第135話 バレた!
ゴルフ場専務の甥っ子様のお陰で、色々面白い情報を入手出来た訳だが、当然ながら鵜呑みにする訳が無い。
血縁だからって末端の人間に重要事項を漏らす筈が無い。
乗っ取り計画するなら、お花畑な頭じゃ無いだろう。
漏洩を想定して、いや、漏洩させて上手く操ろうとするのが常套手段だ。
嘘の中に本当を混ぜるので、見極めが難しい。
そこで、次は情報の裏付けをさせてもらおう。
嘘と本当の仕分けだね。
今のカンダ(株)には諜報部門が在る。
当然ながら表立って行うことが出来ない内容も含まれるので表向きの名称では、「総務秘書室」となっている。
そこで、社内の噂から世界情勢まで、情報の精査を行い、有利に行動できる事を目的とする。
面白いことに、メンバーには昔のファンクラブの人間が多かったりする。
そう、富岡香を秘書室長として、井坂京子や近藤綾も在籍する。
給与的には事務員に手当てが付く程度‥‥表向きには。
しかし、賞与を大きく取っていて、破格の報酬を用意している。
もう一つ、これが在るから離れられない裏切らない。
なんと特別報酬には、「異世界旅行」がある。
彼らの特別報酬である、「異世界旅行記」は、また別の機会に語るが、そうなるには当然理由が在る。
そう、バレたのだ!異世界に行き来して収益を上げている事が、些細な事から発覚した訳だ。
経理的にも不審な点を突かれだして、言い訳が難しくなってきた。
一切、経費計上しないで海外出張となっていれば、不審に思われるのは当然と言うか必然だな。
実は、カンダ(株)の運営上は黒字の訳が無く、実際は赤字続きでよく会社が存続できるな?という状況。
どんどん土地を購入して敷地を拡げて、様々な自然を人工的に作り出す。
それにはかなりの経費が掛かる訳で、土地の税金だけでも物凄い金額になる。
しかし、収支決算は黒字続きで施設の発展は止まらない。
施設が増えれば人員も増える。人件費も鰻上りで、黒字には今一歩及ばない。
そこで、補填が入るのが俺の海外収益。(異世界収益)
牙狼村の収益が、俺の分だけでも毎月、日本円にして億は下らないだろう。
牙狼村で、ある程度は現地生産は出来るようになってはいても、トリネコ商会に卸す分全てを賄える訳じゃ無いので、日本で仕入れる事になる。
プライベートで仕入れていたが、大量の物資が倉庫に納入されれば経理が伝票を見逃す筈が無い!俺がプライベートで仕入れた物資だと言うと、それを経費として計上しなさいとなる‥‥まぁ、経理としては益々不信感を抱く訳だ。
そりゃ、仕入れの額も半端じゃないもんね。
ここで、秘書室直結の闇経理が誕生する訳だ。
そして俺が以前から望んでいた、日本でのボスやアルファに匹敵する、右腕左腕となる人間が出来たのが最大の嬉しい点だな。
専務になった山際さんを筆頭に、社長付け総務秘書室と総務経理。
(異世界総務)と言われる部署が出来て、その中に諜報部門がある。
そのお陰で、俺の仕事は目茶苦茶、楽になった。
異世界総務の設立とメンバー選出に当たっては、祖母ちゃんの厳しい目利きから入るので、少しでも曇りのある人間は、どんなに仕事が出来ても弾かれる。
また、誓約の魔法を使用するために秘密漏洩は出来ない様になっている。
さすが祖母ちゃん!そんな怖い魔法、俺にはとてもとても‥‥
迷宮魔女の‥‥「お前さんも掛けられたいのかい!?」
いえいえ、遠慮しておきます‥‥
閑話休題
ゴルフ場の話でした。
一番重宝してる魔法『転移』をしてPCの中身を貰ってこよう。
方法は簡単!ソフトは大変!作業は神業‥‥ですな。
最近はセキュリティが進んで、PC自体にはデータは置か無い。
それに、USBメモリなどで情報コピーするにも、USBメモリ自体を受け付けないか、登録しているUSBメモリしか受け付けない。
個人使用のPCはリモート端末で、サーバー上にある個人アカウントのPCを起動する。
ログインするにも2重3重のパスワード入力を経て、やっと個人ディスクトップに辿り着く。
重要機密事項は、更にサーバー上のアクセス権限を与えられてる端末からしか入れない上に、その先のフォルダ一つ一つにアクセス権限とパスワードが存在して、一定期間でパスワード更新を行うため、かなりの情報を入手していないとPCのデータ収集は難しいだろう。
俺にはちんぷんかんぷんだ。
サーバー室への入室は更に難しい。
指紋、光彩、静脈認証当たり前。その上でセキュリティカードでもアクセス権限在り、パスワード在り、カメラ、赤外線とセキュリティてんこ盛り。
だが、日本には魔法認証は無い。
『隠蔽』して『転移』‥‥どれが引っ掛かるか試して見たが、隠蔽を見破れなかった。赤外線などをどう躱してるのかは分からないが、隠蔽状態を赤外線で見ると、周囲と温度の変わらない波が動いてる?そんな在り得ない状態で見える。
爬虫類っぽい格好して形を晒すと面白いかも?
ゴルフ場の本社の中に『転移』する。
周囲確認してから、『暗視』で社長、専務、常務、担当連絡係のPC位置を再度確認して『転移』する。
監視カメラには『認識阻害』の魔法を掛ける‥‥機械にも効くんだね~!
スキャンダル騒ぎの時に『認識阻害』を教えてもらっておいて良かった。
それぞれのPCにUSBメモリを指してから電源を入れる。
中身は良く分からないが、手順は大事だと口を酸っぱくして言われたので、順序はちゃんと守る。
手順通りに行わないと、既定の動きから外れたり予期せぬ動きをしたりと、データが回収出来なくなる恐れがあるそうで、ここまで来て失敗は許されないので、手順書を何度も反芻したから大丈夫!
次はサーバー室で、言われた番号のPC、管理端末だね。これにもUSBメモリを差し込む。このPCは24時間電源を落とす事は無いので、USBメモリを指すだけ。
そして、15分待ってから全てのUSBメモリを回収して撤退。
それぞれのPCの電源はそのまま入れておく。
何度か再起動を繰り返すそうだ。
侵入から撤退するまで、絶対に連絡はしない事!そこから足が付く可能性を考慮すると‥‥家に帰ってから近藤綾に連絡する「トラ・トラ・トラ」
家を出るときは、「ニイタカヤマノボレ」だった。
さて、明日が楽しみだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます