第120話 魔法学校
エルフシティの魔法学校へ入学。
桜咲く4月に子供たちが魔法学校へ入学する。
桜は日本から勝手に持ってきた。
染井吉野、河津桜、紅枝垂、御殿場桜 ‥‥
この世界でもちゃんと美しい花を咲かせてくれた。
そんな季節に魔法学校へ入学するのだが、今年はスティングとイネス。
去年はワンス、トゥース、スーリーが入学している。
去年は、魔法学校、開校の年だった。
白物魔道具の評判から、裕福な商人の子供や貴族の子供まで希望者が殺到。
20人x5クラスで、1学年当たり定員100人を見込んでいたのだが、申し込みは3倍の300人~居た。しょうがないので入学試験と面接を行い、振るいに掛けたのだが、やはり貴族や有力な商人はゴリ押しして来る訳で、そこは最初だけに毅然とした態度で対応する。
マウントフジ辺境伯を通して、初めて王族にも会った。
過去に王族の影部隊がこちらを監視する事が有ったが、アノ時は王宮が絡んでるとは知らずに返り討ちにしてしまった。
だから、少々気まずいなぁ。と思っていたのだが、その辺は大人の都合で無かった事として触れない様にとの事らしい。
野菜、果実、酒、魔道具と真悟人の係わっている事業は王宮として無視できない。
直接取引して抱え込みたい!上前を撥ねたい!
しかし、影部隊はアッサリ返り討ち!戦力も牙猿と魔狼にオーク。更に海を牛耳る人魚まで付いている。
そんな相手には成す術もない。
幸いな事には王宮と敵対する行動は無く、マウントフジ辺境伯を通じて既定の税金は納められている。‥‥それも今までの2倍~3倍の税収になっている。
そんな相手に敵対して、全てをふいにするのは愚か者のする事だろう。
魔法学校開校に当たって、ここで一回面通しをしておくべきだという事になった。
謁見の間にて、初の王族との邂逅。
平民なので礼儀作法はマウントフジ辺境伯に聞いた。
大それた無礼を働かなければ大丈夫な‥‥ハズ!
一応、子供たちに係わる事なので酒や果実を持参した。
付け届けで子供たちが快適に暮らせるなら安いもんだ!と、どこぞの豪商や貴族と同じ考えなのは本人は気付いていない。
王様はナントカ二世と言っていた。
どうしても大泥棒のル〇ン三世を浮かべてしまう。
王妃様はフジコちゃんじゃ無かったが、メッチャメチャ美人さんが3人控えていた。子供たちは王子2人、姫3人で背中に羽根付けたら天使に成れそう‥‥まだ5、6才な感じだから、もしかして同級生になったりする?
終始和やかに謁見は終了し、貢物も気に入って頂けたようで良かったと思う。
謁見の内容としては、
魔法学校では身分を問わない校風にする事。
貴族や豪商のゴリ押しは認めない事。
学校内の争いに親が介入しない事。
その他、臨機応変に対応を協議出来る事。
そんな事をお願いして、宰相も大いに同意してくれた。
周囲の貴族で不満たらたらの奴も何人か居たが、あれは泳がされてる気がする。
表立って王の決定に叛意を表すなんて頭おかしいのか?
魔法学校に対して敵対することは、王宮に対する敵対とみなす!
とまで言ってくれたので、黄門様の印籠にさせてもらおう。
そこまで言ってくれた以上、ちゃんと答えなければイケない。
求めた分以上を返さなければならないのはどの世界でも一緒だろう。
求めた以上の結果が出て、上機嫌で帰路に就いた。
~~~~~~~~~~
少し時は遡り。
「ルバン二世王様、神田真悟人殿との謁見まで時間がありません。早くご支度なさって下さい!今回は大上段に構えるのではなく、対等に付き合えるフレンドリーな王族をアピールして下さい!」
「あなた!真悟人様の献上品が素晴らしいですわ!お酒だけじゃなく果実やお菓子まで!あの作れる職人が居ないので幻と言われるシュークリームまでありますわ!今回の謁見!是非成功させて下さい!彼の方と絶対に成功させて下さいませ!」
執事と王妃に煽られて、あ~‥‥やはり影部隊を引いたのは正解だったな。
あの時、抱え込めないかと思ったが、結果として辺境伯トコの税収が2倍~3倍付けなら放置で正解だな。‥‥‥
そんな事も読めない馬鹿共も多いが、今回の魔法学校にこじ付けて粛清させてもらおう。情勢を見通せない馬鹿を消すには良い機会だな。
神田真悟人か、本当はあの至福の酒で腹を割って話したいが、まだ時期尚早だろう‥‥
今回の謁見の内容も分かっている。馬鹿共を焙り出すには最高の舞台となる。
「ヨシ、謁見の間に神田真悟人を呼ぶが良い。」
互いの腹の内が分かるのは、まだまだ先の事である。
~~~~~~~~~~
魔法学校、開校!
王都でも大々的に取り上げられた。
難しい試験を潜り抜けた100名余、エルフシティに移住する前に王からの訓示を受ける。内容は真悟人からのお願い? 身分に貴賤は無い事。自分の実力が全てである事。守れないものは放逐されるであろう事。
6年後、優秀な君たちを待っている。
互いに切磋琢磨して自分を磨き上げて欲しい!
「「「「「はいっ!!!!」」」」」
この後、彼らはエルフシティに移住して魔法学校の寮住まいになる。
この寮は、真悟人が叡智を結集した寮で、1学年100名余2学年で200名余の寮生が暮らせる3階建ての建物が6棟建っている。
1部屋2名で一応貴族は従者と一緒に暮らせる様にはなっているが、基本的には変わらない。セキュリティ的に問題のある王族等は別途相談である。
建物のシステム的には、真悟人が自重せずに快適に作ってるため、寮から出たがらない者が続出するのは、また別の話。
男子棟と女子棟とは敷地が別になっていて、敷地の正面の門からでないと入れない様になっている。
男子棟経由で不審な輩が入れないように工夫されていた。
1、2年生の棟は、まだ子供たちが小さいのもあって、スタッフのお姉さんたちが各フロアに2~3人ずつ配置されていて、生活の面倒を見てくれる。
食事は朝晩に食堂で各自セルフサービスで無料で食べられるのだが、昼食は食券制となっている。
昼だけは外部の人間も食券を買えば食べられるが、これが人気で‥‥
まだ学校が開校して1年なので、2年生と新1年生しか居ないのだが、昼食は生徒より外部の人間が多い!
女子棟は外部の人間を入れたくないので、男子棟だけだったのだが、昼食を食べにくる外部の人間が余りにも多いので、生徒の入っていない棟の食堂だけを開放して外部の人間を受け入れている。
因みに1番人気はカツカレーだそうだ。
そこにいよいよスティングとイネスが入学する。
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