅として元々の敷地のままにカンダ(株)の原点として保存してる。という設定。
最初の頃に付けたソーラー発電などは全て取っ払い、オリジナルな感じの佇まいを残して、ビルの中庭部分に残した感じで周囲に建物を作った。
異世界に飛ぶのはここからだけなので室内はキレイに手入れをし直して、押し入れの行李も絶賛稼働中。
そうして作ったのが、車庫兼、倉庫兼、事務所兼、俺の家って訳だ。
会社の発展と共に、事務所棟は目立たないが便利な場所に新築したし、各部門によって別々の事務所棟を設置。
敷地も広大に広がったので、社内用電気自動車を採用して移動用に利用している。
猫さんの宅配便で使用している車両が欲しかったのだが、Tメーカーからあの車両は専用開発なので他には販売できないと断られてしまった。
しょうがないので、Nメーカーさんのワンボックス型商用電気自動車を数台購入して、艤装会社に頼んで内装を乗用に改装して貰った。
これが意外なヒットで、お客様移動用に使ったりもするのだが、欲しいと言う人が社員やお客様から続出した。
それならばと言う事で、艤装会社と提携して内装を改造した車両を販売することにしたら意外と売れている。
閑話休題
「おはようは良いけど、君らはいつ来たんだ?」
「先ほど、6時過ぎですか。夕べはお疲れ様でしたので、どうせ朝食など何も準備されて無いと思いまして。」
「私もそのくらいですぅ!真悟人さんに夕べの話も聞きたくって!‥‥そしたら香さんと鉢合わせでした。」
ペロッと舌を出す井坂京子。
うん。可愛い!しかし、それを表情に出してはいけない。
朝から彼女たちとイチャイチャしだしたら、今日という日が終わってしまう。
そう、彼女たちは日本での俺の嫁である。
異世界がバレる前に、トゥミやサラたちを順番に日本に連れて来ていた。
日本観光をした訳だが、その時に彼女たちは妙に世話を焼いてくれた。
ここでの嫁は私です!と言うように仕切っていたそうだ。
そう、香とはとある事件から嫁にするつもりで(既に既成事実が‥‥)トゥミ達に話てあったが、京子の事はまだ手を出して居なかったが、それも、まぁ、モゴモゴ。
「日本では独身‥‥それも後少しね!」
トゥミ‥‥片言の日本語で言わないでくれ‥‥‥
流石に日本では重婚は犯罪なので、日本では正妻一人となる。
そんな、彼方此方で結婚する訳に行かないだろうと、思っていたのだが‥‥あのお気楽な自分を殴ってやりたい!
女性の間では、すっかり話が出来上がっていて。
‥‥‥そう言えば、バレた後、1回だけ嫁全員で観光したいというのを許した。
女同士で気の無い旅行も楽しいだろうと思ってた。
あの時だな!?あの時全て話は付いていたといたんだな!?
そんな訳で、富岡香が正妻として入籍予定。
何故か祖母ちゃんも祝福してくれている。
何故か?なんて言っちゃイカンね。彼女はかなり良く出来た嫁だし、祖母ちゃん的にも一押しの人材だったそうだ。
‥‥人材ってのも、なんか違う気がしないでもない。
会社が大きくなればなるほど、金に群がる奴らは増える。
独身の男で、金持ってると女は群がるし、ハニートラップ当たり前!
だから早いトコ結婚しろ!って、それこそ頭の足りない見た目だけの芸能人なんて最悪だと祖母ちゃんは思ってたみたいだ。
俺は彼女、富岡香を愛しているし、彼女も愛してくれてると思う。
生活的指導は多いが‥‥
正に理想の嫁だろう。特に今の俺の状況では、最強の味方を得たと思う。
井坂京子は愛人希望で、はなっから結婚は望んで居ないそうだ。
寂しい時に一緒に居てくれて、身体の相性が良くて、お金が在って煩くない人が理想なんだそうだ。
それはそれで、男としては寂しい‥‥ああ!だから俺なのか!
条件ピッタリで、更に異世界なんて面白い状況も付いてくるとなったら、彼女は肉食獣になった!
もっと淡白な娘と思っていたらトンデモナイ!女の涙とあっという間の既成事実で陥落‥‥香!お前知ってて手引きしたな!?
まぁね、所詮男なんて女の手の平の上だよね~。
そんな訳で日本での俺の処遇が決まった。
理想的な展開過ぎて、ある意味怖いよ。
「真悟人さん?」
「ん?ああ、ゴメン、ぼぅっとしてた。」
「夕べ遅かったですもんね?シャワー浴びますか?」
「そうだな。でも朝食前に香を食いたくなっちゃうから、先に飯にしようか?」
香はクスっと笑って、
「準備しますね。」
と厨房に消えた。
「京子なら直ぐ食べても良いんだよ~?」
「ん?そうだな。」
抱きしめて、甘い髪の匂いを堪能してから、軽くキスをした。
それで彼女は「えへへ♪」と上機嫌に笑ってくれて、笑顔が眩しい。
香にもおはようのキスはまだしてない事に気付いて、京子を離して厨房に居る香を後ろからそっと抱きしめて首筋にキスを落とす。
「もう!台所に立ってる時は駄目ですよ。」
笑顔で注意をされて、日本に居る時の日常にホッとしていた。
3人で朝食を取り、夕べの話をする。
「綾は徹夜で情報収集してたみたい。さっき差し入れ持って行ったら、まだ目が爛爛としてて、チョット怖かったわね。」
「終了報告したのも晩かったからね。それから作業じゃ、そうなるかぁ。」
「綾さん、ホワイトハッカーだもんねぇ。相当な熟練者だって、その筋じゃ有名みたいだよ?」
「そ、そうなのか!?‥‥知らなかったぞ。」
「山際さんも引っ切り無しに、どっかに電話してて、おかしなテンションになってたって、和代から報告が在ったよ。」
「‥‥‥ドコに電話してたんだろう?‥‥‥」
そんな話をしてる最中に、香がTVを点けた。
『7時のニュースです。』
「お、ちょうどニュースの時間か。」
ぼうっとTVのニュースを見る。
代り映えの無い悪い話題が続き、次のニュース画像に動きが止まった。
『ゴルフ場大手のKMカントリークラブに対して、脱税などの容疑で本社事務所と社長自宅に家宅捜索に入りました。社長のMI容疑者と支配人のSM容疑者及び営業部長のTK容疑者は共謀して帳簿を改ざんし脱税を行った容疑と、他にも贈収賄と恐喝などの疑いもあり、検察の厳しい対応が‥‥』
「「「これって‥‥」」」
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